天才夫妻の愛のあり方 アルマ・マーラー「グスタフ・マーラー」③
2006年 07月 03日
私に不可解なのは、健康で元気な子供たちにキスし、愛撫して、一時間も経たぬうちにその子供たちの死を嘆くことができることだった。又
第一楽章のスケッチが終わった時、彼は裏山から下りてきて、私のことをテーマの中で表現しようとしたと言った。「うまくいったかどうか知らないけれど、まあがまんしてくれよ」それは、”空を飛ぶようなテーマ”だ。
彼のどの作品も、この曲ほど心の深部から直接に出たものはない。その日私たちは二人とも泣いた。音楽とその予言する内容は私たちを深く感動させた。その予言の内容とは子供の死と英雄・マーラーに三度の運命の打撃が加わり三度目に倒れる、というものだった。
その頃の二人の会話。マーラーは未完の作品を見せることはなかったことについて話す・・。
「私が一人の男に愛するものは、その人のいきついたものよ。その人の成果が偉大であればあるほど私は引かれざるを得ないわ」
「それはまったく危ないね。もしぼくよりできる男が現れた場合のことをいってるつもり」
「そしたら私、愛さざるを得ないわ」
彼はにやりとした。「じゃ、ここしばらくは安心だ。ぼくよりできる奴なんていないからね」
やはり私たちはお互いに妬いていた。
その後10年をまたずマーラーは死に、アルマの愛の遍歴が始まる。いやその前にX氏とアルマの関係をマーラーが疑い二人の相克、やがてはより一層の深い愛への結実がありその愛がマーラーの感動的な終章を包むのだ。
これからは、辛抱して終わりまで聴くことにします。
『アルマ・マーラーとウィーン世紀末の芸術家たち」― 一人の女神とアーティストたちの奔放な愛をたどる音楽堂アートスペース
プログラム アルマ・マーラー:5つのりート
ベルク:抒情組曲
J. シュトラウス:皇帝円舞曲(シェーンベルク編曲版)
G. マーラー:リュっケルトの詩による5つの歌曲より
日時:2006年9月30日(土)14:00開演、5000円、シルバー4500円
くわしくは http://www.kanagawa-ongakudo.com/
音楽堂主宰のコンサートは優れたものが多いので、お知らせまで。
館山の夕日の写真、珍しい色で夢のようです。