あれからもう9年か 懐かしい映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」

先日キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラを描いた映画「チェ28歳の革命」を観た。
思いだしたのが映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」だ。


2000年の正月に観ている。
当時、しょっちゅう社員宛てに「ホンの戯言」と題したメールを発信していた。読んだ本を会社に寄贈するのに、その簡単な紹介をするのと、折々の所感を書いていた。
その中にこの映画のことも書いていたので自分の文章の引用と云うこっぱずかしいことをします。
(前略)というわけで、くたびれていたが、気分を明るくしたくて、最初のお目当て「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」をみたのだ。文化村など冷やかしてきたら、15.30に間に合って座れた。それにしても若いカップルがぎっしり、情報に敏感、行動がはやい。単にヒマなだけか。
映画は素晴らしかった。キューバのミュージシァン、それも名人ばかり、世に知られることもなく引退同然の人たちをひっぱりだして同名のバンドを編成する。80歳から90歳という、年寄りが主体。このバンドは、グラミー賞をとり、カーネギーホールも制覇するしだから、知っている人もいるかも。
映画は彼らのレコード録音風景、コンサート風景、キューバの風景などをつなげ、その間にメンバー自身が生い立ちや、人生観、音楽観を語る。私生児だとか、信仰だとか、ラサロを信心している歌手が、ラサロに何を毎日お供えしているか説明するのだがその時ラム酒もあって、これは「ラサロが好きに違いない、なぜなら俺が好きだから。」「ラサロは乞食だが人間を助けてくれる。聖人の姿と乞食のとあるが俺は乞食が好き。」などと、ぼつぼつとしゃべる。   
音楽がよくて人物がよい。オーラが画面から感じられる。
でもホントに田舎のトッチャン。
NYに行ってお上りさんを発揮するところなんか、かわいくてかわいくて。ウィンドウにあるケネデイの人形をみて「これはだれだ。忘れた。きっと何かのリーダーだ」というところ!エンパイヤの展望台から、自由の女神を見ながら、「あんなに小さいわけがねえ」とか、「もしそうなら、頭になにかのせてるはずだ、そんなものここからみえないだろう」というようなやりとり。
「女房や娘にNYの景色を見せてやりたかった」としみじみ語る。世界のミュージシァンだぜ。これが。
演奏する段になると凄い迫力。貧乏だが素朴なキューバの暮らしがよくて、これはもう絶対もう一回見に行くつもり。帰りにちりめん亭のナントカラーメンを食べて晩ご飯としたが、とても豊かな気持ちの晩餐でした。
早朝出勤して打ち合わせが始まる前に書きなぐったものだからひどい文章(長いし、あまり読まれなかっただろう)だが俺は懐かしい。

この映画はすっかり気に入って、そんなことは初めてなのだがDVDをすぐに買った。
そして社内で希望者を集めてそれの映写会をやった。
一人で見るよりみんなで楽しめる映画だと思ったからだ。
酒などは持ちよりでと云ったらいろんな寄付があって結構なつまみも揃って酒盛りになってしまった。
だからもうワイワイ、映画はBGMみたいなものになってしまった。
それでも楽しかったなあ。
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(イブライム・フエレールの美しい声、コンパイ・セグンドの渋さ、ルベン・ゴンザレスのピアノの優しさ、オマラ・ポルトウンドの情熱、、殆どみんな死んでしまったはずだ)

キューバの音楽に凝って何枚かCDも買った。
夏にはぜひキューバに行こうと思った。
オマラ・ポルトウンドのコンサートはやっと取れた二階の一番奥の席で観て興奮した。

キューバには行かず、CDは今もときどき聴くがDVDが何処に行ったか見つからない。
Commented by suiryutei at 2009-01-28 23:00
こんばんは。
ゲバラの映画のほうは、私も一昨日観てきました。
Commented by ginsuisen at 2009-01-28 23:01 x
この映画は娘が興奮してみてきて、騒いでいました。うちでもCDを買って、しばらく聞いていました。もう9年ですか。あの映画後、キューバに行った若者も多かったのでは。
Commented by antsuan at 2009-01-28 23:02
人の心がどろどろに溶け合って、時の流れがものすごくゆっくりに感じます。
Commented by 74mimi at 2009-01-29 06:44
CDを探してみます。音楽 素晴らしいです!
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 07:04
suiryuteiさん、ご感想は?
私はああいう人物が今いたらと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 07:06
ginsuisen さん、音楽がいいということはあの人たちがいいのですね。
音楽をこんなにも楽しむのかとも思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 07:07
antsuan、過ぎているときにはものすごく早くてあとになってみると案外ゆっくりなのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 07:08
74mimiさん、彼らは今天国で一緒に楽しんでいるのかと、そうであってほしいです。
そういう光景をしのんでこちらもほっとします。
Commented by 旭のキューです。 at 2009-01-29 08:10 x
映写会で酒盛りが受けます。
Commented by tona at 2009-01-29 08:55 x
音楽を愛することが、年取ってからこんな倶楽部結成にまでなって素晴らしいなあと観ていました。
「チェ・ゲバラ」は如何でしたか?又の日に感想が書かれるのでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 09:26
旭のキューです。さん、何十年という古酒を持ってきた人もいて、映画はどうでも良くなっちゃいました。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 09:28
tonaさん、先日の感想が拙いけれど感想なのです。
おじいさんたちはカーネギーホールから世界中を演奏して歩いたのですよ。
Commented by lotus at 2009-01-29 17:56 x
あの頃、私のまわりでもたくさんの人が興奮してましたね。音楽もよかったし、アメリカ旅行のエピソードもおもしろかった。しかし、なぜヴィム・ベンダースが監督なんだろう、なんでロックギタリスト(というイメージだった)のライ・クーダーが出て来るんだろう、と思ったのですが、どうもライ・クーダーはルーツミュージック(という言葉があるらしい)を掘り起こしていて、ベンダースとは映画音楽を担当したりして親しかった、ということがあるようです。ユーチューブ見たら、キューバの人達と楽しそうに演奏してますね。
Commented by tona at 2009-01-29 20:21 x
佐平次さん、大変失礼しました。
確かに感想を読んだのですが、新聞で読んだのと混同して、すっかり失念していました。情けないですね。恥ずかしいです。
お許しくださいね。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 22:16
lotus さん、ライ・クーダーの功績は大きいですよね。
ビジネスだけではこういうことはできないと思います。
彼らの楽しそうな顔ときたら!
そして私も今も楽しんでいます。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-29 22:19
tonaさん、どういたしまして!
日本と全く違う行き方をしてやってこれたのはキューバの人たちの性格によるところも大きいでしょうね。
この映画を観ると日本人との違いを感じます。よしあしではなく。
Commented by kaorise at 2009-01-30 01:24
社員って、社員って、、saheiさんはどこかの会社の上の人なのね〜
わたし、てっきりsaheiさんは早めに引退した落語好き風呂好き本好きの風流人だと思ってました。
よく考えたらそんな人、いまどき世の中にいるわけないのに〜
saheiさんって社会的な話題を書いても、どこか浮き世離れした感じがしますね。
Commented by convenientF at 2009-01-30 12:16
「Buena Vista」と「綾小路きみまろ」は、ちょっと沈み気味の時に必ず観るDVDです。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-30 12:35
kaoriseさん、早めに半分引退した、落語好き、風呂好き、本好きの人間です。
風流人かどうか、かなりゲスですが。
この記事は昔の思い出、いまや思い出に生きてるなあ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-30 12:37
convenientFさん、彼らが亡き後、同じようなバンドとかミュージシャンはいるのでしょうか?
どうもあれっきりという感じがしますが。
Commented by convenientF at 2009-01-30 15:23
>彼らが亡き後、

日本の演歌の歴史と現状を見ればわかりやすいと思うのです。
起源は民謡、つまり「労働歌」と「踊り」ですが、民謡の臭いがする歌を歌っている若者はいまや「氷川きよし」と「ジェロ」君ぐらい。「労働歌」は消え、「盆踊り」はマニアだけのもにになっています。

キューバ音楽も同様で、最近はブッシュが国連に毎年要求されながら封鎖態勢を完全には撤廃しないからだという利いた風な理屈が通るそうですが、単に世界の人々が近世ヨーロッパや中南米で生まれた「社交ダンス」を楽しまなくなったから衰亡してきただけのことです。
世界中がロックンロールばっかり。小泉がプレスリー詣でをしたから、にしましょうか(^^;)。

非常に優れた感覚、技術を持ったミュージシャンは誕生していますが、我らが津軽三味線の若手奏者たち同様、ハービー・ハンコックを頂点とする現代ジャズの世界に入っていきます。

情緒纏綿たる「キューバ艶歌」は、「股旅演歌」と同様、古い録音で楽しむしかなさそうです
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-30 23:24
convenientFさん、ありがとう。
そうだと思います。だからこそ彼らの音楽を又とないものとして楽しめるのですよね。
落語でもどんな名人が現れても志ん生とは違う。
時代精神が違うのですから同じだったらしょうがない。
Commented by MAKIAND at 2009-02-01 16:36
キューバ。
私も行ってみたい国です。
最近になって、人、人間をまた撮りたくなっています。
どこかに幾たびにずーずーしくも声をかけさせてもらって、写真を撮らせてもらうんです。
その国の人をそんな一瞬になにが判ると言うのかと、自分でも思いますが、一瞬でも良いからその人の人生に触れてみたいと思うんです。
映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。へんな性格の私はすぐじーんと感じてしまう。^^
Commented by saheizi-inokori at 2009-02-01 20:54
MAKIANDさん、どうして変な性格なんですか?
この映画がいいと思う人はいい性格です^^。
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by saheizi-inokori | 2009-01-28 21:46 | 映画 | Trackback | Comments(24)

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