葬式が終わった

広いリビング(本物の大きなキッチンもついている)という思い入れの式場、片隅にはソファセットが置かれ、棚には故人の編みかけの毛糸(何を編もうとしていたのだろう)や、作った人形、お手玉、シフォンケーキを作る道具、たくさん遺した手書きのレシピの一部などが飾られた。
葬式が終わった_e0016828_16421957.jpg
二十枚近くの小さな額には故人の晩年のさまざまな写真を入れて飾った。
三々五々集まってくる人たちが懐かし気に見てくださる。
廊下にはカミさんの絵が二枚、母との思い出のキャプション付きで架けられた。
僕が撮ったサンチとの写真から取った祭壇の遺影は、バラ、カーネーション、グラジオラスなど優しいピンクの花で囲まれた。
葬式が終わった_e0016828_16541881.jpg
没後作僧といって故人に授戒し仏弟子にする儀式から始まった供養は美声の導師が御詠歌を歌ったり、無常を感じたらやるべきことをその日のうちにやるべしというお諭しもあったりして、厳粛な悲しみのなかに親しみも感じられた。

親しい友人が4名、あとはカミさんのほうの親戚が8人もいたろうか、我が子どもたちも長男と次男夫妻が来てくれて、祭壇の前で大いに飲んだ、呆れるくらいに。
知らない人同士が紹介しあって、葬式は再会と出会いの場だということ、それが逝く者の望みでもあるだろうと、いつもながら痛感する。

今日は休みを取った長女夫妻が車で迎えに来てくれて、すべてが終わるまで一緒にいてくれた(長男の嫁も)上に、家まで送ってくれた。
カミさんにとってどれだけ力づけになることか。

出棺のときに花でうづまった義母の顔をなでて「さよなら」を言う。
葬式でいちばん悲しみ・涙がこみ上げる瞬間だ。

「いろいろありがとサン」と云いそうな義母の顔を見ていると、死は人生の苦しみとの和解だなと、これまたいつものように考える。
こちらこそ「いろいろありがとサン」だ。

サンチが参列できなかったのがちょっと残念。
代わりにサヨナラとお礼を云っておいたよ。
葬式が終わった_e0016828_17170814.jpg
二日間、無理な注文を嫌な顔もせずに聞いてくれた葬儀社や仕出し屋の担当者にも、改めてお礼をいうと、「それが仕事です」とニッコリ、ママの遺徳かな。

お礼といえば、このところ義母の葬儀の話ばかりなのに、読んでいただいて、その上にご丁寧な慰めや激励のお言葉をいただき、ほんとうにありがとうございます。
カミさんも読んで泣いたり励まされたりしています。

Commented by haru_rara at 2017-10-11 21:50
なんてあたたかな、やさしいお別れの式でしょうか。
さびしくかなしいお別れですが、親しい方々に囲まれてお義母さまはお幸せな旅立ちだったことと思います。

奥様、佐平次さん、ご家族みなさま、どうぞおからだおたいせつに。
ご冥福をお祈りいたします。
Commented by rinrin1345 at 2017-10-11 21:52
saheiziさんお久しぶりです。
そしてこの度はご愁傷様でした。でもいいお葬式をしたのですね。私も母にこの何十分の1の余裕とやさしい気持ちをもって葬儀をしてあげれたらよかったのに…なんて思い読みました。お疲れ様です。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-11 21:58
> haru_raraさん、ありがとう。
夢中になって葬儀を終えて帰って今急に喪失感がこみ上げてきました。
叫びだしたいほどの。

Commented by saheizi-inokori at 2017-10-11 21:59
> rinrin1345さん、ありがとう。
そちらは寒くなりましたか。
旅に出たいなあ。
Commented by doremi730 at 2017-10-12 02:03
いろいろと思い出の品を供えらて
義母様もお喜びになられたご葬儀でしたね。
今晩はお悲しみが襲ってきているのでは?
でも、悲しむと霊も迷うそうです。
いいことを思い出してあげると虹を渡れるとか、、
Commented by cocomerita at 2017-10-12 04:11
Ciao saheiziさん、そしてsaheiziさんの奥様
お疲れ様でした
いいお葬式でしたね
お母様いい気持ちで 旅立てるだろうなあ、、
ほのぼの まさに写真で見せていただいたお母様のなんとも言えない慈愛溢れる笑顔そのままに、
それは、お日様に干した布団に顔をくっつけた、あの時のあの温もりとふわふわ感とお日様の匂い
そんな素晴らしいやさしさ。がこちらまで伝わってきました
愛に溢れていらっしゃったお母様のその笑顔そのままに
愛とか思いやりとかいたわりとか 皆がお母様を中心に互いが互いを思い合うそんな空気が伝わってきます
Saheiziさんが思わず飲み過ぎちゃったのもわかる気がします

編みかけの毛糸も素敵
お母様大喜びでいらっしゃったと思います
言ってらっしゃいますね、確かに、、
ありがとサンと 笑


Commented by j-garden-hirasato at 2017-10-12 06:42
お葬式も無事終えられ、
何よりでした。
お疲れさまでした。
Commented by ikuohasegawa at 2017-10-12 09:09
ご冥福をお祈りします。
【自分の時は「最近見ないと思ったら亡くなったらしいよ」っていうのが好みです。】と、言いましたが、こんな送られ方ならあっても良いかな。
お疲れ様でした。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-12 10:00
> doremi730さん、そうですよね。
あれもしてあげたかったこれも出来なかった、と悔やむ気持ちもかえって故人を悲しませるんだよとカミさんに言っています。
ひたすら感謝の気持ちで、でも悲しみは抑えられない、泣くのも、それはいいとも。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-12 10:02
> cocomeritaさん、嬉しいなあ、そういってもらえて。
やさしい・温かなピンクに彩られた葬儀でした。
お通夜に呑みすぎたので昨夜は一滴も飲まずに休みました。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-12 10:02
> j-garden-hirasatoさん、ありがとう。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-12 10:06
> ikuohasegawaさん、どこかでけじめをつけるのは生き残った者たちのためだと思います。
何もしないといつまでも弔問の客などで辛いという側面もあるようです。
そして葬儀の準備をすることで別れを自覚的に意識し直して心の整理をすることも大事かとも思います。
それは彼らの判断に任せるしかないのですが。
Commented by みい at 2017-10-12 11:11 x
よいお別れの会でしたね。
ブログ拝見していて、心があったかくなりました。
皆様のお人柄が忍ばれます。
でも悲しみは、まだまだ癒えないかもしれませんが・・・・
奥様、ご自愛ください。

サンチ君もお別れしたかったね。

Commented by tona at 2017-10-12 12:59 x
亡くなられた方のやりかけの編み物やいろいろな作品やレシピを並べられたとのこと、なかなか感動的ですね。
それにとても美人のお義母さまのたくさんの写真は、いろいろな場面を思い起こしてくださったことでしょう。
葬儀屋さんもいい人で素晴らしい別れの儀式だったと感心いたしました。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-12 21:02
> みいさん、できるだけのことはしました。
でも悲しさは、、。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-12 21:04
> tonaさん、おいでいただいた人たちはどう思われたか、何人かの人からいい葬儀だったとの言葉をいただいてほっとしていますが、、。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2017-10-11 17:45 | よしなしごと | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori