太郎ちゃんもお勉強しませんか 喜多八「長屋の算術」(池袋演芸場)
2009年 06月 25日
大家が言うにはこの長屋は世間で「無学長屋」と呼ばれてる。
熊さんは文明開化って食ったことがねえっていうし八つあんは文明開化は皇居にいるって、天皇陛下と間違えてる。
これじゃ恥ずかしいから隣町の連中にも負けないように、私が先生になって勉強をしよう。
隣町にゃあ負けてませんよ!こないだも祭りで隣町の連中が8人だってからあっしらは頑張って13人、、何のこったい?と大家が訊くと
食い過ぎて腹下した人数、、勉強ってなあ、読み書き算盤と言うだろう、そのソロバンをやろう
あ、そいつは勘弁してくんねえ、前にやってみてソロバン限り止めたんで、、ここに10円あるとする
ありません!そんな金あればこんなコギタネエ長屋に住んでねえ暗算もできなくっちゃ
そんなもの分かりっこねえ、ナンザンだったから10枚あるシャツが6枚売れたら何枚だ?
ナンマイダナンマイダ、、10引く6が4なんて分からなくても33引く29が4てのは分かりますオヤ又ずいぶん難しいのが分かるんだな
へえ、わっしが33で女房が29、惚れた二人はずっと4つ違い長屋のお勉強は楽しい。
大家先生は柳の宮喜多八殿下、教わる長屋の秀才・天才も殿下。
蒸し暑い池袋にけだるげに現れて「去年の夏の疲れが取れないうちに」「やる気がないってわけじゃないけど、どうにも力が入らない」ぶつぶつ言って枕をやってるうちにどんどんテンポが上がっていつしか俺たちは腹を抱えて笑っている。
初めて聴いた噺、仲入りで売店の前にいた前座に訊いたら「長屋の算術」です、と。
林家しん平がトリの池袋演芸場、俺には初見参の林家〇〇平が何人か出たがショージキつまらなかった(うん平が「強情灸」を熱演したが)。
こいつは大家さんに「はやし屋の話術」をやってもらわなくちゃ。
でも喜多八のほかに白酒、市馬が出たから文句なし。
白酒は「替り目(元帳)」
普通は女房がおでんを買いに出たと思って「いつも厳しく当たっているが心の中じゃ過ぎた女房だ、菩薩様だ観音様だと手を合わせているんだ」と独り言を言ってふと見ると「なんだ!お前、まだ行かなかったのか」でサゲル。
今日はその後もやった。
通りかかったうどん屋を呼びとめて酒の燗をつけさせといて「俺はうどんはデエッキレエだ」と追い返す。
戻った女房がそりゃ気の毒だとうどん屋を呼ぶ。
通りかかった人が「あの家で呼んでるよ」「アァ、あそこには行かれない。今行くと銚子の替り目だ」。
この噺が「替り目」と言われるのはここまでやって納得。
でも俺としては夫婦の機微を描いた前半のところで止める普通のやり方の方が好きだ。
そこで「いけない、元帳を見られた」と下げるひともいるから「元帳」ともよばれている。
市馬は「夏の医者」
親が腹痛で隣村の医者を迎えに行った息子と医者が山の上でウワバミに呑まれるが医者のもっている大黄(下剤)を腹の中にふりまいて無事生還する。
患者が「夏のチシャを食べ過ぎたための食当たり」だと投薬しようとして、あら、大変!ウワバミの腹ン中に薬籠を置き忘れた。
医者どん、とって返してウワバミ(下剤の効き過ぎで青い顔して木にもたれかかっている)にもう一度呑みこんでくれというと「いやだ、夏のイシャは腹に触る」。
絵本にでもしたら子どもが喜びそうな噺。
市馬の明るい語り口が民話の世界をうまく表出した。
あ~ぁ 可笑しぃ (健康には笑うのが一番です)
わっはっはのわっはは、笑って過ごせば世の中は~。
笑う角には福来る~~~年齢と共に怒りたくないですね。笑っていたいです!!