のんこのしゃあ えこる 蛙(カワズ) 落語「金明竹」三題噺

毎度変わり映えもしないお噂で、暫くの間ご辛抱を願っておきます。
え~、「金明竹」という噺、与太郎が道具屋の店番をしているとやってきた男がペラペラとしゃべります。
わて、中橋の加賀屋佐吉方から参じました。
先度(せんど)仲買の弥市の取次ぎました道具七品のうち、
祐乗(ゆうじょ)、光乗(こうじょ)、宗乗(そうじょ)三作の三所物(みところもん)。並びに備前長船の則光、
四分一ごしらえ横谷宗岷小柄付きの脇差し、あの柄前(つかまえ)はな、
旦那はんが古鉄刀木(ふるたがや)といやはってたが、ありゃ埋れ木じゃそうにな、木イが違ォうておりまっさかいなあ、念のため、ちょっとお断り申します。
次は、のんこの茶碗、黄檗山金明竹、ずんどうの花いけ、
古池や蛙飛び込む水の音と申します。あれは、風羅坊正筆の掛け物で、沢庵、木庵、隠元禅師はりまぜの小屏風、あの屏風はなァもし、わての旦那の檀那寺が、兵庫におましてな、この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって、兵庫へやり、兵庫の坊主の屏風にいたしますとなァ、かようにお伝え願います
こうやって書いても意味が分かりにくい。
それを立て板に水、早口言葉のように一気にしゃべるから、与太郎、すっかり喜んで10銭やるからもう一度やってみろ、なんて。
男は汗をかきかき繰り返すがラチがあかない。
おかみさんが出て来て「この子は少し足りないので失礼しました。もう一度お願いできますか」と頼むが、おかみさんとて分かるものではない。
何やかや、都合5.6回も同じセリフを繰り返し、とうとう帰っていく。

のんこのしゃあ えこる 蛙(カワズ) 落語「金明竹」三題噺_e0016828_19354839.jpg
(井戸尻歴史民俗資料館。道具屋じゃ売ってないかも)

旦那が帰ってからのおかみさんの報告が可笑しい。
仲買の弥市が気ィ違って、遊女を買って、、孝女で、掃除が好きで、、(略)隠元豆に沢庵ばっかり食べて、いくら食べてものんこのしゃあ。
ワケのわからない報告に業を煮やした旦那が「どこか一箇所でも分かったところはないのか?」と訊くと
なんでも古池に飛び込んだとか
とうとう弥市サンを殺してしまう。
旦那
あいつに道具七品を預けておいたんだが、どれか買っていったか?
おかみさん
いいえ、買わず(カワズ)です。
前座が口慣らしのために覚える噺だが同じ口上を繰り返してお客を飽きさせないのは難しい。
しかも始めの口上の中のいろんな言葉が後のおかみさんのデタラメ報告の伏線になるのだから、それが客に分かるように(早口の大阪弁でも)喋っておかないと面白さは半減する。
権太楼がやると汗をかくお使いの男と無邪気に喜ぶ与太郎、かっこつけてみたけどヤッパリ分からないので焦りまくるおかみさんの三者が見事に演じ分けられて最後の抱腹絶倒の報告になだれ込んでいくのがよろしい。

この間聴いた柳家一九は、口上を他の噺家よりもゆっくりと聞き取リ易いようにやっていた。
これはこれで一工夫だなと思うが、謡うような、流れるような早口言葉の面白さは薄れてしまう。
前座噺でも難しい。

のんこのしゃあ えこる 蛙(カワズ) 落語「金明竹」三題噺_e0016828_19292863.jpg
(9か月、つかまり立ちをして2・3歩歩く。要警戒だ。人見知りをするようになったと聞いたが俺には最初から笑顔!)

そこで”町の小さな靴屋さん”「えこる」だ。
この店の支店が御徒町の吉池の一階にあるというので行ってみた。
支店と名乗るには支店に恐縮なような通路に開いた小さな小さな臨時店舗だ。
それでも本店と同じように明るい笑顔で靴のケアをしてくれた(もちろん無料)。

なんで「えこる」かって?
「えこる」の目白店で佐藤社長から聞いたのだが吉池の社長はシャレた人で店に
吉池やかわず飛び込む水の音
という句を書いた色紙を飾ってあったそうだ。
確かに急に雨が振ってくると飛び込みたくなる場所(御徒町駅に隣接、アメヤ横丁の玄関口)にある。
入ったからと云って何も買わないかも。
御徒町店で与太話をしながら見ていたらお客様の顔が蛙に見えて、、は、来なかった。
カンカン照りの日だったからね。
吉池の社長も落語ファン?
Commented by HOOP at 2008-08-25 21:00
そういえば、昔は吉池で鮮魚を買った記憶があるのですが、
もしかするとそれは吉池の横浜支店だったかもしれません。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-25 22:04
HOOPさん、今も鮮魚も売ってますよ。
500円のテイーシャツも。
Commented by sweetmitsuki at 2008-08-25 22:10
この噺、何度聞いても意味が分からなかったのですが、そういう事でしたか。書いてあってもさっぱしですけど。
古池ではなくて吉池なのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-25 22:25
sweetmitsukiさん、古道具のことをいろいろ言ってるのですね。早口言葉にしておかしみを出している。
坊主が屏風に上手に絵を描いた、なんて子どもの頃やりましたね。
Commented by たま at 2008-08-25 23:45 x
母の17回忌で帰省した際に泊まった、とあるマイナーなホテルの歓迎看板に「宮 様」とあっておっかなびっくりしたところ、よくよく見ると、「古池」ならぬ、「古宮 様」の勘違いでした・・・。
東京育ちの息子の嫁にしっかりと実家の「ボットン便所」を見せたところ、しっかりと「カルチャーショック」だったようです。
「ゴーヤのリング揚」の苦味と太刀魚の刺身、そして百日紅(サルスベリ:別名「クスグリの樹」←幹を摩るとしっかり枝先がくすぐったそうに笑う。)紅花をしっかり堪能しました。
それにつけても、お孫さんの髪のふさふさの羨ましさや・・・。
Commented by henry66 at 2008-08-26 05:56
あら、髪の毛切っちゃったんですね!
しかも人見知りどころか、最初から笑顔。
佐平次さん、先週から可笑しいくらい心配なさっていたけど、拍子抜け!
江戸風味の噺がひとつ書けそうですね。
Commented by 74mimi at 2008-08-26 06:39
可愛い(ハンサム)ですねぇ!
それは佐平次さんには笑顔ですよ。
だって そっくりなのでしょう!?
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 07:23
たま さん、楽しいお便り、なんだかお話がひとつできそうです。
くすぐりの木、初めて聞きましたよ。やって観ましょう、今日は雨だけれど。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 07:26
henry66さん、。たまさんのコメント↑に噺ができそうと書いたばかりですよ。
随分刈り込んだようです。梳いたんですね。
人見知りってどういうときにするんでしょうね。2か月前に会ったばかりだからかな、それとも息子の実家で人見知りをして既に人見知り卒業だったかのか^^。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 07:28
74mimiさん、そっくりは髪の多さだけ(と云うことにしておかないと関係者が多いですから)。
Commented by orangepeko at 2008-08-26 07:39 x
saheiziさん、おはようございます(^-^)
本当に可愛いですね~♪赤ちゃんの写真は良いですね~♪
見ているだけで幸せな気分になれますヽ('-'*)~♪

そうですか、つかまり立ちをしましたか…歩くのは時間の問題ですね(*^m^*)
先日母と娘と買い物に行って…
12.5センチの靴を見て余りの可愛らしさに…思わず微笑んでしまいました…
娘は履きましたが…息子は14センチから(>_<)
お孫さんもそろそろ用意しなくちゃね~♪…で「えこる」なんでしょ(・・?)
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 09:45
orangepeko さん、そうかあ、靴がいるんですね。
えこるにそんな小さな靴があるのかな。
Commented by ginsuisen at 2008-08-26 10:39 x
えこるには、ちゃんとベビー靴ありますよー。外反母趾が一番多いのは子供たち。今はベビーからスニーカーブルース、昔のように穴のあくズック靴をはいてないので、刻々大きくなる足を靴が固めてしまうのです。小さいときから大地にしっかりの「えこる」の靴をどうぞ。
Commented by tona at 2008-08-26 11:40 x
落語も難しいというのが実感です。
古鉄刀木など読み方や意味の取れない言葉の連続。語り継がれない限りなくなってしまいそう。

お孫さん、本当に可愛いです。
見ていて飽きないでしょう。saheiziさん、いいですね。
Commented by そら at 2008-08-26 11:47 x
梟佐平次さん,お久しぶりです♪
いっつも読み逃げばかりしてました(^^;)

お孫さん,ホントしっかりとしたお顔でふさふさの髪♪
興味津々って感じが伝わってくるわ~(*^_^*)
要警戒っていうのがちょっと笑える(=^▽^=)
Commented by sakura at 2008-08-26 11:55 x
今日は横顔!横顔も素敵に可愛い・~♪~
髪の毛がふさふさ・・・
数十年後 さぞやハンサムボーイ!
今はイケメンと言うのですね。
このままで居て欲しいナ・・何と可愛い事。
どうしてこんなに可愛いのかな~~?
又お願いしますね。
Commented by gaki at 2008-08-26 12:46 x
前座の口慣らしですか。これができたら二つ目なんてすぐに卒業できそうに思いました。

お孫さんの可愛いしぐさがいいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 14:30
ginsuisen さん、ありがとう。
習志野方面に店があるかどうか、訊いてみます。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 16:04
tona さん、古タガヤサン、タガヤサンと言う固い木があるようですね。
きっと値打ちがあるのでしょう。
そう云ってたけれど良く見たら単なる埋もれ木で”木が違う”と言う意味でしょう。
辞書を引いて調べました^^。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 16:06
そらさん、いらっしゃい。
ほんとに昨日まで出来なかったことを突然できるようになるからね。
私なんかと逆だ。^^。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 16:06
sakura さんのリクエストに答えて爺馬鹿をやりました。今度はいつ来るやら。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-26 16:08
gaki さん、寿限無よりは難しいかも知れないですね。
最もやさしそうな噺のほうが結構難しいのかなあ。
Commented by HOOP at 2008-08-26 17:47
たしかに、本店というか、あそこは以前も今も鮮魚を扱っていますよね。横浜のほうの店はなくなってしまったようなのです。書き方がおかしかったな。
Commented by お茶好き at 2008-08-27 23:02 x
おちびちゃんかわいいですね~。人見知りがないのは何よりです^^。でももしかして鏡を見てると思ってたりして^^;
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-28 07:08
お茶好きさん、鏡だったらかわいそうですy~>
Commented by お茶好き at 2008-08-28 16:03 x
いえいえそんなことはないですよ^^。将来有望で~す!!
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-28 23:48
お茶好きサン、アンガト!
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2008-08-25 20:44 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(27)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori