左龍が面白かった 第583回落語研究会

きのうは東京駅近くのクリニックで内視鏡(上下)検査をしてもらうための診察、そうしないとドック扱いになってしまう。
うっかり電話で申し込んでいて、さいごに念のため料金は?と尋ねたら20万円ですといわれて危く気絶しかかった。
エグゼクティブなんたらというセクションは会員だけが出入り出来るらしく、飛行機に乗ってるお嬢さんみたいなのが付きまとっている、ちょっと水商売みたいにシナを作ってみせたりして、カンジワリー。
あんなことをしてもらっても、特別よく映る内視鏡を使うわけでもないし、治らない病気は治らないのだ。
ぼくは一昨年ポリープが見つかっているから堂々と保険診療、ヘンなお姉さんの世話にならなくても大丈夫。
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けさは定例の循環器内科診察で公立(独立法人)病院に。
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昨日とはうってかわって満員の待合室が寒くてクシャミと鼻水、先生に言いつけたら「暖房費を節約、ってバカみたいでショ、事務の連中にいくら言ってもダメなんです」、投書しようと思ったらご意見箱に筆記具が置いてない、まあ自分のボールペンで「先生たちは、あったかくして、って言うじゃん」と書いたけれど(鼻水すすりつつ)。
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(東京駅から半蔵門までぶらぶら歩いて行った。二重橋だよおとっつあん)

あっという間の月末、これも月例の落語研究会@国立劇場。
喬の字「動物園の虎」

硬くなっているようには見えないのだが、面白くないのはリズムが悪いのだ。

歌奴「鼓ケ滝」

旅人・西行が詠んだ、「伝え聞く鼓が滝に来てみれば沢辺に咲きしたんぽぽの花」を、一夜の宿を借りた民家の家族がそれぞれ夏井先生する。
翁は、「伝え聞く」→「音にきく」
おっかさんは、「来てみれば」→「うちみれば」
娘のお花は、「沢辺」→「川辺」
西行は謙虚にすべてを受け容れる。

と、これは夢の中に和歌三神が現れて西行の慢心を戒めたのだった。
渋い味のある噺のはずだが、その渋みはまったくないし、さればとて大笑いさせるわけでもない。
難しい噺なのだった。
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(桜田門内から)

扇辰「雪とん」

田舎の野暮若旦那が江戸見物に来て糸屋のお糸に恋わずらい、せめて盃を交わしてくれたら諦めて帰るけれどこのままでは死んでしまいたい。
泊まっていた船宿の女将がお糸の女中・お清に(金で)話をつけて、若旦那が夜中に門を「とんとん」たたいたら入れてやることになる。
若旦那が勇躍出かけたその夜はしんしんと雪が降る夜だった。
若旦那が途中で吠えかかる犬と遊んでいる(人の好さがよく出ていた)間に通り過ぎたいい男。
下駄の歯に付いた雪を塀にとんとん、合図の音と思ったお清が戸を開けてお糸の部屋に案内する。
ヘンだなあ、と思いつつも中に入った男があまりにもいい男なのに、お糸はブルブルッと来てわりない中に。
そうとは知らず若旦那は一晩中あちこちの戸を叩き続けて朝を迎える、と折から裏木戸があいて女中に送り出されるいい男を見てしまう。

そのいい男こそ「お祭り佐七」、歌舞伎の長い話の一部を雪の風情を背景に、男と女の微妙な糸がらみの艶噺を滑稽をまじえてやるのだが、なぜだろう、扇辰不調か、ギャグが重く、雪とは言えど暗すぎた。
左龍「羽織の遊び」
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独特の顔で飄々と語る。
カラッケツの長屋の若い衆がきざな若旦那(吉原で女郎にひと晩かわいがられた・いじめられた噺をするのがケッサク)をおだててみんなを吉原に連れていかせようとする。
いいけど、拙のホーユー(朋友)として行くのだから羽織を着てこなくちゃだめ。
八五郎は大家の女将さんに羽織を借りようとする。
吉原に行くのに羽織を貸したら大家が怒る、祝儀不祝儀ならともかく。
そうそう、そのシューギブシューギ、あっちからシューギ、こっちからブシューギがやってきてぶつかって、、。
頓珍漢なことをぶすっとやる。
リズムがいいから、楽しくて笑える。
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市馬「三軒長屋」

師匠の先代小さんの噺のなかで好きなベスト3に入るという市馬が満を持しての長講。
辰兄いの切れ味が物足りぬ、妾の造型・セリフがダメ、よかったのは頭の家の喧嘩と剣術指南の橘運平の家のヤットウの二重奏、これはさすがに師匠譲り剣術の業が光った。

夏井先生の真似をすれば「才能ありの三位」。
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「はじめ」、根菜の白和え。
Commented by テイク25 at 2017-01-31 20:09 x
桜田門とその外側の景色の対比がいいですね。夕空に立ち上がる力強い雲も夕日に染まり綺麗!

単なる検査だと20万円かかると云うことですか?げぇ~~ぇっ!ですね。(品のない表現でごめんなさい)変なお姉さんに煩わせられることなく保険診療で内視鏡検査が出来た模様で何より。

今日、医師に会ってすっきりしない気分で帰ってきました。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-31 21:36
> テイク25さん、小一時間の散歩、ぱらぱらとほとんど外国人たち、あとはジョギングの人たちに会いました。
昔私もジョギングをしたところ、やはりいい景色です。
けさ行った公立の病院は一日ドックが3万円くらいでした。
先生に20万円の話をしたら、「意味のないような検査をたくさんやって金儲けですね」とのことでした。
帰りにランチをとった店にあった週刊誌で医薬業界が予防に手抜きをして不要な手術や検査で金もうけをしていることが特集されていました。
ペットなんてよくせきですよね。
Commented by at 2017-01-31 21:46 x
ちょっと退屈な時には居眠り、
生落語に枯渇中。
Commented by ほめ・く at 2017-01-31 22:06 x
私が通院している病院は、今どき珍しく差額ベッド代を取りません。個室もタダですが、本人が希望してもダメで患者の病状を病院が判断して決めています。医師も概して良心的で、最期はこの病院でと願っています。
左龍、地味ながら着実に力を付けてきており、好きな噺家の一人です。兄弟子の喬太郎が、あいつは顔で得していると言ってますが、決して顔だけでありません。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-31 22:13
蛸さん、いつも大活躍なのに退屈することなんかあるのですか!?
落語は生、次はテープ、テレビでは見る気になれません。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-31 22:24
ほめ・くさん、奇跡みたいな病院ですね。
私はいい先生には恵まれていますが、そんな病院はたえて知りません。
左龍のあの間とアナクロみたいなギャグがいいです。さいきん、昔は面白いと思ったシャレたギャグが面白くなく、古ぼけたギャグをしらつとやるのが妙に面白いのです。
Commented by j-garden-hirasato at 2017-02-01 06:41
20万円って、
夜のお店じゃあるまいし…。
だれが受けてんでしょうね。
Commented by at 2017-02-01 06:56 x
根菜の白和えを上品なポテトサラダと見たとは我ながら・・・
『鼓ヶ滝』
和歌と俳句は違いますが、夏井先生ならどう直すか、なんてことを考えてしまいました。
歌奴は威勢のよい高座がウリですが、いかがだったでしょうか?
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-01 10:38
> j-garden-hirasatoさん、まったくです。
私は近所のクリニックの先生が紹介状を書いてくださったので行ったのですが、ホテルのようなロビー、静かなBGM、きれいな女性スタッフ、たしかに気持ちはいいですが、ナンとか会員になろうなんて言う気にはなりませんでした。
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-01 10:40
> 福さん、そういえばポテサラにもみえますね。
歌奴は固くなっていたのか噛んだところもあり、まあ、この噺はニンじゃないかな。
彼がやるならもっと爆笑落語にしなくちゃつまらないです。
Commented by ikuohasegawa at 2017-02-02 10:41
私も今月、内視鏡(下)検査&たぶん切除。もちろん、保険適応者です。

看護師はチョット不愛想気味の事務的なのが好みです。


Commented by saheizi-inokori at 2017-02-02 22:02
> ikuohasegawaさん、それはそれは、お大事に。
看護師、私は飲み屋だって変な愛想を振りまくのは苦手です。
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by saheizi-inokori | 2017-01-31 16:09 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(12)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori