国鉄分割・民営化30年目の真実 牧久「昭和解体」
2017年 09月 22日
医者に行って検査をしたら、「ふんふん、PCでブログをやってる、本をよく読む、スマホも見る、、」と繰り返しながら「白内障の初期、まだ手術はしなくていい、それと目の使い過ぎ(と加齢)によるドライアイ」とのお見立て、薬を貰ってきた。
一日4回、すっとして気持ちがいいけれど、いずれ手術かと思うとユーウツなり。
いずれ冬になるのであればなおのこと。
著者は国鉄解体のために奔走した「三人組」を、ペリー来航後、幕府解体・「明治維新」に果たした薩長下級武士からなる維新の志士たちにもたとえる。
少なくとも「分割・民営化」は、百年以上も続いた日本国有鉄道の「解体」であり、”ミニ国家”ともいえる国鉄に起きた一大革命であった。それはまた、敗戦そして占領から始まった「戦後」という時間と空間である「昭和」の解体をも意味していた。
権謀術数の限りを尽くして、保身をも省みず自らの使命を貫徹する。
小説よりも奇なり、まことに手に汗を握る。
分割することによって、国労の分裂解体をめざしたのだ。
革命のために打倒しようとする敵、”国体護持派”も民営化には反対していなかった。
だから
国鉄分割・民営化を推し進めた中曽根はこう語っている(要旨)。「三人組」の凄いところは、時の政権、政治家・官僚(彼らが信頼・利用できる)との連携が、たとえば最近の文科省前野元次官などとは次元が違う、みごとな工作だった。
「ダブル選挙(僕注・1986年”死んだふり解散”)の圧勝と国鉄の分割・民営化によって、国鉄労組が分解して、総評が分解した。自民党を中心とする保守が都市に自信を回復し、ウイングを左に伸ばして、社会党の生存基盤を奪った。五五体制の崩壊の兆しというのは、やはり国労の崩壊じゃないですか。国労が崩壊すれば総評も崩壊するということを、明確に意識してやったのです。
時代の変化も読めずに傲慢なストライキを繰り返し、職場規律の亡きがごとき国鉄に対する国民世論を味方につけ(内部告発を連日行い、世論を煽った)メデイアも操る。
賢い”鬼の動労”がコペルニクス的転回を遂げて分割・民営化に賛成したのに対し、ナショナルセンター・総評の中核(右から左までの諸勢力を抱えた)として身動きが取れない国労だった。
民営化直前にノックアウト寸前の国労にダメ押しをする当局提案(無条件降伏を迫るに等しい)について事前の根回しを受けた橋本運輸大臣の感想が記されている。
やろう。しかし、怖いことをする人たちだね、君たちは、、。国労が可哀そうになるよ。
ほんとうに民営化だけではダメだったのか。
いまだに上場どころか企業存続すら危ぶまれる、JR北海道やJR四国(さらにはJR貨物)の現状を見ると、好調な東日本、東海、西日本、九州の各社から支援することが(株主の理解が得られないだろうから)難しければ国や自治体による何らかの支援策を講じる必要もあると思う。
講談社
話は違うのですが、昔、ストで1週間東京へ通えなかったことがあったような。自分が間違いで夢かしらと思ってしまいます。
あの時学校も休みになったのかしら。記憶が無くなってちょっと驚いてしまった今日です。
あれが国労動労のストでもモータリゼーションの進展で(政府の強力な対策もあり)物価が上がりもしないことで、動労は貨物安定宣言をすることが本書に書いてあります。
三木内閣でスト権を取れると読んだ組合と国鉄当局の負けでしたね。
総評の中心的な組織であった国労を解体し、総評そのものを潰す。総評や中立労連の中にあった民間労組では、会社を通じて労使協調に転換させ、日本の労働運動を骨抜きにする。その先にあるのが連合で、これはもう財界の出先機関と化しています。
彼らはここまで見通していたでしょうが、残念ながら国民の大半は気付かなかったという事だと思います。
国鉄のサービスがよくなった、ストがなくなり運賃値上げもなくなったと。
その代償が現在の憲法無視の政治・安倍一強、地方切り捨て・一極集中でしょうね。
国労ももう少し賢かったら!
国鉄の末期に生産性運動が荒れ狂って組織人員が相当減ったのですが、沖縄返還を乗り切りたい佐藤総理に当局が譲歩を強いられて、盛り返し、そのあと当局の人事にまで介入する過信からくる無法が仇となったようです(本書はこのあたりから書いています)。
下山総裁は国鉄の初代総裁で1949年、まだ占領下の事件です。