いつも有難うお囃子さん 「寄席囃子江戸の彩り」・国立演芸場特別企画公演
2007年 09月 24日
楽しかった。
「落語芸術協会」
小松美枝子 稲葉千秋 松本優子
「落語協会」
田中ふゆ 太田その 金山はる
「落語協会」の名前でお年寄りかと思ったら皆さんお若い。
芸名なのだ。
太田さん(芸大)を除く5人が国立劇場の研修生。
まず志ん太が「孝行糖」をやって荷売りの声で会場に江戸の町空間を呼び寄せる。
そのあとは自分も笛で参加、さん弥ともう一人前座?の二人が太鼓。
「ご案内」はさん喬、軽妙に笑いを誘いながらお囃子の種類や役割、三味線のお姉さんの人柄まで引き出していく。
出囃子
前座用の出囃子が3曲もある。
師匠ごとに好きな出囃子を選ぶのだが譜面なんてないから三味線のオッショサンが勘で作る。
白鳥は「白鳥の湖」、ヨネスケは「野球場に連れてって」なんて変り種、やって見せてくれた。
面白いなあ。
円楽「元禄花見踊り」、歌丸「大漁節」、馬風「のっと」
「勧進帳」を寄席風と長唄のやり方で比べて聞かせて
松本優子さんはインタビューで何を聞かれても「ありません」「知りません」。ブアイソ、取り付く島がないのに好きな曲は?「すけんぞあき」聞き取れないが「吉原雀」のことをいったらすかさず独演させられた。
地囃子やはめもの
曲芸や奇術のBGMに使われる「キューピー」や「馬かけ」
効果音もある。
水音とか波の音、でも誰でも知っているのが幽霊ですね。
ウスドロという太鼓にネトリという笛、ひゅ~どろどろ。
三人づつで「本手」と「変手」に分かれて演奏する「千鳥」「米洗い」。
和音というより賑やかさが出る。手品で聞くよ。
お囃子で唄が聞こえてくるのはいいものだ。
普段は弾き語りだが今日は芸協が三味線、落協が唄の分業。
「追っかけ」、輪奏もあるんだね。
さん喬、さん弥で深川・坊さんをずっこけてさん喬がかっぽれでしめたあと、もう一つ今日の目玉は「鏡味仙三郎社中」の太神楽。
あまり見ることが出来ない「かごまり」もやってくれた。
ちなみにお囃子無しで曲芸をやってもらったが練習を見ているようでメリハリも華もなくつまんない。
中入りのあとはさん喬が「鰍沢」を大熱演。
今日の趣向はお囃子を要所要所で効果音としてつかって古典落語というよりも一人芝居をみるようだった。
共に落語が大好きな満員のお客とお囃子の間に仲間意識が通ったような、いい気持ちの一夜だった。
写真上は小布施枡一市村酒造場が古来の酒つくりを復活した木桶。
下は森下・「山登」、さんまご飯もうまかったけれどこの「鯨のたれ」も柔らかくてスグレモノでした。
出来上がった舞台(と言っていいのでしょうか)では、多分「お囃子」は何気なく聴いてしまうと思うのですが、唄やら笛やらで、しっかりと落語家さんを支えているのですね。
輪奏もあるなんて!聴く耳が変わってきそうです。
木桶の背後の「酒」の文字の意匠も、面白いですね。
たとえ背景にいて人々から意識されなくても彼らがいないと豊かな世界を味合うことが出来ないのですね。