落ちる ノア・ホーリー「晩夏の墜落」
2017年 09月 16日
気持いいんだなあ、ウトウト。
結論からいうと直木賞候補になって落選したような感じかな。
エラリー・クイーンを読みふけった高校時代が懐かしい。
同乗者は、「自分が富裕であることに罪悪感を抱く」元教師の美しい妻マギー、誘拐され奇蹟的に救われたことのある9歳の娘と4歳の男の子、テロ国家への不正マネーロンダリングで逮捕される寸前の銀行経営者とその「大富豪の生活を返上してかつての普通の生活に戻りたい」妻、たまたま町でマギーに便乗を誘われた、売れない中年画家が離陸直前に飛び乗ってくる。
イスラエルの国籍離脱者であり、伝説の要人警護の男も全てをチエックして機内に控えている。
他に美しい客室乗務員とベテランの操縦士に副操縦士。
墜落した11人のなかで画家スコットが男の子を首ったまに齧りつかせて、夜の大西洋を15マイル泳ぎ切って奇蹟の生還を遂げる、冒頭で一冊分のスリルを味わう。
ヒーローとなったスコットをめぐる騒動、大富豪の(未知の)女に匿われているスコットについての憶測・妄想的な報道、それを創り出すニュース司会者、電話の盗聴などは当たり前だ。
突然莫大な財産を相続したけれど孤児になった男の子は、やさしい小母とその賤しい夫に引きとられるが、スコットにしか口をきかない。
国家運輸安全委員会、FBI、財務省外国資産管理局が賑やかに逸脱しつつ捜査活動を繰り広げる。
小説はめまぐるしくあっちへ飛びこっちに戻り、死んだ同乗者たち一人一人の「黒いまたは白い報告書」をも思い入れたっぷり・文学的に描く。
さて、誰が何のためにどうやって飛行機を落としたのか。
欲張りな小説だ、重い・スリリングなテーマを盛り込みすぎ。
そして、残念ながら軽く上滑り・思わせぶりに終わってしまった。
とはいえ、面白くなかったとは言えない、なんといってもアメリカなんとかだもんな。
当今のアメリカらしい「軽薄」、面白くないはずがない。
思わず耳を澄ませた。
僕だって予選で負けたんだから、長野市立東部中学校。
川副智子 訳
早川書房
あれっ、また秋刀魚。美味しい時期だからどんどん食べたいですね。
数えてみるのもいいですね。
ないというと買えよ、とまで言ったことを思い出します。
国名シリーズも面白かったですね。
2日続けて、上下とも。
朝日の文庫本紹介に乗っていたとかで、家人のデスクにあったものをお借りした次第。
おっしゃる通り。盛り込みすぎ。結末はやや肩透かし。
写真でいえば、幕の内弁当型。被写体の面白さで勝負。テクニックは要修行!というところです。