佐野真一「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」(集英社インターナショナル)
2008年 11月 04日
沖縄は島ではなく、国だったわけです。ところがいまは、手を広げ口を開けて(日本からの補助金を)待っているだけの島になってしまった。かつての琉球王国は、ボロ船に乗って隣の国に行って貧乏な可愛そうな国だと思わせながら、帰りは豪華な船に乗って帰って来るようなしたたかな国だった。そういうしたたかさが、まったくなくなってしまったのが現在の沖縄です。ところが“血”だけは残っているわけですよ。沖縄アクターズスクール校長のマキノ正幸の言葉だ。
安室奈美恵を発掘してスターに売りだしたもののバーニング社など本土の芸能プロダクションに多くの沖縄出身タレントを育てては“奪われる”立場に追い込まれてしまった人だ。
琉球民謡は大阪にわたって根強い差別の中で生きた沖縄人によって息を吹き返し、戦後沖縄に逆輸入され、アメリカの文化政策の後押しで花開いた。
そのアメリカ支配がなくなり、ナイチャーギャル(本土から来た女の子)が石垣や宮古にまで行ってホステスをする現在、沖縄の芸能はどうなっていくのか。
月刊プレイボーイに33回にわたって連載された記事を加筆修正したという本書。
純粋無垢な沖縄、被害者としての沖縄というワンパターン化した沖縄の物語を「大文字」の物語で、それは「雨が降るから天気が悪い。悪いはずだよ、雨が降る」という俗謡のようなものだと云い「小文字」で沖縄の戦後を書こうとしたと云う。
「語って説かず」、それがノンフイクションの最大の要諦だと。
沖縄のヤクザの物語。
沖縄人による奄美大島に対する凄まじい差別の物語。
”沖縄の四天皇”と言われ、ヤクザとのつながりも隠さない財界人、政治家、左翼活動家の出自、型にはまらない猛烈な生き方の物語。
東声会、山中貞利、小渕、山口組、、本土のボスたちの顔も陰に陽に。
沖縄メデイア史、軍用地主の実態、“女傑”たちの群像、模合い(もあい)と呼ばれる独特な金融システムなどの金融事情、上に書いた沖縄芸能の人脈図など、なるほど”有無を云わせぬ事実”を次から次へと“暴露”する。
厚さ4センチ以上もある大冊だがグイグイと読ませる(電車の中では読まなかったが)。
そしてやはり最も“読みたくなかった”のは最終章の「今日の沖縄・明日の沖縄」。
基地問題だ。
被害者である14歳の少女に責任があるかのように云われた米軍人による暴行事件。
守屋元防衛庁事務次官の秘蔵っ子である佐藤勉・元沖縄防衛施設局長の収賄疑惑。
沖縄密約問題をスクープした元毎日新聞記者・西山太吉の名誉棄損請求裁判の敗訴。
四天皇の一人が興した國場組の社長が提唱するカジノ構想。
仲井真・現知事の米軍に対するへっぴり腰。
(てぃんさぐぬ花)
最後を佐野はこう結ぶ。
沖縄人のこうしたパーソナリテイ(常に強者の顔色を見ながら世渡りする、依存体質と事大主義)をつくってきた背景に、アメリカのしたたかな外交戦略の手玉にとられた日本と、自分の勝手な都合で沖縄を思うように振り回してきた日本があったことを、不勉強なメデイアを含めてわれわれ日本人は片時も忘れてはならない。(略)本当に暴露しなければならない戦後史を隠蔽し続けてきたのは、沖縄の悲劇を他人事としてひとり繁栄を謳歌し、世界に顔向けできない恥ずべき官僚や、政権を突然放り出す無責任な宰相を二人も生み出して、いま国際社会のなかで急速に孤立化を深めるわれわれ日本人だったのではなかろうか。最後に”説いた”。
こうやってまたsaheiziさんのブログを見れて幸せです♪
勉強不足でした。。。
この唄、歌ってますよ、サンシンはじめてちょうど1年です。
立ち読みでもいいかも知れないです。
祈りたい気持ち、子どもの無事を祈る母の気持に通じるかもしれません。だって子どもたちの未来を左右するかもしれない。
アメリカの意向もあったかもしれません(分離支配)が雇用の場の確保とか様々な動機の中で極めてオープンな支配・差別がおこなわれました。
サンシン良いですねー。
沖縄の悲哀が出てる。
私達は知らぬ間に加害者になっていたんですね。
認識せねば。
知るべきですよね。