シミジミ。シミジミ。 息子家族の引っ越しと友枝「実盛」と

長男一家が引っ越す前夜、家で手巻き寿司をして名残の酒を、、ずいぶん飲んだなあ。
今頃は小雨の中で最後の荷物を無事積み終えたかなあなどと思うにつけ、母も何度も俺の転勤・引っ越しのたびに同じ思いだったんだなあと、シミジミ。
孫たちがけらけらと笑っていた姿がそこにまだあるような気すらする。

かつて単身赴任で独身寮に引っ越した時に子どもたちが送ってきてくれた。
彼らが居なくなったあとに、下の子が忘れて行った一円玉、俺がやったのが一畳の畳のベッドに見つかった。
なんとも言えない寂しさがあったが、あの時は毎週会えたんだし、何より若かった。
子どもや孫のことが心配と言うよりも本当のところは自分が心細いってことだね。

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昨日の昼は久しぶりに国立能楽堂で友枝昭世の会。

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「実盛」、72歳の武将が最後の出陣を前に白髪を黒く染める。
年老いた姿で若い武将と争って先駆けするのはみっともない。
老人とみられて侮られたくもない。
討ち死にを覚悟して錦の直垂を着て出る。
戦場、篠原はわが生国なるが故に、錦を着て故郷に帰ったのだ。

ダンデイーの元祖のような老人がいよいよ敵の手塚光盛に討たれるところ
老武将の悲しさは、戦にはし疲れたり、風にちぢめる、枯木の刀も折れて、手塚が下になるところを、朗等は落ちあいて、ついに首をば掻き落とされて、篠原の土となって、影も形も亡き跡の、影も形も南無阿弥陀仏、、
シミジミ。

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せっかくの友枝能だというのに前半は眠くてしょうがない。
予習が足りないからセリフが聞きとれない。
目を開けているだけで精一杯だった。
亀井忠雄の大鼓や豪華な地謡が耳に快い。
シテの声もワキ・宝生閑の声も内容は聞きとれないけれど音楽のように快い。
ああ、このまま寝たらどんなに、、。

毎夜、目が覚めると寝付けなくて落語を何度も聴いている。
そのくせ昼間の起きていたい時間には居眠りをこらえるのに一苦労だ。
年だなあ、シミジミ。

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Commented by HOOP at 2009-05-24 21:44
昼間眠いのは若い証拠ですよ。
Commented by takoome at 2009-05-24 22:42
サワディ〜カ〜
私、高校のとき、初日の通し、朝から晩まで歌舞伎を見に行って、
桟敷でひっくりがえって寝ていた事がある。あんなに贅沢な事はなかった。
年だけじゃないと思うよ、それが許される時にはやればいい、^^
Commented by ginsuisen at 2009-05-24 23:00 x
友枝さんの迫力、気迫は、しばらく充電を意識してのことでしょうか。それとも、老いに向かう芸道への厳しさを舞台で示したのでしょうか。老いてもなお若やぎて、常盤木のように、1000年に一度若く青々とする松のように・・そうありたいと思うのは実盛も友枝さんも見ている見所全部が願うことでもありました。
さびしいさびしいなんて言ってないでおじいちゃん、お孫ちゃんのところにGOGO!
Commented by 74mimi at 2009-05-25 05:20
ご長男は名古屋へお引越しでしたかしら・・・
近いですから日帰りでも気軽においでになれますね。
あまり心細くおなりにならないで下さいね。
心配になってきますから・・・
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 07:44
HOOPさん、若い人は年中眠そうだ。体力を使っているからですね。私らのは体力がないから起きてられない?夜は体力が要らないから起きてしまう?^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 07:45
takoomeさん、↑に書いたように眠たさの質が違うのかもね。
でも、あまり無理しないで居眠りもしましょう。いい気持ですもの。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 07:47
ginsuisen さん、友枝さんの後姿は毅然としてましたね。
あのような老人になりたいものですが、、。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 07:49
74mimiさん、そうです。近いのですが、そして東京にいるときだってそうしょっちゅう会っていたわけではないけれど、、気持の問題ですね。ありがとうございます。アメリカに行っておられる方のことも考えたら!
Commented by 旭のキューです。 at 2009-05-25 09:33 x
シミジミ読ませていただきました。内の子供3人いますが、後数年で家をでていくとおもいます。シミジミと読み返させていただきます。
Commented by 芙蓉 at 2009-05-25 09:34 x
紫陽花は、やはり雨が似合いますね~♪。美しいです。
佐平次さんも転勤族でしたか..。
雨の荷物出し、単身のご様子、去った後の寂しさ、
少々重ねながら拝見しました。

実盛、この時、72歳?
今ならまだまだお若い!ですが、当時としては長寿でしょうか。
武士としての美学、哲学感じつつ、
しかし、いつの世も、最後の幕引き、難しいですね...。
Commented by lotus at 2009-05-25 09:50 x
「実盛」は楽曲(?)が少なくて、語りが多かったですね。私もいつもより言葉が聞き取れずにうつらうつら。でも隣の「終わったら友枝先生を囲んで会があるか
ら」と言っていた関係者らしい若者もうつらうつらしてました。
ところで太鼓方が途中退座して、もどってくるまで若い人が太鼓を見守ってい
ましたが、ああいうことってよくあることなのでしょうか?
Commented by convenientF at 2009-05-25 10:15
セガレどもが全員(といっても二人ですが)が無頼なので、こうして堅気のお子さんをお持ちの方のお話に接すると何ともはや....

自分のイヌだけでなく、そこら中のイヌと仲良くするのは代償行動?
Commented by みい at 2009-05-25 10:46 x
ほんと名古屋は近い、近い^^。
こんなにいっぱいのブログ友がいるから寂しくないでしょ!
シミジミ~
連発でしたね。今回は(笑)

アジサイきれいです^^。
Commented by kaorise at 2009-05-25 13:07
人と暮らしてて離れるとなんとも淋しいものですよね。。。
私35までずーっと誰かと一緒の暮らしをしてたので、一人になってなんともいえない心細さというか、言葉にならない感じ、、よくわかります。
でもsaheiさんはかなり自立してる人だと思います!
それにまだまだ面白いことや、興味の湧くものいっぱいあるでしょう?
世界は一生かかっても体験できない文化の宝庫ですよね。
淋しさを忘れるついでに、ますます趣味の世界に夢中になって下さいね!
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 13:34
旭のキューです。さん、親が若いうちはむしろお目出度い気持ちのほうが強いし、大体自分のことでさびしがっている暇なんかないかもしれません。
年を取ると違った感情が生まれてきますよ。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 13:35
芙蓉さん、netで調べるとそんな年なんですね。能の謡いの中では60を大きく超えて、観たいな言い方をしています。
当時の60でもかなり長寿ですよね。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 13:38
lotus さん、私も初めて、ビックリしました。何かアクシデントでしょうね。
先日来、寄席で大神楽がミスが多かったりするのをみたりすると普段何気なくみている舞台もやっているほうは真剣一本勝負なんだなあと実感します。
太鼓の出番がなかったから引っ込んだのでしょうが、いつもそういう余裕があるとは限りませんもの。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 13:40
convenientFさん、この間まではそんなに気にならなかったことが違って感じられるようになりました。
CFさんは気持ちがお若いのですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 13:41
みい さん、ありがとう。
年を取る寂しさってのはあまり経験がないもんで、つい愚痴をこぼしましたね^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 13:45
kaoriseさん、世界は組めども尽きぬ宝の泉ですね、たしかに。
せいぜい気持ちを若く持っていきましょう。
家族で暮らしていた頃、夜行列車で一人旅立つのはとても寂しい気分になりました。
でもあの頃はそれが旅の魅力でもあったのですね。
旅愁、いまは人生そのものの哀愁です。
Commented by YUKI at 2009-05-25 15:26 x
お世話になりました。
Commented by せん at 2009-05-25 21:17 x
saheiziさんでも、眠くなるのですね!?
予習してないと、眠いのは私だけかと思ってました・・・・。
ちょっと親近感・・・(^.^)

私から見たら、saheiziさんは人生を愉しんで自由を満喫しているって感じで、非常に羨ましくオシアワセに思うんですが・・・。


Commented by yukiwaa at 2009-05-25 21:41
佐平次さんは、若い。落語を楽しんで、酒を楽しみ、散歩を楽しみ、お友達とお風呂行ったり、酒を交わして友情を感じあったり、ブログも只者でない内容を書き続けてる・・自分自身の芯をもち、快い言葉が続く佐平次さん。
息子さんたちが引っ越されたのは、寂しいですね。
でも、又慣れます。
年だから・・・と言える「歳」はまだ若い。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 22:04
YUKI さん、又気が向いたらおいで下さい。ご活躍を祈ります。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 22:06
せん さん、何の不足もないですよ、実際。
でもね、、。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-25 22:09
yukiwaaさん、息子が引っ越すのは6回目です。その内東京に来たのが2回、いつもは淡々としていたのですが今度は妙にさびしく感じました。
Commented by ginsuisen at 2009-05-25 23:25 x
lotusさん、saheiziさん、金春さんのはアクシデントでもなんでもありません。この何年かはいつもです。体調が理由・ということのようです。囃子方が座って待っている間も芸のうち、幕まで入るまでも芸のうち・なのでしょうが。あんまり大きく思わないでくださいませ。
Commented by saheizi-inokori at 2009-05-26 06:43
ginsuisen さん、そうなのですか、今までも彼の舞台は観ているはずなのに気が付きませんでした。
しかし、そうだとしてもやはり舞台に座っているだけで私などが想像する以上の緊張と疲労があるのですね。
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by saheizi-inokori | 2009-05-24 21:28 | 能・芝居 | Trackback | Comments(28)

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