好い音があふれていたあの頃

朝の散歩をしているとプ~ンといい匂い。
匂いのする方に曲がってみると鰹節やさん、紺屋の白袴じゃなかった。

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それにしてもこんな裏道になあ。
向かい側の家は玄関を開けはなしていて見るともなく覗くと奥の方にステテコ姿のお父さんが座っていてその向こうには緑があるから中庭なのか。
こっち側でパタパタとハタキをかける音がする。

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思い出す。
牛乳やがガチャガチャやってきて俎板がトントンしてカツブシをシャッシャッとかく音がして味噌汁の匂いがして、バタバタと子どもが走り出して、ハタキをかける音がしてパンパンと洗濯物を干す音がする。

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朝から晩まで一日中いい音がしていたなあ。
お互いが肩書とか匿名ではなく人格をもってつき合っていた人びとが作りだしていた音だ。
柔らかいお母さんの手触りを感じさせる音だ。

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好い暮らしには好い音がしたのだね。
音自体も好いけれどその音が響く暮らしが良かったんだな。
一汁一菜でも良かった。

ずいぶんいろいろやってここまでやってきたけれどヨ~ク考えてみると、
あの温かい、いい音に包まれていた頃が一番心豊かに毎日を過ごしていたような気がする。
遠回りをしたもんだ。

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勉強だって友だちの家に集まってワイワイガヤガヤやったのも楽しかった(勉強にはならなかったけれど)。
塾なんてなあ。

昨日、渋谷に映画を観にいったのだがつまらなくて途中で退場してきた。
水曜のせい(1000円になる)もあって若い人で満員だった。
あちこちで評判がいいのにつられて、、でも退屈だった。
映画の出来が悪いのか俺の感性が鈍ったのかな。
70年代の高校生の青春、それが陳腐でいらいらした。
もういい音がなくなりつつある時代だったのか。

いや、いつだって青春なんて陳腐なものかもしれない。
忙しいわけでなし何も出てくることはないのにね、こらえ性がなくなってるん?

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Commented by kaorise at 2009-08-28 00:02
saheiさんたらエヴァ見たの?なーんてにゃ。あれは90年代の青春だっけ。
私は見たくてたまらんのですが、渋谷に行くじかんもないの。。
saheiさんアニメ見たら?アニメは日本が誇る最先端の芸術ですよ。
でも、saheiさんには、エヴァよりサマーウォーズの方がおすすめ。

やっぱりみんなが御飯作らなくなってから、いい音もいい匂いも消えたのかもしれないですね。
私は忙しくて気絶しそーになりつつも御飯だけはキチンと作ります。
自分が食べる命を自ら調理することが、感謝のおいのりだと思ってます。
Commented by 芙蓉 at 2009-08-28 00:45 x
こんばんは。いつも楽しく拝見させていただいています。
昭和の、古き懐かしき、ヒトコマ、見ているような気がしました。
サンチも、少し見ない間に大きくなって、
わんこ友達(恋人?)、増えたようですね?

青春なんて、陳腐なもの、、、ほんと、そうかもしれませんね。
今思えば、
その陳腐なものに、心底血を注いでいた頃がありました。
これもそれもセイシュン?
心地よい音のある生活っていいものですね。
風の音も、雨の音も、虫の音も、
やはり音には、敏感でいたいものです。

で、映画は、何をご覧になったのでしょう??ちょっと気になりました..。

Commented by HOOP at 2009-08-28 01:00
塾だって、なんでも遊びにする子供らにとっては天国なんですよ。
そこで遊ぶものが、我々と違うのは、別の問題だし、
同じことをやらせることの意義も、世代間の意思疎通なんて、
およそ遊びとは程遠い話になってしまう。

ゲームのなにがいけないのか、きちんと理論武装しないと
誰も顧みない時代になりそうです。
Commented by fukuyoka at 2009-08-28 01:00
なるほど昔は生活の音がありましたね。朝のカタコトと母がご飯を作る音、思い出の中には音もしっかりと入ってます。
Commented by takoome at 2009-08-28 01:40
サワディ〜カ〜
いつでもいい音は流れている。ただ,気がつかないだけさ!
Commented by gakis-room at 2009-08-28 05:44
カツヲブシじゃあなくて,カツブシですよね。
上手くかけなくて,いつも粉みたいになって半べそをかいていたことを思い出しました。
Commented by 74mimii at 2009-08-28 06:17
当地の日本食料店から本当の「鰹節」が姿を消したのは
随分前ですけど、日本ではまだ有ります?
おかかのお握りが大好きですが今の袋入りでは寂しいです。
Commented by sweetmitsuki at 2009-08-28 07:57
はじめて一人暮らしを始めた頃の事。
市販の麺つゆが不味くて飲めず、それでも母親を真似て出汁をとるほどマメではなかったので我慢して麺を啜った事。
隣人がゲーム好きで、よほど耳を澄まさなければ聞こえて来ない筈の微かな電子音が耳触りで眠れなかった事。
残念ながら音や匂いに関するいい思い出はありません。
それでも、あの頃不快でしょうがなかった筈の音や匂いに触れると、妙に懐かしい気分になるから不思議です。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 09:44
kaoriseさん、エヴァって?エヴァンゲリンのこと?
まったく見てないです。
5年ほど前に癌で死んだ青年がブログにこの劇画?のことを盛んに書いていたなあ。
マンションとか個室が匂いや音をけしているということもありそうです。
古い日本の家は開放的です。
お父さんのお奈良にみんながふきだす^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 09:47
芙蓉 さん、源氏物語の頃も音や匂い、気配というものに人びとは敏感だったのでしょうね。
そういう平面的・開放的な家屋だったんじゃないかな。
映画の題名は、、これから見る人もいるでしょうし、褒めるならいいけれど、もう少し経ってからにしましょう。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 09:54
HOOPさん、私も塾の教師をやりましたよ。椎名町というところでコンクリート打ちっぱなしの床に机を置いて5人くらい学年はまちまち、ホントに半分遊びでしたね。
お金をもらうのが申し訳ないと思いました。
ゲームって悪いとは思いませんがそれだけに夢中になるのはもったいないような気がする。
もっともっと世界は遊びに満ちている?
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 09:59
fukuyokaさん、雨だれの音、吹き付ける風の音、雪の積もる気配、、自然の音も容赦なく家の中に侵入してきました。
すだく虫の音、猫の恋、犬のケンカ、子どもたちの話声、どうかすると御用聞きとおばさんの立ち話まで。
今は、静か?懐かしい音が消えても静寂という感じはしません。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 10:16
takoomeさん、そうかあ、そうもいえるね。
気がつかない、聴こうとしない、鈍になってるのかもしれない。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 10:18
gakis-roomさん、火にあぶるといいのですね。
小さくなると手を切りそうで怖かった。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 10:21
74mimiiさん、昨日聴いた落語で猫を挙げるときに「カツブシの一本もつけて」やるというセリフがありました。
今は貴重品かな。面倒がってやる人も少ないのでしょう。鹿児島に行った時製造工場を見学したことが懐かしいです。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 10:23
sweetmitsukiさん、辛かったり嫌だったことも時の経過により懐かしい思い出になることが多いですがそのとき匂いや音の感触も変容するのでしょうね。
Commented by 高麗山 at 2009-08-28 10:38 x
最近はトンと好い音と好い匂いには接することが無くなりました。
自分で包丁を使うときも、たまにするいわしのつみれ作りをする時に、両手包丁のリズムが唯一の快音です。
生家の近所に、旧い醤油醸造所がありました、製造期には嫌というほど生醤の匂いに悩まされたことも、懐かしい思い出です。
街中が芳しい匂いに包まれていたのが、オーストラリア・パースの街です。たぶん花木の香りなのでしょうが、最後まで芳香の根源を探ることができませんでした。
Commented by kaneniwa at 2009-08-28 12:21
ミュージックだけでなく、「音を楽しむ」 ということには
思い入れをもっているので、非常に味わいの深い
ブログ記事でした。

建設現場の音も、以前はリズミカルなトンカチ、
熟練の鉋、円熟のノコギリと、まさに創造のシンフォニー
が奏でられ、飽きることがありませんでした。

今は重機の音ばかりですね。

BYマーヒー
Commented by otayori-otayori at 2009-08-28 13:23
昨日、出かけたので、海産物店で、鰹節と昆布といりこと椎茸を買ってきました。袋入りには違いないけど、そこで削った鰹節はいい香りがします♪

どなたかがおっしゃっているように、音も、においも、ことばも、、、、いいものは変わらずに漂っているのかもですね~
Commented by みい at 2009-08-28 20:14 x
わたしは田舎育ちの田舎暮らしなので、花や木など自然の匂いは日常にあります。季節の移り変わる自然の気配、感じてますよ。
そうかあ、マンションだと分からないもんね・・・・。
幸せ感じています。

映画、何を観に行ったのか?わたしも気になります!
Commented by 旭のキューです。 at 2009-08-28 20:52 x
確かに、私の小学生頃は、さんまを七輪で焼いてパタパタでした。やっぱいい音ですよ(^.^)
Commented by tona at 2009-08-28 21:44 x
懐かしい音の数々を思い出しました。
温かく優しく、なぜか母を思い出す音が多いです。
毎日通る豆腐屋さんの笛?の音がまたしみじみ、郷愁を掻き立ててくれます。
あの頃のにおいもいいですね。
Commented by kaorise at 2009-08-28 22:42
そうざんす。エヴァといえばエヴァンゲリヲンざんす。
誰もエヴァなんておすすめしないだろうから、書いてみたけど、やっぱりsaheiさんには細田監督の「サマーウォーズ」ですなあ、、、
私の眼に狂いはありませんから、機会があればチャレンジして下さいな。
たぶん気に入るだろうし、、うわ最近の『劇画』っておもしろいねえ、って思えたら、若返りますよ、きっと。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:14
高麗山さん、いい音も出来れば人に出してほしいですね^^。
パースには息子夫妻がいます。行ってみようかな。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:17
kaneniwaさん、ありがとう。
家の前が建て直しをやっているのですが重機です。大工はいないのかとおもいます。
今日観てきた映画「里山」ではシイタケ栽培の人が菌をクヌギに打ち込む音が春の訪れでとても優しいいい音でしたよ。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:19
otayori-otayoriさん、今日は一段とおいしい料理でしたね。
食べに行きたかったですよ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:20
みい さん、料理の音も聞こえますか?
健やかな家庭ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:22
旭のキューです。さん、ね!ガスで焼くのとは味も違うけれど気持の違いが大きいですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:23
tona さん、なぜか母の思い出につながりますね。
私は父が早くに亡くなったせいかもしれませんが。
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-28 23:25
kaoriseさん、今日違う映画をみて時間が余ってその映画を見ようと思ったのですがうまく合いませんでした。
なんとかいってみます。
Commented by orangepeko at 2009-08-29 10:17 x
こんにちは。
生活の音ではありませんが…音のない「盆踊り」があるようです(^^;
不思議な光景で…不気味です(>_<)…見ていても楽しいものではないでしょうね(*^m^*)

高円寺の阿波踊りの音が懐かしいです~♪
お祭りのお囃子は賑やかでなくっちゃね…~♪(*'-^)‐☆
Commented by saheizi-inokori at 2009-08-29 10:54
orangepeko さん、いったいどこに?
それは踊る方も乗りにくそうですね。
夢の中の情景みたいだ。
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by saheizi-inokori | 2009-08-27 23:47 | よしなしごと | Trackback | Comments(32)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori