スパイものも楽しいね 柳広司「ジョーカー・ゲーム」(角川書店) |
金、名誉、国家への忠誠心、あるいは人の死さえも、すべては虚構だ結城中佐=魔王はいう。
諸君の未来に待ち受けている真っ黒な孤独。その中で諸君を支えてくれるのは、外から与えられた虚構などではありえない。諸君が任務を遂行するために唯一必要なものは、常に変化し続ける多様な状況の中でとっさに判断を下す能力ー即ち、その場その場で自分の頭で考えることだけだ。中佐の発案で陸軍に極秘に設けられた”D機関”、スパイ養成所を受験してくるのは東京、京都などの帝大、早稲田、慶応などの一流大学を出た育ちの良い苦労知らずの青年ばかり。
彼らは、「この任務を果たすことが出来るのは自分だけだ」あるいは「自分にならこの程度のことは出来なくてはならない」という手に負えぬ自負心のみで想像を絶する訓練に耐える。

とまあ、もっともらしいお膳立てだが、それは雰囲気を創るための装置だ。
5つの連作短編。
D機関の青年がいろいろな事件にミッションを帯びてプロのスパイとして”自らの判断で”解決をする。
日本が戦争に遮二無二向かい始めた昭和12年以降の、東京、上海、ロンドンを舞台に怪しげな外国人も登場して、ちょいとレトロな雰囲気を盛り上げる。
結局のところ、優れたスパイとは、己以外のすべてを捨て去り、愛する者を裏切ってなお、たった一人で平気で生きて行ける者たちのことなのだ。なにものにも「とらわれないこと」=能力だけではなくて心も化物になること、それが出来ないと覚った男は去っていく。
秘密を知った以上、生きて娑婆には戻れないから死地に送りだされる。
スパイ入門のような楽しさもある。

わたくし思うに、結局のところ、己以外のすべてを捨て去り、愛する者を裏切ってなお、たった一人で平気では生きて行けない者たちが多い気がしますのよ、、、
魔王さま、どうお思いになって?
心温まる風景ですね。
ところで サンチ坊は元気でしょうか。
でも実際にはこの本でわかりますが、絶対に努力してもスパイにだけはなれないです。映画や小説の世界ですの感がありますが、本当に今もいるのですね。
愛国心?功名心?やむことを得ず?
自負心だけでスパイになるというこの小説の設定がマンガっぽくって面白いのですね。
部屋の中を飛び跳ねています。
散歩から帰るといつもひとしきりやるのです。リードから放された解放感?
私の子供の頃は少年探偵団、スパイは出てきたかなァ。
私もスパイは出来そうもないです。度胸がない、臆病なのです。
民主党政権もそうなんでしょうかね?
アメリカが駄目と言ったら駄目だった?
