談春の”江戸”源氏物語(柏木) ぶっとび「厩火事」(博品館劇場)
2008年 10月 31日
仕事もしないでごろごろしている八五郎としょっちゅう喧嘩しては「兄さん」(仲人)のところに愚痴を言いにやってくる。
今日の喧嘩はおさきが鮭を食っていて八に魚好きを冷やかされてお返しに芋好きの亭主を「芋男」と罵ったのが発端ってンだから困っちまう。
今日と云う今日はアイソもコソも尽き果てた。もう別れるから、兄さんよろしくといきまくおさき。
いい加減業を煮やした兄さんは「別れちまえ」という。
先日覗いたらひとりで刺身を肴に一杯やっていた。
外で働いている女房の帰りも待たずにそんなことをするような了見は許せねえ、別れちまえ、別れちまえと。
そんなに云わなくてもいいじゃありませんか。なにもマグロを一頭解体してご近所に配ったわけでもないし、酒だって一本だけ私の渡した小遣いで呑んでるんだし突然、風向きが変わって亭主の弁護を始めるおさきだ。
いってえ、どうしたいんだい?
私が元気で若いうちはいいけれど婆さんになったら亭主は他の女に気を移すんじゃないか。「お前が婆さんになったら八も爺さんになるから、あんな野郎がもてるわけがないから安心しろ」というと
そうなってからクヤシイって噛み付いてやりたくても歯がなくなって土手しか残ってないからくすぐったがるだけ。
ああ、じれったい!
ハッツあんのほんとの気持ちが知りたい
兄さんは女をちっとも分かっていない。っていやはや、志ん生や文楽には出てこない”カレセン”論議に大笑い。
まるで坊ちゃん、花緑みたいなんだから。
女と云うものは、ああいうどうしようもない男に弱いのよ。
私がついていなくちゃってとなるんだから、現にこの私がそうなんだから。
金持ちや肩書きをぶら下げている老人なんて女は大嫌い、お妾さんになったりするのはその男に惚れてるんじゃなくて持ってるお金に惚れてるだけ
八五郎の本心を測るために大事にしている骨董を割って、
ひっくり返ってピクピクしてろ、女房に怪我がなかったかを案じてくれるなら良し、女房そっちのけで骨董のことを気にするようなら諦めな。唐土の孔子(留守中に焼け死んだ愛馬より部下の身を案じた)と麹町の殿様(階段から滑った奥方よりも持っていた貴重な皿が割れなかったかを案じた)の故事をあげ
唐土か麹町か試して麹町だったらどうしようと気を揉みながら帰るおさきがいじらしい。
おさきは落語に登場する「女房人気投票」で栄えあるトップになったという記事をどこかで読んだような気がする。
談春は志ん生のおさきよりもっとガラッパチな女房にした。
先にやった「源氏物語・柏木」の江戸時代編、なんと光源氏は江戸で一番と云う三味線を弾く検校、柏木と夕霧はその三味線の弟子。
三宮は三味線名人の血統をひくということで愛妾紫を差し置いて後妻になる。
それに岡惚れした柏木という設定。
おう!カシワギ、カシ公!と夕霧の兄貴が入ってくるところから始まった。
テレビのワイドショーで泰葉を見ていたら、これぞ六条御息所だと思ったね。というけどそのワイドショーを見てない俺にはチンプンカンプン。
あれは前亭主=金髪源氏が悪いかも知れない
源氏物語を落語で解釈・表現するんじゃなくて落語を源氏物語で表現する。
分かったような分からないような枕をおいて一時間以上の熱演。
それなりの反応にほっとした様子が見えた。
その分、後でやった「厩火事」は伸び伸びを超えた伸びノ~ビで楽しくやったようだ。
「奥様お手をどうぞ」
柏木は三宮にそう云ったのか?
八五郎はおさきの手を取った。
お前が怪我をしたら俺は遊んでて酒を飲むことができねえって。
この場をお借りして、
佐平次さん
確かに(宮沢賢治の世界は)「独特」ですね。普通の詩人や童話作家とはどこか違うような感じです。生き方そのものが常人離れしています。
落語に出てくるおかみさんというと「町内の若い衆」や「半分垢」のように亭主を尻に敷くタイプが多いような気がしますが、それでもおさきさんがダントツの一番です。
「あんなロクデナシには愛想が尽きた」と自分でいっておきながら「そうだ、あんなロクデナシとは別れちまいな」といわれるとムキになって反論する下りが堪りません。
ほんとうは自分くらい源氏を愛した女はいない、その私のことが分かっているのかしら口惜しい!って、そこがそっくりだと云ってましたよ。
私は泰葉って会ったこともないから知らないけれど。
賢治の田舎の強欲な連中を描いた小説は面白かったです。題名は忘れたけれど。
あれはもしかしたら自分の一部を書いているのかとも思いました。
結局最後はノロケになってしまうんだから。
落語を源氏物語で表現する・・・初めてのことでしょう。落語家もどれだけ勉強したのでしょうか。凄いですね。
この記事の構成、抜群ですね。落語も良く解って最後の最後にオチが・・・
江戸の長屋では女が仕切っていましたね。何しろ男ばかり多かったし。男なんてよりどりみどりなんだが、よりによってろくでなしを養っちゃう、実力のある職業婦人はご立派。
源氏物語千年・・・読みたくなります。落語の方も奇想天外で面白そう。
しゃれた音楽も楽しく拝聴。
そういえば、懐かしい映画の予告編も嬉しかったし、落語の一席も楽しませて頂きました。有難うございます。
書いている私が楽しんでいました^^。
どなたかの[You Tube貼り付け手法」にこれからも影響されそうだな。
美味しそうです。^^
麺に特徴があります。わたしは好きです。素朴で沖縄を感じさせるのです。
これを蕎麦ということに日本のソバ屋が反対したことがあるそうです。
みみっちい噺ですね。