オイラと佐平次のフツーの生活

佐平次が着替えを始めると、オイラを連れていくつもりなのか、一人だけ遊びにいくつもりなのかはすぐわかる。
こりゃ、留守番だなと分かるとオイラはすたすたと一人でゲージに入ってやる。

ほんとは部屋の中にいたいけれど、前に一度イヤフオンをかじったものだから、、ね。
かじられるのが嫌ならそこらへんに放り出しておかなきゃいいのに。
オイラが殊勝にゲージに入るのをみて「可哀そう」などという顔をする佐平次だが、可哀そうだと思ったらおいてかなきゃいいのだ。
（リクライニングに座っている佐平次の腹の上で一緒にニュースをみていたらケータイで撮ろうとする。うるさい奴だ）

食事の後、口の周りを拭いてもらう時も「口をきれいにしよう」といえば直ぐ行って拭かせてやる。
散歩から帰ったときも玄関のタタキで待って足を拭いてもらう。
でもそれ以外のときは呼ばれても近寄りはしても簡単に捕まるもんじゃない。

そういうことは別に餌で釣られて覚えたんじゃなくて自分で判断してやっている。
人間のやること、思うことなんて底が浅いから、言葉がすっかり分からなくても何を言いたいのかは分かる。
でも、分かっているということを分からせると後が面倒だからたいていは聞こえないふりとか分からないふりをしている。
ではあるがテレビを見ていても「ご飯」とか「散歩」などの言葉がでるとついつい反応してしまうのは修行が足りないなあ。
とくに「ご飯食べるか？」といわれるとぴょんと飛び上がってインデイアンのようにくるくる回るのは我ながらはしたないとは思うが、そこが畜生のなんとやらといわれるところでオイラの理性では御しきれないのがグヤジイ。

「イタタタ！」急に叫んで倒れたからビックリして駈けよって顔や手を舐めてやったら大喜びでオイラを抱きしめた。
偽装トウサン、人の心を試すのはよくないよ。

餌を食わせる前には相変わらず「くるくる」（佐平次の周りを回る）、「トンネル」（佐平次の足の間を通り抜ける）、「お座り」「お手」「お代り」「タッチ」（立たせて佐平次と手を会わせる）、「伏せ」をひと通りやらされる。
あまり腹が空いているときは言われないうちに勝手にいろいろやってしまう。
だいたいこんなことやるのに何か意味があるのか？
少々うんざりだ。

ウンチをちゃんとしたと言っては喜んだり（最初は部屋の中でやってしまったこともある）、散歩の途中で人から「かわいい」といわれると自分が言われたように相好を崩したり（にんまりとみっともないんだよ）、自分の気分でいろいろ話しかけたりウザイ爺さんだと思うこともある。
（去年のオイラ。毛の色がずっと濃かった）
要望といえばもう少し遊んで欲しい。
おもちゃを咥えていって誘うのにあまり付き合ってくれないのだ。
オイラは佐平次に追いかけさせ逃げるのが好きなんだけど、すぐに息が上がってしまうらしく「こっちへもってこい」なんていう。
オイラは佐平次のオモチャじゃないって。
駒沢公園前のカフエ。オイラ普段はこういうところではおとなしくしているのに、この日はとてもかわいいトイプードルが居たので、我慢できなくてクンクン鳴いてしまった。
その上、佐平次が勘定しているときにレジでおもらししてしまった。
こっぱずかしい！

でもまあ、今のところ二人はいいコンビだ。
散歩には毎日連れて行ってもらうから感謝している。