子はカスガイ? 映画「しゃべれどもしゃべれども」                   

原作を読んだはずなのに中身をあまり覚えていない。
「本の雑誌」の年間ベスト10になったような記憶がある。かれこれ10年以上も前だから覚えていないのも無理はない。
読んだ本は感想を書いて前の会社に寄贈していたからその感想をまとめた文集を見ればわかるはずと思って一生懸命探すけれど出てこない。
本を寄贈しはじめた頃より前に読んだのかなあ。

 子はカスガイ? 映画「しゃべれどもしゃべれども」                   _e0016828_0444088.jpg
それで映画を観ていると確かに知っている世界なのだ。
スジはともかく世界に馴染みがあるのだ。

メルヘンと言ってもいいようなある種非現実的なお話。
人間関係がうまく行かないビジンとか、苛めにあう転校生、プロとしての見識はあっても表現力がない元野球選手などの存在にはそれなりのリアリテイや”詩”を感じるが、全体としては、ふあーっとした”キレイナ”世界だ。
しかし、つまらないのではなく、だからこそ安心してみていられる。
細部のリアリテイに頷いて共感したり思い出を呼び覚まされる。

「垂乳根」「饅頭怖い」「かわず茶番」「火焔太鼓」「粗忽の使者」「たがや」、まだあったかな?
馴染みの噺がどんどんでて来る。
浅草演芸ホール、老舗の蕎麦屋、末廣亭、水上バス、谷中か根津辺りのような路地、庚申塚かな都電が店の前を走るクリーニング屋、焼き鳥屋、、舞台も俺のよく彷徨うところばかり。
これで銭湯が出てくれば言うことはない。
それも既視感をもたらすのかもしれない。

 子はカスガイ? 映画「しゃべれどもしゃべれども」                   _e0016828_0451949.jpg
関西弁で生意気言う可愛い小学生の存在がなかったらこの映画、殆ど面白くなかったと思う。
彼を取り巻いて主要人物の個性が生きてくる。
女主人公、ちょいと不自然な感じもするがマア固いこといわない、ビジンだから。
元プロ野球選手、野球が好きで野球を良く分かっているのに言葉に出して表現できないから解説者として落第。
でも映画ではいい味だしている。

言葉についてトラブルを抱えて周囲とうまくやっていけない三人が、二つ目落語家のところで落語を習って事態を打開しようとする。
主人公が居候をしている家はおばあチャンの家、下町の純日本家屋(庶民向き)、俺が一番住みたいような素敵な家だ。
おばあちゃんもひょうきんな弥勒菩薩みたいでいいなあ。

くどいようだけど、あの小学生がいてはじめてこの映画の主要な登場人物が生きている。
特に二人の主人公の会話がイマイチ(話ベタという設定というのとは別な意味で)だから、映画が沈み込みそうになるのをこの子の快演・快弁によって救われている。
Commented by naou7 at 2007-06-09 10:39
同感です☆関西弁のあの子良かったですね^^
八千草薫の「饅頭怖い」、も良かったです。もう少し聞きたかった。
佐平次さん観た後は、蕎麦屋でいっぱい?
Commented by そら at 2007-06-09 11:08 x
おっ!久々に同じものを体験♪なんかうれしいぞっとo(^▽^)o
通の梟さんは、この映画、どうごらんになるのかなぁと思いましたが、そうか、雰囲気はとってもOKだったんだ。
ん?雰囲気?
1度、落語を通して聞いてみたいなぁと思ったのでした(*^_^*)
Commented by saheizi-inokori at 2007-06-09 12:49
naou7さん、おばあちゃん、ほんと可愛いし品があって言葉が生きてましたね。
蕎麦屋?静かに帰りマシテン。
Commented by saheizi-inokori at 2007-06-09 12:57
そらさん、感想書いてくださいよ^^。
火焔太鼓なんて今時高座で聞いたことない大ネタです。研究会などホールではやるのかもしれませんが私は聴いたことないですよ。
「垂乳根」「たがや」「粗忽の使者」はたまにやります。
「蛙茶番」もやらないかも。三代目金馬の蛙茶番は抱腹ものです(テープ)。
Commented by hanamaki3 at 2007-06-09 17:49
私が一番不思議に思ったのは香里奈の設定。
クリーニング屋の娘なのに、人としゃべるのが苦手ってどうしてかな、って。それに、お蕎麦を食べてるときに突然泣き出すでしょ。昔の彼とどうのこうの、って。ん~、原作読むとそんなところがよく分かるのかな、と思いましたけど。
子役のコは絶対学校でいじめに遭うタイプじゃないですよねぇ。
でも、全体的にほのぼのしていい映画だったなと思います~☆
Commented by saheizi-inokori at 2007-06-09 21:24
hanamakiさん、今晩は。アイロンかけ、気がうつろになって焦がしやしないかと心配しましたよ。
苛める宮田が少し悪すぎてあれではクラスの人気者にはなれそうにもないと思いました。人気者になりそうなまさるにライバル心を燃やしたのかな。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2007-06-09 00:42 | 映画 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori