しまなみ海道も地域格差の波を浴びていた 島紀行(2)

尾道から今治を結ぶ「しまなみ海道」、因島、生口島、大三島、伯方島、大島を橋で連絡して車で走れば一時間くらいなものだ。
風光明媚とはこういうところをいうのだろう。
旅の間中「瀬戸は日暮れて夕波小波~ダンダン畑に~」、「瀬戸の花嫁」の歌詞の端バシやメロデイーが口をつき頭の中で鳴り続けた。

美しく、穏やかで、懐かしくて、まさに”美しい日本”の標本みたいな景色だ。

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尾道はお寺の町であり文学の町。
左は志賀直哉・旧居の縁側に座って見下ろした光景。直下は今公園になっている。右は林芙美子の書斎。
千光寺に登る山道には「文学のこみち」、徳富蘇峰、頼山陽、直哉、芙美子、十辺舎一九、・・25の句碑歌碑が点在する。

大屋根はみな寺にして風薫る  巌谷小波
のどかさや小山つづきに塔二つ 正岡子規

変わったところではご当地出身、第12代横綱・陣幕の
うけながら風の押す手を柳かな 
句碑に手形が彫り込んである。

どれもイインだけど・・
ちょっと多すぎやしないか。お寺も。魚はいくら沢山出ても良いけれどお寺や句碑はあまり多いとありがたみが薄れるようで・・。

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大三島・大山祇神社に付属の「宝物館」と「海事博物館」は初詣の人たちもあまり寄らない。
海事博物館にあった何とかエイの標本。まるで小悪魔だね。
神社の近くには「大三島美術館」もあり田淵俊夫記念室は見ごたえがあった。中島千波の「精樹大楠」という神木を描いた絵が展示されていないのにはがっかり。その代わり加山又造の桜島を描いた迫力のある屏風があった。
橋は「大三島橋」、どの橋も美しいのだが、建設費に巨額の投資があったから回収のために交通費が高い高い!
大島から今治なんて高々10キロもあるかどうかなのに「1700円」、「エー」と魂消たら料金所のオジサン、にやりと笑う。「みんな驚くでしょう?」「ええ」。
それと道路が狭い、たまに二車線になると直ぐに又一車線でしかも対面交通。
美しい橋も走ると怖い。しかも多くの車のマナーが悪い。
今治市内の道も曲がりくねって、交通標識や道路の白線が判りにくい。
要するに財政が厳しいから道路整備などに手が回らないのだ。
大三島の女将さんも「今治と合併されて高い交通費をかけて今治に行かなくてはならなくなって、しかも税金も高くなって・・」とこぼしていた。確かに元日の今治は閑散としてどの店も閉まっていたが大三島はにぎやかだった。
東京一人勝ち、地域格差は問題だね。

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今治城から見下ろした「砂揚神社」。大変な人出なので「今治の人は正月にお城に行くのか」と不思議だったら、城内に神社があったのだ。
藤堂高虎が海水を堀に引き込んだ城だ。
これだけの人が出ているのに屋台はあれども近くに飲食店がない。あってもすべて休み(元旦)。やっと見つけた寿司屋、さぞかし美味しい魚かと期待したら量が少なくまずく高く、最近のワースト10に入りそうなひどいものだった。
不景気は人情をも壊すのか。
右は伯方島にあったご存知「伯方の塩」の工場。大三島にも同じ工場があった。大三島のほうが新しいのか。どこかのオジサン二人連れも車を留めて写真を撮っていたのが可笑しい。

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大島・亀老山展望台からの360度は素晴らしい。特に今治とを結ぶ「来島海峡大橋」は見飽きない。
右は大三島と生口島の間にかかる「多々羅大橋」。「多々羅温泉しまなみの湯」、「マーレ・グラッシア大三島」というフロがあって、マーレ・・はタラソテラピー、海水を沸かした町営の風呂。どちらもなかなか良かった。

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伯方島「鶏小島」という変わった名前の島を望む湾。海賊たちの船がここからでたドック跡があり、今はバーベキューなどができるように整備されている。
大島に行く「伯方大島橋」と渦を巻いて流れる海流が美しい。

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生口島の「耕三寺」は不思議な寺だ。開山の耕三和上は当地出身・苦労して実業家として財をなす。
母のために造った屋敷と母亡き後は自ら出家して母の菩提を弔うために30年余をかけて造った寺が「博物館」として観光客を集めている。
その建物は日光陽明門を、大阪四天王寺金堂を、室生寺五重塔を、法隆寺桜門を・・24の伽藍建築が東西の有名建築を模して造られている。
「西の日光」と呼ばれるらしい。
ただ、単なる安っぽいコピー建築とはいささか違って様式は模しながらそこに刻まれる彫刻は全く独自のテーマであり15棟が国の登録有形文化財になっている。
地下には300メートルほどの千仏洞地獄峡が彫られ、仏教の世界観を示している。
見ごたえがあるのだ。
しかし、感動はしなかったのだ。なぜかは分らないが。

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耕三寺にいた「オオサンショウウオ」。君にもいい年であるように!
Commented by 夢八 at 2007-01-03 15:12 x
佐平次さん、お帰りなさい。
長編の旅日記、ユックリ読ませていただきます。

まずは、今年もよろしくお願いします。
Commented by saheizi-inokori at 2007-01-03 16:38
夢八さん、こちらこそよろしくお願いします。
蕎麦は旨いな、大きいな~時々文部省唱歌「海は広いな」の節で歌うことがあるのです。なぜか。
Commented by suiryutei at 2007-01-03 16:54
お帰りなさい。そして、あけましておめでとうございます。
瀬戸内はやっぱり魚が美味しそうですね。
今年もよろしくおねがいします。
Commented by otayori-otayori at 2007-01-03 21:25
明けましておめでとうございます。
家でしか(我が家・実家・夫の実家)お正月を迎えてことがありません。。
旅館やホテルで迎えるお正月、、、一度味わってみたいです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by saheizi-inokori at 2007-01-03 21:59
suiryuteiさん、小魚の旨さは人間にも通じるようです。大きな人ばかりがえらいんじゃない、山椒は小粒で・。
Commented by saheizi-inokori at 2007-01-03 22:01
otatyoriさん、家で迎える正月こそ最高です。家庭の有難さは正月こそハッキリします。
Commented by greenagain at 2007-01-04 18:55
あけましておめでとうございます。

しまなみ海道、いつか行きたいと思っています。
率直なレポート、大変参考になりました。
交通費、ホント高くて目を回してます。
車、高速と橋で一気に値段が上がりますもんね。国内旅行より海外旅行の方が安く感じます。
正月は家族というものを考えさせられます。
有難くもシガラミから逃避したくなり、離れると有難さ倍増で、近いとシガラミで逃避したくなり。感謝の伝え方など、考えさせられます。
今できることをするのみなんですけど、ね。
正月、大はしゃぎすると、後がキツイんで、静かに正月を過ごされる方が、きっとスムーズに今冬を越せると思いますよ。

今年も宜しくお願い致します。
Commented by mmiizzz at 2007-01-04 20:37
今年もどうぞよろしくお願いします☆

慎ましく静かな雰囲気の良いお正月ですね。
「伯方の塩」! 小さなところで作っているんですねー!
Commented by saheizi-inokori at 2007-01-04 21:14
greenagainさん、一緒にいるとしがらみで離れると懐かしい、全く言いえて妙ですね。
家族っていわば分身みたいなものだから嫌でも好きでも逃げ切れるものじゃないんだなあ。愛しくもあり、うざったくもあり。
Commented by saheizi-inokori at 2007-01-04 21:18
mmiizzzさん、冥土の旅の一里塚をヨッコラショと越えました。
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by saheizi-inokori | 2007-01-03 13:48 | こんなところがあったよ | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori