屁を探させているのは誰だ？

わ～！おいらが借りに歩いてたのはオナラだったのか！

ご存じの落語「転失気（てんしき）」で珍念さんの驚きの叫びだ。

医者から「テンシキはありますか」と尋ねられて、訊くは一時の恥、食わぬはマツタケの恥をしのばなかった見栄っ張りの和尚が珍念に、「テンシキを借りてこい」と命ずる。
「テンシキってなんですかあ？」「前に教えたのを忘れおって！すぐにワシに聞こうとするのは良くない。自分で探してまいれ」


八百屋や花やに行って訊くと「今朝味噌汁の実にしてしまった」「棚の上に置いといたら鼠が落としてぐちゃぐちゃになってしまった」「床の間に飾っておいたら親戚のものが立派だからくれと言って持って行ってしまった」、、みんな知らないのだ。
結局医者に直接訊いて、それはオナラのことと知っての叫びだ。


「ナイブトーセイ」だの「コンプライアンス」だの「シーエス」だのいろんな言葉を知ったかぶりをした経営者が部下たちにそれを作ってみろと指示する。
その意味する本当のことを知りもしないでただ「やれやれ」と言ったって部下たちは何をどうしていいか分かるものではない。
本当のこととは自らが志を持って鉄の意志で実行しようとして初めて体得できるものだ。

その会社が本気で何を目的にして具体的にどんな手順で実行していこうとするのかを明らかにする。
その目標を達成するために何が問題なのかを具体的にリストアップする。
当然今までのやり方の多くがやり玉にあげられなければならない。
“抵抗勢力”が存在することは想定内、それも側近に多いと心得なければならない。
それでも不退転の気概・志をもって前進するのがトップの役割だ。

部下たちのそれぞれの果たすべき役割を明確にして実行しやすい環境条件（教育研修や幹部人事）を整える。
いつも見守ってフオローしてやる。
自らも手を汚さなければならない。
そうすれば全ては自ずから出来上がっていく。

そういった覚悟と準備もなしに、一つひとつの言葉だけを切り離して追い求めても指示文書、かけ声の羅列、報告書類の作成（中身の伴わない）などのアリバイ作りばかりが先行して骨折り損のくたびれ儲けになりかねない。

屁みたいな些事に追い回された部下たちからすれば「オナラを探していた」ようなものだ。

（俺はペースメーカーを装着しているけれど携帯メールを満員電車の中で打ちますね。医者からもＯＫもらってる。ほんとに危険なら優先席ごときで間に合うものか！アリバイ作りの鉄道会社）

会社ばかりではない。
景気浮揚策とやらをまとめた政府も同じようなアリバイ作り。
こいつはその機に乗じて火事場泥棒を働こうみたいな手合いの大笑いが目に見えるようで腹が立つなあ。

「ジユヨーカンキ」って、今やってることは腹いっぱい食べ続けてダイエットしなきゃいけない人にもっと食わせようとするようなものじゃないか。
まだ使える車にテレビ、冷蔵庫、、買い替えたらポイントだって！
もったいない精神はどこいった？
飽食を重ねて国民総成人病にしなければ成り立たないような経済にしてしまったのをどう立て直していくのか。
食糧難、資源の枯渇はもう心配要らないのか。
憲法で保障されている生存権すら脅かされている人に手を差しのべる方が急がれるのではないか。

やらなきゃいけない一番は行政改革だろう。この期に及んで省益第一の官僚を憲法に定められている"国民への奉仕"に専念させること。

（都電乗り放題なんてやる気はないかなあ）

政治のリーダーシップが高速料金のダンピングだったり自動車の買い替え促進では行政に代わって舵取りする能力が政治家にはないことを自白しているようなものだ。

まして小沢か非小沢かなんてことを争点にしてるようでは！
どうもこれはマスコミがそうしているように見える。
マスコミのいい加減な世論誘導にはそろそろノーを言わなくてはね。
これは、いや、どれもこれもトドのつまりは俺たち国民の責任だ。
俺たちがテンシキを探して右往左往しないこと。
排気ガスなんかよりずっと気持ちの良いテンシキを盛大にぶっぱなそう！

イヤハヤ楽しい落語の話がとんだ脱線でしたね。