小さな喫茶店で読むにふさわしい探偵小説 浜尾四郎「途上の犯人」
2018年 01月 11日
目次の15の短編を見ても心当たりがない。
手に持って歩くとさすがに指先が冷たい。
男の子と女の子がしごく当たり前に仲よく。
僕の頃はもっと「構えて」しまったなあ。
でもあいつは人間のつもりかもしれない。
前から入ってみようと思っていた喫茶店に入る。
お、家庭的、若い女性客が二つのテーブル越しにオバアサン・ママと談笑している。
コーヒーを頼んだら、その女性がカフェオレを頼むので、ぼくもそっちにした。
ママ、足が痛いらしく女性客がぼくの分も運んできてくれる。
牛乳を飲むような背の高いガラスのコップに金属の持ち手がついている、本を読みながら飲むのにいい。
ミルクコーヒーみたいな味。
ママが世間話をして女性客が聴くのを楽しんでいる。
「可愛そうにねえ、ウチはもう要らないから、あげちゃおうか、って娘にいったんだよ」、晴れ着を着られなかった娘たちを気の毒がっている。
浜尾四郎「途上の犯人」を読み始める。
東京駅を午前11時35分に出発した第33列車名古屋行の三等室、空いた車内にいる男に見覚えがある。
一昨夜、新宿から塩町までの市電の中でも見た男、あのときも今も私の顔を見つめどおしだった。
自分の考えを説明し、読者に語りかけたりする叙述が懐かしい。
三島駅を発すると、男がポケットからウイスキーの瓶を取り出し私に勧めるが断られて一人で呑む。
あゝ、ポケット瓶!
元検事今は弁護士でいながら探偵小説作家の私に議論を振っかける。
そして自分は「先生(私)」の小説のお陰で殺人を犯したと言い、話を始める。
暮れやすい春の太陽が弱い光を投げかけながら今、山に入ろうとしている。
ママと女性客の話もつけっぱなしのテレビニュースの内容も、もう耳に入って来ない。
こちらは冬、外は暗くなっている。
トイレを借りて勘定をすますと入れ替わりのように若い男が入ってくる。
帰省先から「帰って」来た男、ママの迎える言葉が弾んでいる。
黙って差し出す小さな包みに、「いやだなあ、いつもこんなことして」。
自分の飲み物をもって座ろうとする男に「ここはみんなで手伝うんだね」と声をかけると、にっこり笑って「そう、セルフサービス、なんす」と僕のコップも下げてくれた。
どれも懐かしく、この小説集を読むBGMになるかも。
ここにアップしようと思ったが、うまくいかない、アドレスだけ。
「喫茶店の片隅で」
「一杯のコーヒから」
「小さな喫茶店」
図書館で借りられた御本の表紙のデザイン、色遣いどこか懐かしいタッチですね。・・・
喫茶店で本を読むsaheiziさん、かっこいいなぁ(^^
学生時代は暖房や冷房のある試験勉強の場所でしたから。
この表紙、いいですよね。
表現主義の絵みたい。
長いこと離れてるわ、どないなるんやろ?