「いいでの湯」から散歩していたら、飯豊山登山口にある喜多方市一ノ木集落を「見つけた」。
かつてはこの山に登ることで一人前の男と認められたから、小学生の団体なども泊まったと町の人が話してくれた。
一本の道を挟んで80軒ほどの家、その多くが宿であつたような、それぞれの家紋を屋根の棟に刻んだどっしりして、さればとていたずらに豪勢でエラソーというのではない。
その道の突き当たりにある小さな薬師堂の階段にすわつて眺めていると映画のセットをみるようなのだ。
トンボが無数に飛び交い、蝶がひらひら、どの家も花で迎える。
たまに人に会うと町の来歴やかつての賑わいのことなどをいつまでも話してくれる。
そうそう、このまちを語るならば町に沿って流れる阿賀川のことは欠かせない。
今は閉校になつた小学校に通っていた子供たちの最高の遊び場だったろう。
町の人が、ここも大内宿のように整備保存して観光地にしようという話もあつたけど、と残念そうに言ったけど、そんなふうにならなくてよかったと思ったのは僕のワガママかもしれない。
夢のなかのような、時間が止まったようなこの町の佇まいが惜しいのだ。
昨日の午後に一人で発見して、今日は皆さんを案内、たっぷり楽しんだ。
静かな静かな町なみ。