今年も小三治が聴かれて幸せ 新春国立名人会7日

去年は切符が取れなかったけれど、恒例のカミさんといく落語名人会千穐楽。
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マフラーを巻いたサザエさんが、行ってらっしゃい。
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あの人、ちっとも動かないけど何してんだろ、と思ったら。
早くついて、永田町駅構内のカフエでサンドイッチをつまむ。
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いつもの華やいだ空気が希薄な感じがしたのは、加齢によるものか。
14列が一番後ろ、その通路寄りに並んで座る席、足を伸ばせてありがたい。
太神楽曲芸協会・寿獅子を楽しんで
花緑「謎のビットコイン」
「やかん」かと思ったら新作、隠居が「ビットコイン」を「ビットコ・イン」というホテルだとか、ビットコとはヒョットコの兄弟だとかいう。

ダーク広和・奇術
蒸篭を使った江戸時代から続いているという紐の奇術、袴姿にしては地味な奇術なのが惜しい。
どこが凄い・不思議なのかをなんども見せる。
伝統の承継ということだろう。
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志ん輔「豊竹屋」
楽しい噺なのだが、豊竹屋の義太夫が少し普通の喋りに流れた。
素人の義太夫モドキ、うまい下手でなくいかにも義太夫語りだという感じが出ないと面白みが減る。

にゃん子・金魚・漫才
ヒャッキンで揃えたというハデ派手な頭飾りはお約束、そのあとのにゃん子は男、後期高齢者の金魚のチンパンジーが飛んだり跳ねたり客がさしいれたバナナを食ってみせるのもお約束。
お約束どおりが楽しいお正月の寄席だ。
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正蔵「松山鏡」
林家一門の正月風景などを紹介しつつ、柳家一門の隆盛にちと触れる。
そういえば今日は先代小さんの息子と孫と頭領弟子が勢ぞろいなのだ。
主人公の、鏡を見たことのない・親孝行で無欲・朴訥な男は正蔵のニンかもしれない。
お奉行に親孝行の褒美に金は要らないか、と訊かれ「金なんかもらうと加計になっちゃう」と言ったのは、余計かもしれない。
小三治が相撲取りの噺をしてタカハナダのタにも触れなかったのをヨシとしたい。

雲助「身投げや」
金語楼がやった噺(談志の「夢の寄席」で知った)を、今日この場で聴かれたのはラッキーだった。
両国橋で身投げをする振りをして止めに入った人から金を恵ませる。
百両貰ってホクホクしていたら、子連れの盲人が飛び込もうとするので百両恵んでしまうが、その親子も狂言だったという噺。
雲助が話すと登場人物が生き生きと動き出す。
「文七元結」より滑稽でちょっといい噺だ。
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(夜はカミさんと「白石」、有花正宗とはママの有花ちゃんが、一升瓶に残った酒をミックスして作った、いわば「福正宗」、福もあるのだろうが、いささか強いのだ)

小さん「親子酒」
「一本だけつけてくれ」という旦那に「一本では済まないんだから」、「私は(息子と違って)先が短いんだから、私とお前の付き合いは息子との付き合いより長いんだから(呑ませろ)」、まあ、ぼくを見ているような塩梅、酒飲みは困ったもんですなあ、ご同役。
味があった小さん。
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(有花正宗のレシピ)

正楽・紙切り
「羽根付き」「出初式」(苦労していた)「富士山」「獅子舞」「銭湯に入る犬」

小三治「千早ふる」
知ってるのに知らないふりをするのは知らないのに知ってるふりをするより悪い、といういつものマクラで、「記憶にございません」なんて言葉を市井の人がふつうに使うだろうか、大勢の前でよくあんな言葉を使うもんだ。
こういうマクラでの時世批判は、ネタの中で使うのと違って噺の流れ・味わいを壊さないからいいのだ。

隠居と八五郎のやり取りの間の良さ、しつこく食い下がるはっつあんに「うるさいね!」と癇癪を起す、その一言で噴出してしまう。
何もおかしなことを言わなくても可笑しい。
何十回と聴いた噺が初めて聴くように面白い。

ちょっと気になったのは花緑の噺と、「知ったかぶりの年寄りとの浮世根問い的問答」という点でツキはしないか、ということ。
正月だから大らかにいきますか。
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「白石」は去年カラオケでも一緒になった夫婦と同席、楽しく飲めた。
帰りに初カラオケ、誰もいない店に、ぼくと同年齢のマスターがソフアに横になっていた。
白石で「検査結果がまもなくわかる」と聴いていたので、とても気になった。
若いカップルが入ってきたこともあり、有花政宗が効いてきたこともあり、マスターのことが気になったこともあり、「青春時代」「こいさんのラブコール」二曲だけで帰った。
Commented by at 2018-01-08 13:57 x
私は昨日、この国立とまよった末に浅草に伺いました。
>話すと登場人物が生き生きと
うまい落語家の本領ですね。雲助畏るべし。
「おめでとうございます、って芸人がみんな言いますが、心から言っているのは私だけ」(文楽)「ケチっていうのは自分ちのがあるのに他家に金槌を借りる、向かいのうなぎ屋の匂いで飯をくう」(金馬)「貴婦人と豚の主従の取り違え」(小袁治)「看板に「亀のエサ100円」って書いてあるから」「鶴じゃなくて鷺(詐欺)だ」(白鳥)
定番なんですが、そこを大口開けて(笑)おや、白鳥は正月なので「鶴」「亀」を出して寿いだのかも・・・さすれば白鳥もまた畏るべし、です。


Commented by kogotokoubei at 2018-01-08 14:14
落語初めが奥さんとご一緒の小三治とは、こいつぁ、春から縁起がいい^^
Commented by ほめ・く at 2018-01-08 15:30 x
松の内に小三治が聴ける、幸せですね。「民俗芸能を守る会」の12月例会では毎年小三治がトリを取るのが、昨年末は休演だったという報道で心配してましたが、元気になられたようで安心しました。
ブレンド純米酒、銘柄を見るだけで涎が出そうになります。
Commented by sweetmitsuki at 2018-01-08 17:19
お金なんて所詮紙切れとはいいますけど、ビットコインはその紙切れですらありませんから、あんがい正鵠を射てるのかもしれませんね。
紙切れといえば、銭湯に入る犬もどんなのか気になります。
Commented by hanamomo08 at 2018-01-08 17:33
有花正宗に秋田の天の戸が入っている。

saheiziさんのお気に入り、水尾もはいっている!
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 18:04
> 福さん、浅草も行きたい、まだ行ってないのです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 18:06
> kogotokoubeiさん、いや、5日に一人で抜け駆けしてるんですよ。
下見ってことで^^。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 18:08
> ほめ・くさん、ことしの小三治は定番の長いマクラなし、あればあったで長すぎるのが嫌だし、まったくないとちょっと寂しい。
よくもいろんな酒を飲むものだと我ながら気が引けました。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 18:12
> sweetmitsukiさん、毎年干支を千頭と注文されて銭湯でかわすようです。
一番後ろの席だったので細かいところは見えませんでした。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 18:13
> hanamomo08さん、水尾の前掛けをマスターがしていたので、私も酒屋に貰いました。
使うことはないのですが。
Commented by テイク25 at 2018-01-08 19:10 x
山梨に住んでいる頃、立川で小三治の独演会があると知って出かけたのですがマクラが長くて長くて帰りの電車の心配をしたほどでした。全くないのも寂しいですねぇ。那須方面にはなかなか来て下さらないようでそれも寂しいです。
Commented by at 2018-01-08 19:59 x
ほんまに正月やねぇ、残念ながら、こっちは悲しいぐらい全くないわ、
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 22:13
> テイク25さん、マクラの小三治、それでも長すぎたり同じ話を行ったり来たりはちょっと困りますね。
『ま・く・ら』の頃が一番楽しかったようですが、私は現役時代、聴いたことがないのです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-08 22:14
> 蛸さん、ニュージーには行きそうもないなあ。
Commented by j-garden-hirasato at 2018-01-09 06:44
有花正宗、
いろんなお酒のミックスですか。
どんなお味なんでしょうね。
一度、飲んでみたいものです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-09 20:52
> j-garden-hirasatoさん、まあ、シャレですよ、うまくはないし下手すると悪酔いしますよ。
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by saheizi-inokori | 2018-01-08 11:45 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori