生涯出世をしたくねえと、そればっかりで 柳家小満んの会

義母の見舞い、背中をマッサージすると「さいこう!きもちいい!」と小さな声で喜ぶ。
そのあと、弘明寺で降りてぐみょうじ商店街を歩いて銭湯・中島館を探す、ほどもなく黒い天然温泉に浸かることができた。
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商店街が下駄ばき商店街、古い店の姿を残しているのがいい。
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弘明寺直販所というところでオハギを買った。
弘明寺という寺が(事業として)オハギを売ってるのかと思ったら、そうじゃなくて「茂蔵」という菓子屋の弘明寺という場所における直販所という意味なのだ。
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寺のすぐ近くの橋が人々の休憩所になっている。
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たしかに下町情緒だ。
弘明寺観音本堂は既に閉まっていたが「身代わり地蔵」などに手をあわせてモロモロお願いした。
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市営地下鉄で関内に出て「柳家小満んの会」。

あお馬「やかん」のあと小満ん「しびん」

尿瓶を「日本に二つしかない花器」と信じて買った田舎侍が、堂々たる形で右手に鉄扇、左手に尿瓶をぶら下げて歩く、おかしいけれど悪くない。
帰宅してさっそく花を生けて悦に入る姿も悪びれず。
出入りの本屋にそれと教えられ足袋裸足で道具屋に乗り込む。
道具屋はずるいけれど、小満んのそれはいやらしくない。
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「三方一両損」

吉五郎の落とした財布を届ける金太郎、吉五郎に「金太郎にしちゃ赤くねえじゃないか」と言われて「まだウデてねえ」といなす。
金太郎が分別のある江戸っ子に見えて、吉五郎との喧嘩がいまいち迫力を欠いた。
反対に大家は吉五郎の大家が大人しくて、金太郎のそれが金太郎より短気でべらんめえ。

大岡越前の前で金太郎が
いったんこの世に生まれたからには、人の上に立ったり、ふんぞり返ったりしたくねえ、生涯出世をしたくないと、そればっかりで朝晩神棚に、手を合わしているんでえ
と男泣きするのが、いつ聴いても面白い。
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「お神酒徳利」(占い八百屋)

お店に新しく来た女中が横柄に今まで馴染みの八百屋を門前払いする、ほんとに小憎らしい女だ。
頭に来た八百屋が女中を困らせてやろうと店の水がめの上に置いてあったお神酒徳利を水がめの中に隠してしまう。
旦那に叱られた女中は謝るどころか旦那に食ってかかる、ほんとに小憎らしい女だ。
八百屋は性善良、女が可愛そうになって「私は何を隠そう、算盤占いの名人、どんなウセモノでも見つからないということはない」としゃしゃりでて、そりゃあ、見つかるわな、どんぴしゃり水甕の中と当ててみせる。
恐れ入った旦那が三島の弟の危難を救ってほしいと無理やり(金で女将さんを釣って)、共に旅に出る。
困った八百屋はわざとゆっくり10日もかけて小田原に泊まり、いつものように飲んで寝てしまう。
まいばん切ない酒を、、それでも飲み始めるとうまかったのだろうなあ。

宿の主人が50両の金が紛失したからと荷物改めにくる。
ちょうどいい、ここに鼾をかいている男はこう見えても占いの大先生だ、と起こされた八百屋、今はこれまでと夜逃げの算段。
ひと晩、行をして占うから、静かな離れに、小銭で賽銭、提灯は無印、わらじは○○足、菅かさに梯子、、思いつくままに用意させる、その言葉がなんとも言えないおかしさ。

犯人の女中が密かに自白してくる。
女中の窮地を救って「何とかなるもんだなあ」、思わずにっこりする八百屋、やっぱりいい男だ。
占い大先生の噂を聞いてあちこちから、「鋤鍬」「牛一頭」「米俵弐俵」「娘」、、紛失(ふんじつ)もの探しの依頼が殺到する。
こりゃたまらん、こんどは大先生がふんじつした。
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いぜんは旅館の番頭が大晦日の大掃除で徳利を、盗られないようにと用心のために水甕に隠したことから大騒動になり、さいごは稲荷大明神のお告げで大坂の鴻池の娘の病気を治して、立派な旅館の主に収まるという東京バージョンの方がドラマテイックで面白いと感じたが、この上方バージョン(元の噺)は軽妙で今の僕の心境に合うようだ。
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さわやかな風に頬をなぶられながら「団欒」へ。
カツオはあれば食う。
クサヤは親方がわざわざ用意してくれて食う。
ラッキョウ、コシアブラの天ぷら、特製の味噌にはキュ―リ、ザーサイの浅漬け、、いろんなものを少しづつ三人で分けて食う。
食いながら噺の楽しさを分け合う。
落語と居酒屋保存共謀の夕べなりき。
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Commented by kogotokoubei at 2017-05-24 12:25
行けなかった私は、ただただ羨ましい限り。
コシアブラの天ぷら、涎が出る^^

次回は、何がなんでも駆けつけますよ!
Commented by reikogogogo at 2017-05-24 16:08
sahwiziさん,蝉の抜け殻凄い早いですね。

都内に居る時はあまり足を運んだ事がなかった,アーケード街とか商店街なのに、saheizi さんの行動を見ていると、やたらに羨ましく感じるの何故?
谷中の商店街、巣鴨のお地蔵通り皆近くて遠かった、年に1,2回行くかどうかだったのーーー今の所、あちこち興味が合って動いているけどーーー時間が経過したら、馴染みもない滅多に行かなかった銀座が恋しくなるのかな?
Commented by saheizi-inokori at 2017-05-24 19:48
> kogotokoubeiさん、酒のはかがいつもより少なかったですよ。
Commented by そらぽん at 2017-05-24 19:52 x
こんにちは
背中のマッサージは、ほんとうに温かいお心ですね
おはぎが、こんな風に売られているのも 羨ましいです

国連報告官から共謀罪の内容に疑問ありで説明を要求された件。
返信した日本政府に対し国連の当該担当者は、この「抗議」は
「中身のない逆ギレ」angry words with no substanceと すぱっと喝破したと. 外電が伝えていましたね。
質問点へ返答もせず「抗議」とは!何が常任理事国。ムリムリ。
Commented by saheizi-inokori at 2017-05-24 19:53
> reikogogogoさん、人の記事を観ていると行きたくなるところが多いですね。
商店街って場所によっていろんな特徴があり、その街の人たちの生活、店の一軒一軒にはぞの家の歴史や暮らしぶりがうかがえるようで、なかなか面白いものです。
人々の会話もまた楽しいです。
銀座はそういう点ではあまり魅力がないような気がします。
Commented by saheizi-inokori at 2017-05-24 19:56
> そらぽんさん、菅に代表されるアベヤクザ政権の話法は論理も何もない、常に「指摘は当たらない」で不都合な批判を切って捨てるだけです。
おはぎ、うまかったですよ。
Commented by ikuohasegawa at 2017-05-25 06:02
関内の前に弘明寺に参られましたか。初詣、花見(あの橋の大岡川の両岸)などに、ちょくちょく行くところです。

銭湯も行ってみたくなりました。
Commented by j-garden-hirasato at 2017-05-25 06:32
黒い天然温泉、
東京にあるんですねえ。
何で黒いんでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2017-05-25 09:11
> ikuohasegawaさん、横浜に住んでいた頃、亡妻はカミさん仲間と行ったことのある街、なんだかエロの珍宝を見せられたと驚いて帰ってきました。
自分で歩いたのは初めて、関内とはずいぶん違う町の空気、好きです、また行こうと思います。
銭湯「中島館」は、あとで聴いたら関内の「団欒」の係累の経営だそうです、おどろき!
もうひとつ「みどり湯」という京急がやっている銭湯もあるそうです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-05-25 09:13
> j-garden-hirasatoさん、西新宿、大田区など黒い風呂は多いです。
浅草の蛇骨湯にもあったかな。
湯の成分のせいでしょうが、ぬるっとして温まるような気がします。
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by saheizi-inokori | 2017-05-24 11:44 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori