日向子さんは今頃江戸に遊んでいるのかも 杉浦日向子「風流江戸雀」(新潮文庫)
2008年 12月 06日
会ったことはないけれどきっと気があっただろうなあ。
この本はパリに住むRIEさんにいただいた。
オクターヴのママだ。
この間、日本にお里帰りしたときに会って、読んだ本を何冊か差し上げたお礼にと、彼女が大好きな本だという。
フランスにアコーデオン弾きになろうと単身出かけて、当地のハンサムと結婚して生まれた子にオクターヴと名付けた。
そんな女の子がこういう本を好きというのが面白い。
古川柳、それも艶っぽいのを二つ、その間をマンガでつないでお江戸の風景を描き出す。
長屋の熊さん八つあん、お店のお嬢様と若いもん、娘をそろそろ嫁にやらなきゃと気を揉む旦那、いつも口さがない能天気な町内の若い衆、、、落語でお馴染みの世界。
テレビもないし携帯もパソコンもない。
車どころかチャリもない。
エアコン、冷蔵庫、掃除機、映画、スタバ、、みんなない。
今の若い衆の生活に欠かせないもの・環境がどれだけ欠けているか。
貧しい、不便な、信じられな~い世界。
学校、会社、もしかして、ないのが羨ましいっていう人もいるかも。
その世界がとても心豊かな優しい感情、素直な気持(助平の面でも)の通い合いから成り立っていて、それこそ自然との共生だ。
日没とともに闇がやってきて日の出が一日の始まり。
エコだよ。
それほど今とは違う世界が懐かしく好ましく感じられるというのは、実はいつの時代も市井の人たちの生き方の根っ子のところはあまり変わってないということかもしれない。
所載の古川柳をいくつか紹介しましょう。
おちゃっぴい へそから出たと 思って居
「みー坊!赤ちゃんてどこから出てきたか知ってるかい?」
おてんばキカンキの娘をからかう若い衆
雷を まねて腹がけ やっとさせ
庭でかあちゃんと盥の行水したのはいいけれど腹がけするのが嫌で逃げ回る坊
暑気見舞い まくらとうちわ 持ってにげ
裸同然で昼からダラダラしているとツイツイ女房が気になって、、
そこに来たのが野暮な暑中見舞い
胸ぐらを 取った方から 涙ぐみ
「この浮気もの!くやしいったらない!」
くどかれて あたりを見るは 承知なり
「ね、いいじゃないか」、、ちっちっち、、「ほら、スズメが見てるから恥ずかしい」
下北というより東北沢かな、、この近所に住んでた事があって
ここでお友達の写真を撮ったことがあります。
もし江戸時代に産まれてたら、私なんて体も神経も強くないから、
たぶん大人になるまえに病気で死んでます。
実際、日常が着物で洗濯も殆どできず、壁の薄い長屋に暮らし、
共同のお風呂なんて耐えられない、、
第一、女が自立できずに嫁にいかなきゃならんなんて、信じられない。
人権はどうなっているんだっ〜
こんな私が日本人だとは、あきれた話ですね。いやはや、、
なんとなく嬉しいなあ。
お天道様に見られている思えば全てばれていると自覚できます。
江戸時代の大らかさは頭より体を使う方が多かったからではないですか?。
静岡、伊豆、千葉の太平洋岸の比較的暖かい岬の崖などに自生すると聞きますが、昨今は庭先でも結構見かけますネ。
その背景の白い花は、春の七草のひとつ、「ハコベラ」(←ハコベ:繁縷)ではないでしょうか?
裏山で捕獲したメジロの餌として、ハコベの葉をすり鉢で一々すり潰して与えていた頃を思い起こしました。
人の糞尿さえも無駄なく肥料に利用されて、ゴミがほとんどなかったと聞きます。
今、その生活スタイルに戻れと言われても無理でしょうが、その時代の
精神は未だにいろいろな場面で受け継がれているような気がします。