民主主義の死の入り口にある日本 前川前次官の歴史的記者会見



きのう日本記者クラブの要請に応じて、前川さんが加計問題について語り(20分くらい)、そのあと90分ほど記者たちの質問に答えた。

次々出てくる文科省からの文書は、一部に主語があいまいなどの問題があったとしても、「総理の意向」「官邸の最高レベル」などの文言はすべて間違いなく事実だったし、加計学園獣医学部ありきで行政がすすんだことも間違いない。
にもかかわらず、内閣府から見たら蛇ににらまれた蛙みたいな文科省が精いっぱい事実を明らかにしたのに対して、その他の内閣府を始めとする関係者たちが一向に説明責任を果たさず不誠実な対応に終始している。
第三者委員会などで決定プロセスを検証する、そういうことを安倍総理は先頭に立ってやって欲しい。

規制改革に反対しているのではなく、その進め方が不透明で公平性を欠いていることが問題なのだ。
穴をあけたことではなく、穴のあけ方に問題があるということだ。
加計ありき、その結論に持っていくために最後にさまざまな条件を付けくわえて、閣議決定の4条件に付いてもきちんと議論されなかった。
諮問会議の民間委員の発言内容も「一点の雲りもない」と言いつつ「政治のプロセスは不透明だ」ともいい、総理の指示などは「なかった」さまざまに報道される事実については「知らない、だから存在しなかった」などなど論理的でない。

キーパーソンは和泉総理補佐官ではないか。
彼が無理を言ってくるので、「頼りになる文教族の先生」・羽生田副長官になんとかしてくれと頼って行ったら、「自分が調整する、30年4月開校は無理だな、私の方で整理しよう」と言っていたのが10月7日のペーパー(私は見ているが内閣府では確認していない)、その後10月21日になって「とにかく早くやってくれ」「お尻がきられている」と変化した(自分の発言をなかったとおっしゃる。その背景は内閣府で調査してほしい)。
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理路整然、冷静沈着、自分に不利な事でも正直に認め誠実な話ぶりには信頼が置ける。

さいごに彼が居住まいをただすようにして力をいれて語ったこと。

読売新聞に出会い系バーに関する記事が出たのが5月22日。
それより前に官邸から注意があったのだ。
5月20日21日と読売からコメントを取りに来た。
21日には和泉補佐官と話をする気はあるかと打診があった。
私はこうした動きの背景に官邸の関与があると思う。
また取材していながら報道しなかったり報道したときには肝心の部分は黒塗りにしているNHK。
どんな事実が現れても常に官邸擁護しかしないコメンテーター、そのなかには性犯罪をもみ消してもらったといわれている人もいる。
メデイアの皆さんはこれらについてきっちりと内部検証してください。
こういうことをそのままにしておくと監視社会化、警察国家化、第4の権力と言われるメデイアも含めた権力の私物化が進み、民主主義は死に至る。
私は今日本はその入り口に立っていると思う。
その危機感で私はこうしている。

古今東西、権力を私物化して不正を行わない政権はない。
それをチエック・抑制するために人類が知恵を絞ってきた民主主義の歴史がある。
権力分立、学校で習ってきた。
それを壊そうとしているのが今回の動きだ。
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NHKOBだという80代の方が「加藤高明は治安維持法を国民は恐れる必要はないと言ったが、事実は戦争に突き進んだ。共謀罪についても同じ危惧はないか」と見解を訊くと
私はどうようなことが世界的に起きていると思う。
一国中心主義、ナショナリズムの高まり、国民の権利・自由の制限、内外に敵をつくることで国民を統合していく、共謀罪が天下の悪法・治安維持法のようになる危険性がある。
と答えた。

今回は「忖度なのか、それともそれを超える指示なのか」「指示であってもおかしくないと思う」
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(誤嚥性肺炎予防のためにカミさんとカラオケ)

色紙に「個人の尊厳 国民主権」と書いたことについて問われ、
38年間公務員生活を送ってきて思っていたこと、後輩たちにも贈るつもりで書いた。
「個人の尊厳」は滅私奉公ではいけない、個人として信念・信条・良心をきちんと持っていること。
「国民主権」は公務員と言えども国民のひとりだ。その主権が脅かされるような・おかしな事態には何らかの形で動かなければならない。
すぐ首になるようなことをしろというのではなく、粘り強くしなやかに強靭に抵抗してほしいという意味だ。
質疑に読売は何も言わなかった。
「今後どういう人生を?」「思案中。天下りはしない。ボランテイアは大好きだ」すがすがしい終わり方。
長いけれどぜひ聞いて欲しい。
大学の教材になる・歴史的会見だと思う。

Commented by ほめ・く at 2017-06-24 18:41 x
確かに前川氏の発言は素晴らしいし、こういう官僚がまだまだいるんだという事に胸をなでおろしました。
しかし、色紙に書いたことは日本国憲法にも明らかにされている事柄であって、そうした発言が勇気あると評価される日本の現状が狂っているとも言えます。
安倍政権が強引に法律を変えて内閣に人事局を作り、各省の人事を一手に握り官僚を思うままに操る体制を構築したことが全ての始まりです。
根本的にはここを変えない限り、今回の様な問題は無くせないでしょう。
Commented by Sora pon at 2017-06-24 19:16 x
きょうの記事
明晰な解説を感謝いたします!

前川喜平前文部科学事務次官の
愛と知性。個人の尊重にも 勇気がでます.

平成17年小泉政権の三位一体改革では、前川課長は
自身の名前をもじった「奇兵隊、前へ!」と題したブログで
「政治的な圧力!」と批判した。
実際の前川課長は温厚で信望も厚く
周りにいつも多くの人が集まり 職員はのびのび仕事をとか

絶対 あきらめない同盟 =*
Commented by Sora pon at 2017-06-24 20:20 x
ÖÖ...! いよいよ錯乱状態.

安倍晋三首相は24日、神戸市内での講演で、学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区による獣医学部開設を計画する
愛媛県今治市以外にも、同学部新設を認める考えを明らかにした

改革推進の立場から、速やかに全国展開を目指す。地域に関係なく2校でも3校でも意欲あるところは新設を認める」と述べた

= yahoo News =
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-24 21:04
> ほめ・くさん、おっっしゃる通りですね。
でも民間で働く人々も、国民主権であり個人の尊厳を大事にしてほしいです。
人事課があるからなんて言わないで。
Commented by sheri-sheri at 2017-06-24 21:06
拝見しました。前川さんの真っ直ぐなそして堂々と正しいことは正しい。おかしいことはおかしいという姿勢に尊敬の念を禁じえませんでした。こういう立派な大人を子供たちは見習ってほしいです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-24 21:06
> Sora ponさん、二時間近い会見の様子をみたら、部下に慕われる人だろうなあ、と思いました。
菅は墓穴を掘りましたね。
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-24 21:11
> Sora ponさん、ごまかしが始まりましたね。
アホめが!
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-24 21:14
> sheri-sheriさん、彼が訴えたメデイアと権力の癒着、今朝の新聞では朝日、東京は触れず、産経新聞がかなり大きく、読売りは見ていないです。
ここが一番の切所だと思います。
Commented by j-garden-hirasato at 2017-06-25 08:31
こういうドタバタを見ていると、
政治に無関心になるのも分かります。
まあ、
それが狙いかもしれませんが。
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-25 08:37
> j-garden-hirasatoさん、前川の言っていることはドタバタではないと思います。
現在のメデイアを含めた権力の私物化を厳しく糾弾している。
だから各紙、メデイアはこの部分を伝えていないのでしょう。
萩生田が言ったか和泉が言ったかはドタバタです、どっちにしても権力・安倍がやったことでしょう。
Commented by ginsuisen at 2017-06-25 09:23 x
お二人でカラオケ・・いいですね。奥様は何を歌うのかな~アイウベ体操も、誤嚥性にいいと思います。
朝、起きたら、アイウベ~。あとはお二人で笑いヨガも。
アハハと大きな声で笑う、何もかも吹き飛ばして~
肝心の内容本質と離れてごめんなさい。
日本はオカシイ・・この問題が一番でなければいけないのに、
一人の女性の哀しい死がトップニュース。哀しい家族はそこら中なのに・・
Commented by jarippe at 2017-06-25 11:09
前川さん頑張ってくださーい
日本中の庶民が応援しています
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-25 22:20
> ginsuisenさん、アイウベはやらないけれど、ロングブレスとかを含めて小一時間ストレッチ&筋トレなどやってます。
海外ニュースを見ながら、そうすると世界がオカシクなっているのを感じます。

Commented by saheizi-inokori at 2017-06-25 22:21
> jarippeさん、仲間を見つけたようでうれしいです。
Commented by stanislowski at 2017-06-27 20:19
前川さんの答え(言葉)佐平次さんの仰るとおり理路整然、冷静沈着、誠実、分かりやすかった。
そして、東京新聞の望月さんの質問も分かりやすかった。(ファン~♪)本当に独立した第3者機関に頑張って下さいしかないかも。それは主権者ってことかな。

最近の国会答弁やこうした記者会見の動画を見ていると、日本語が理解できていない自分がいます。何について質問しているの?とか、質問に対して訳の分からない答えとか。
含みがある言い方、保身のための(これも一種のテクニック?)

外国語を勉強している身にとって、日本語の主語なしでも会話が出来きたり、動詞活用が複雑でないのはありがたい。

youtube載せてくださってありがとうございます。
Commented by saheizi-inokori at 2017-06-28 00:06
> stanislowskiさん、主語抜きあいまい日本語を悪用する人が多い、とくに指導者たちに。
そこを突くのがメデイアの務めなんですがね。
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by saheizi-inokori | 2017-06-24 09:45 | 責任者を出せ! | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori