先生様、ありがとう &志ん駒さん、さよなら

在宅診療は、外来の患者さんや、そのご家族から頼まれ、医療の基本は在宅診療にあることを深く実感することになりました。 10数年もお付き合いでは、医師・患者という間柄にとどまらず、人と人として向き合っていく方が自然とり、大変ありがたいことだと思います。その信頼に応えられるよう、私にできることを精一杯させていただきたいと思っています。
「赤ひげのようになりたい」と言っていると「はじめ」のママに教えられて、今捻挫のケアに通っているクリニックのHPに書いてある。
「往診」、子供のころは風邪でもお医者さんが来てくれた、あれが基本だったのだ。

午後は4時からの診療、少し早めに行って待っていると、まず肥った看護師さんが、ちょっと遅れて先生が往診から白衣のまま戻って来る。
診察室も待合室も、この近辺にあるクリニックのコジャレた内装とは大違い、ひと昔前の田舎の何でも見てくれるお医者さんという雰囲気(事実ここはなんでも診てくれる)、でもスリッパはその都度消毒してあるしトイレは広くて清潔だ。

帰ってきたときは無言で前のめりになって入ってきた、ちょっと怖い感じの看護師さんが、実はとても優しい、「待ったでしょう」と声をかけ、「さあ、そこに座って足を出しましょうか、テープは剥がしておいてください、、皮膚に呼吸させなくちゃいけないですから、ウチからだと歩くのに差し支えるかもしれないから、待合室でね」。
どこかで聞いた訛りがあるので、訊ねてみたら、「どこだと思いますか」、「九州かな」ニコッと笑って「長崎、いいところです、離れてみて初めて分かった」。
土曜日のリハビリは2時で終わりだから今日は出来ない、ウオーターベッドのマッサージが気持ちいい、と言ったら、「やっていきますか」と特別に30分(ふだんは10分)もやってくれた。
先生様、ありがとう &志ん駒さん、さよなら_e0016828_10111694.jpg
受付にいる事務の女性たちもこまめに体を動かして待合室の患者の世話をしたり話を聞いている。
平日は8時まで診察というのも優しい。

僕は、引っ越してきたときにそれを待っていたかのように、お隣さんみたいな近くに内科クリニックが開業して、「真夜中でも電話してください」と自宅の電話を教えてくれ、カミさんのよろず相談にも乗ってくれ、義母は危ないところを助けてもらったりしたから、まさにホームドクターがいる。
そこに外科やリハビリの「赤ひげ」先生が加わり、循環器と呼吸器は大病院で定例の診察と検査、身に余る盤石の備え(肝心なことは僕自身の健康管理ではあるが)で感謝の他はない。

きのう群馬大学病院のことを書いた筆が走って、世の中の医者全般が信用できないような記事になった。
大きな病院と言えども、また見た目に立派なクリニックと言えどもヘンな医療ビジネスを行っているところが多いのではないかという意味だった。
それを看過しむしろその原因を作るのが「白い巨塔」であり医療行政ではないかとも。
北里大学、杏林大学、、無制限ともいえそうな残業、おそらく他にも似たような過酷な医師の労働実態があるのではなかろうか。
今お世話になっているクリニックの先生も引退したら、あとはどうなるのだろう。
あの行きつけの寿司屋のように病気で倒れたら、、。
盤石な備えも板子一枚、かもしれない。
先生様、ありがとう &志ん駒さん、さよなら_e0016828_11252834.jpg
志ん生のさいごの弟子、志ん駒が亡くなった。
海上自衛隊にも勤務したという変わり種、晩年の志ん生をおぶって銭湯につれて行った噺など、明るい漫談が楽しかった。
ときに、立ちあがって海の手旗信号をやって見せたりした、あの姿が見られないかと思うと寂しい。

Commented by jarippe at 2018-01-21 18:03
都会は〝お医者様”があちこちにいらしていいですね
田舎では選ぶどころかそこの医院しかありませんもの
そこの医院の紹介状がなと病院には行く事が出来ません
高齢になればなるほど良くも悪くも
そこの医院を頼りにするようになることでしょう
Commented by テイク25 at 2018-01-21 21:25 x
jarippeさんが仰るように地方では選べるほど先生さまがいません。今朝の地方新聞でも開業医の70%だか80%が60歳以上という記事がありました。全てが高齢化でこの先どうなるのでしょうと云う気持ちです。

国にはそれこそ日本全体を「俯瞰」した政策を打ちだして欲しいと思っています。が、あのアベちんはそんなこと考えていないのだろうなぁ~~~。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-21 21:39
> jarippeさん、そうですね、私の家の周り1キロにいったいどれくらいクリニックがあることか。
そのなかからほんとに信頼できる医者を見つけるのは大変です。
田舎で開業している医者は概して人間的に信頼できるのではないかな。
子供のころのM医院は同級生のお父さんがやっていて、自転車で往診してくれたことを懐かしく思い出します。
洗面器にお湯を用意して待ちました。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-21 21:45
> テイク25さん、医学部の連中が皮膚科などシンドクない医者になろうとしているという話も聞きます。
物価や税金が高くても東京に住む魅力は医者が多いということもあると思いますが、それもいつまで続くのかなあ。
Commented by sweetmitsuki at 2018-01-21 22:05
私が救急車で搬送されて入院した医療機関(飯田橋にあるT病院)で、ほぼ3日間欠かすことなく点滴を受けていた(ですから72時間ずっと)のですけど、薬を交換してくれる看護師さんは「今日担当の○○です。よろしくお願いします。」と挨拶してくれる人もいれば何も言わずに黙って取り替える人もいてそれぞれ対応が違い、病院の規模の問題ではなく人間の問題だとその時思いました。
大きい病院ですと人手不足ですからいろんな人がいるのでしょう。
以来、大きい病院で診てもらうのはなるべく避けるようにしています。
Commented by j-garden-hirasato at 2018-01-22 05:58
医者にかかって、
優しい対応は、ほんと助かりますね。
普段、医者にかかることはほとんどないので、
一層、そういうときは、そう感じます。
Commented by at 2018-01-22 06:56 x
志ん駒の大ファンでした。あの独特の勢いに圧倒されました。
笑いは健康のために大切だと説いていました。これは杉良太郎さんからもらった服だと自慢していました。圓蔵とあちらで掛け合いをしていてほしいものです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-22 09:13
> sweetmitsukiさん、そうですね、いろんな人がいる。
そのなかで病院として一定のレベルを保っていくためのシステムをつくること、それが活かせるような条件を作ることが求められるのでしょうが、私の主治医もその点については悲観的です。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-22 09:14
> j-garden-hirasatoさん、上から目線でやられると患者はものをいえなくなって、それは治療上もよくないはずですよね。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-22 09:15
> 福さん、亡くなってみるとああいうキャラクターが寄席を楽しい空間にしていたんだなあとつくづく思いました。

Commented by ほめ・く at 2018-01-22 11:11 x
小児の頃からの慢性喘息で、特に小学生から中学生の頃までが酷かった。一晩に何度も発作を起こして苦しんだんですが、近所に深夜に何度でも往診してくれる医師がいて本当に助かりました。
アル中気味で、夕方になると飲酒していて注射の手が震えるのが欠点でしたが、あの医師がいなかったら私はどうなったのかと、今でも思います。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-22 11:58
> ほめ・くさん、深夜に何度でも!ありがたい、まさに有り難い存在ですね。
Commented by sheri-sheri at 2018-01-24 14:10
ほんとにしみじみとしたお話がいっぱい。今日もお邪魔して良かったです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-25 00:24
> sheri-sheriさん、そう言われると張り合いがでます。
ありがとう。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2018-01-21 11:44 | よしなしごと | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori