ホラー好きには必読? ジョー・ヒル「20世紀の幽霊たち」(小学館文庫)
2009年 04月 18日
随分長いこと通勤のバッグに入れて歩いた。
この本を読み終えるまで通勤用にはほかの本を読まないでいたからその間の読書量もずいぶん減った。
中短編が19編、700ページ近く、厚さは3センチもあるだろう。
内容はホラー、ファンタジー、、おぞましく恐ろしく気持ち悪く、、読後感もすっきりしない。
たとえば、まともな、善良な人間のような語り口の主人公が実はとんでもない怪物だったとかゾンビだったというの、普通の人が歪んで語られるのって、気持ち悪い。
不思議なメガネ、偏光、歪曲、透視、、なんだか世の中が変にみえる。
それも美しい幻想なんかじゃない。
スプラッタとか。
家族も歪んでみえる。
行きづりの人間がゾンビで助けを求めた人間はその親分だったなんて悪夢だぜ。
そもそも俺はあちらの怪奇小説とかホラー物は性にあわない(百閒の作品など日本の幽霊は嫌いじゃないけれど)。
映画もまず見たことはない。
シチメンドクサクなくて楽しくてその本を読めるから、電車に乗るのが、無駄な待ち時間が出来るのが嬉しくなる。
しかも出来ればあまり嵩張らないで重くもない本。
見事にその条件から外れていた。
ま、最初はたまにはホラーもいいかと、ワクワクしながらスイスイ読めるだろうと思ったのだが。
スイスイとはいかなかった。
文体も、文章も凝っている。
なんだか楽屋落ちみたいな、この世界を知ってる読者の“当然の了解・理解”を前提としているようなところもある。
それなのに途中で放り出さずに読み終わったのは不思議だ。
それこそ、この本に何かホラーが潜んでいるのかもしれない。
軽くみたね。
逃げ出すことも許さなかったんだから、んにゃろめ!
(こういう町の昼下がり、あの曲がり角の先に中世の服装をした童が立って笑っている。
そんな妄想を楽しみながら歩くこともある。
左手前の家の窓が開いて死んだ親父が叱りつける。
今頃なにやってんだ エ?)
著者が、聞いてびっくり、座りションベンしちゃうようなホラー物の巨匠の実子であることが、解説で明かされる。
そういう14光(母も有名な作家)であることを知られたくなくて必死になって隠していたってのも今時ホラーだ(誰だ?ホラだなんてオヤジギャグをいうのは)。
ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会賞の三冠を受賞した小説集。
嫌いな俺でも作品のレベルが優れていることは分かった。
ホラー物が好きな人、特にその種の作品に明るい人には堪らないだろう。
お見逃しなく。
そういう人ならとっくに読んでいるでしょうが。
(みんなラーメン大魔王を見たくて並んでる?)
訳者 白石 朗、安野 玲、玉木 享、大森 望
何故かみんな名前が一文字、ホラーじゃ!
この本を読み終えるまで通勤用にはほかの本を読まないでいたからその間の読書量もずいぶん減った。
中短編が19編、700ページ近く、厚さは3センチもあるだろう。
内容はホラー、ファンタジー、、おぞましく恐ろしく気持ち悪く、、読後感もすっきりしない。
たとえば、まともな、善良な人間のような語り口の主人公が実はとんでもない怪物だったとかゾンビだったというの、普通の人が歪んで語られるのって、気持ち悪い。
不思議なメガネ、偏光、歪曲、透視、、なんだか世の中が変にみえる。
それも美しい幻想なんかじゃない。
スプラッタとか。
家族も歪んでみえる。
行きづりの人間がゾンビで助けを求めた人間はその親分だったなんて悪夢だぜ。
そもそも俺はあちらの怪奇小説とかホラー物は性にあわない(百閒の作品など日本の幽霊は嫌いじゃないけれど)。
映画もまず見たことはない。
シチメンドクサクなくて楽しくてその本を読めるから、電車に乗るのが、無駄な待ち時間が出来るのが嬉しくなる。
しかも出来ればあまり嵩張らないで重くもない本。
見事にその条件から外れていた。
ま、最初はたまにはホラーもいいかと、ワクワクしながらスイスイ読めるだろうと思ったのだが。
スイスイとはいかなかった。
文体も、文章も凝っている。
なんだか楽屋落ちみたいな、この世界を知ってる読者の“当然の了解・理解”を前提としているようなところもある。
それなのに途中で放り出さずに読み終わったのは不思議だ。
それこそ、この本に何かホラーが潜んでいるのかもしれない。
軽くみたね。
逃げ出すことも許さなかったんだから、んにゃろめ!
そんな妄想を楽しみながら歩くこともある。
左手前の家の窓が開いて死んだ親父が叱りつける。
今頃なにやってんだ エ?)
著者が、聞いてびっくり、座りションベンしちゃうようなホラー物の巨匠の実子であることが、解説で明かされる。
そういう14光(母も有名な作家)であることを知られたくなくて必死になって隠していたってのも今時ホラーだ(誰だ?ホラだなんてオヤジギャグをいうのは)。
ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会賞の三冠を受賞した小説集。
嫌いな俺でも作品のレベルが優れていることは分かった。
ホラー物が好きな人、特にその種の作品に明るい人には堪らないだろう。
お見逃しなく。
そういう人ならとっくに読んでいるでしょうが。
訳者 白石 朗、安野 玲、玉木 享、大森 望
何故かみんな名前が一文字、ホラーじゃ!
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takoome at 2009-04-19 00:17
サワディ〜カ〜
だめだ.....最近は目が、言い訳だ、そんなんばっか^^
だめだ.....最近は目が、言い訳だ、そんなんばっか^^
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m_poppy at 2009-04-19 00:41
>行きづりの人間がゾンビで助けを求めた人間はその親分だったなんて悪夢だぜ。
ちょっとだけ怪談の「ムジナ」を思い出しました。こちらは“昔話し”っぽく、ほのぼのしていますけれど。
ちょっとだけ怪談の「ムジナ」を思い出しました。こちらは“昔話し”っぽく、ほのぼのしていますけれど。
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kaorise at 2009-04-19 00:44
読んでみようかしらん、、私ホラーの古典はたくさん読んでおりますの。
ブラムストーカーの吸血鬼はもちろん、、だけどあれ聖書に親しんでなきゃあまり怖くないしラストに感動しないし、西洋ホラーってそういう所ありますよね。
宗教観に根ざした恐怖といいますか、、
sahei さんスティーブン・キングはお読みになりましたか?
彼の作品は社会的な側面があるので楽しめますよね、、代表作のシャイニングは好きでしたが、、短編の「死のスワンダイブ」という作品がホラーというより文学的で印象に残ってます。
カポーティを思わせるような、、アメリカ文学らしい、いい作品です。
ブラムストーカーの吸血鬼はもちろん、、だけどあれ聖書に親しんでなきゃあまり怖くないしラストに感動しないし、西洋ホラーってそういう所ありますよね。
宗教観に根ざした恐怖といいますか、、
sahei さんスティーブン・キングはお読みになりましたか?
彼の作品は社会的な側面があるので楽しめますよね、、代表作のシャイニングは好きでしたが、、短編の「死のスワンダイブ」という作品がホラーというより文学的で印象に残ってます。
カポーティを思わせるような、、アメリカ文学らしい、いい作品です。
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74mimi at 2009-04-19 05:19
美味しいのでしょうねぇ~ ここのラーメン。
でも並んでいるのは男の方ばかりですね。どうしてかしら・・・
でも並んでいるのは男の方ばかりですね。どうしてかしら・・・
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saheizi-inokori at 2009-04-19 08:20
takoomeさん、タイの幽霊とかお化けってどんなんでしょう?怪談てあるのかなあ。
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saheizi-inokori at 2009-04-19 08:23
m_poppyさん、日本の怪談にはいろいろありますね。梨木果歩の小説は怪談が多いです。私の好きな怪談。
民話にもホラーは多いですね。
民話にもホラーは多いですね。
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saheizi-inokori at 2009-04-19 08:25
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saheizi-inokori at 2009-04-19 08:26
74mimiさん、近所の独身青年の食堂?
味はきっとしつこいのでしょう。盛もよくて、、。
味はきっとしつこいのでしょう。盛もよくて、、。
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kaorise at 2009-04-19 15:52
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saheizi-inokori at 2009-04-19 16:24
kaoriseさん、母親もタビサ・キングという小説家「スモール・ワールド」という怪作ホラーは邦訳があるそうです。
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旭のキューです。
at 2009-04-19 18:08
x
逃げ出すことも許さなかったんだから、んにゃろめ!が笑えました。御礼申し上げます。「やってみない」と誘われて明日で開設1年なります。よくもったな~という感じです。まさしく継続は力なりですね。
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saheizi-inokori at 2009-04-19 18:42
旭のキューです。さん、そうですか、もう一年!早いですねえ。何杯蕎麦を食べましたか?
by saheizi-inokori
| 2009-04-18 23:12
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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Comments(12)