トランプをフラットな目で見る 佐藤優「『トランプ現象』の世界的影響、そして日本は」
2017年 01月 23日
おととい紹介した「トランプは世界をどう変えるか?」は表紙だけ見るとエマニュエル・トッドと佐藤優の対談のように見えるかもしれない。
じつはトッドに対する朝日新聞・大野博人のインタビューと、それとは独立した佐藤優の「『トランプ現象』の世界的影響、そして日本は」という小論文を併載したものだ。
日本の外務省がまったくトランプの当選を予想もしないで安倍首相を激怒させたのと反対に2016年6月刊行の「トランプ大統領とアメリカの真実」で副島隆彦はトランプの当選を断言している。
副島がトランプの勝利を予測したのは二つの事実に注目したからだった。
その一つは、現在もアメリカの外交・安保政策に多大な影響力をもっているキッシンジャーとトランプが会ったこと。
それは、キッシンジャー(とアメリカの支配層)が「ヒラリーにやらせたら、大きな戦争が起きそうだ。彼女の周りにいる危険な連中が戦争好き(ジンゴウイスト)である。これではアメリカも世界も持たない」と判断してトランプに接近することでOKサインを出したことを意味する。
もう一つは、「私は低学歴の人が好きだ」というトランプのネヴァダ州での勝利演説(2016年2月)の言葉に熱狂した数千人の大衆。
マルクスが否定したルンペンプロリタリアート・既成権力が作り出したシステムから放り出された下層白人をトランプがつかんでいるということ。
「自らの利害関係から戦争を回避したいエスタブリッシュメント」と「組織人の目に見えないバラバラの存在であったルンペンプロリタリアート」の双方をつかむトランプの選挙戦術を副島は見抜いた。
先入観や見掛けやメデイアによって創られた好悪の感情のバイアスに囚われないでフラットに見ることが大事だ。
今までのシステムが続けばいいと思う、金融資本、大手マスメデイア、大手IT企業、国では日本,EU、オーストラリア、ニュージーランドなどは、トランプに反対で、そういうバイアスのかかった見方をする。
本土の日本人の多くが大変動に際して自身をニアリー・イコール国家と勘違いして一喜一憂しているのに対し、日本政府(と多くの本土日本人)から見捨てられ差別されている沖縄は別世界だ。
こんかい沖縄では、いち早く翁長知事がトランプに祝電をうち、地元紙も現状変更の好機と歓迎の社説を書いている。
よく考えてみてください。トランプの当選は、私たち一人ひとり、個々人の生死を直接左右するような問題を孕んでいるのでしょうか。トランプが大統領になると、あなたは何に困りますか。
こんな下品な人に大統領になられては困る。なるはずがない。
トランプの本質は「用心深さ」だ。
発言が控え目であることとは別問題、時には用心深く効果を計算して暴言を吐く。
トランプのビジネス観
自分のビジネスを持つのは木を育てるようなものだ。ビジネスも季節の変化や嵐を乗り越え、美しい夏の日や冬の猛吹雪を経験して生きる生命体だ。ウインストン・チャーチルの言葉
それは成長を続けるものであり、文字通り自分自身を表現するものである。
自分を表現するものが何かあったら、自分の知る限り、あるいは達成できるかぎりそれを最良のものにしておきたい。そうすれば、自分に対するハードルをどんどん高くすることができるし、決して退屈しなくてすむ。そのことは保証してもいい。
ビジネスも一つの芸術だと思っている。
我々は得るものによって生計を立てるが、与えるものによって人生を作る。これは、たぶんトランプの座右の銘だと思う。
トランプの大統領立候補以前の著書の言葉、その本質は変わっていないだろう。
トランプ以後のアメリカを見極める三つのポイント。
一つは、1941年12月7日以前、非介入・孤立主義への回帰。
アメリカ政界(オバマにも)に大きな影響を与えてきたのは、新正統派の神学者ラインホールド・ニーバー(1892~1971)の説いた「光の子」と「闇の子」理論だ。
終戦後のデモクラシー社会においてアメリカは「光の子」として、孤立主義から脱却し「闇の子」と果敢に戦い、最終的に勝利し、平和が担保された世界秩序を築くよう努力するのがキリスト教国としてのアメリカの歴史的使命だ、という。
ソ連、朝鮮戦争、ベトナム戦争、リビアのカダフィ大佐、カストロ議長、サダム・フセイン、アルカイダ、アサド大統領、、次から次へと「闇の子」は現れた。
それに対し「米国は世界の軍隊や警察官をする余裕はない」というトランプの選挙演説、
トランプ現象とは、1941年12月7日(真珠湾攻撃)を境に、今にいたるまで、「光の子」として国際社会で振る舞ってきたアメリカの、国家として、あるいは社会としての「疲れ」-その「疲れ」が限界にたっしてしょうじたものその意味では「チエンジ」の一環として、中東、イラクからの米軍撤退をしたオバマトランプとオバマの間には連続性がある。
ただ、オバマにはニーバーの呪縛があったから、「光の子」と「闇の子」の二元論から逃れられず、世界中で中途半端な介入を続けた。
それに対してトランプにはニーバーの陰はない。アメリカはそもそも「光の子」を演じることには向いた国ではなく、「取引」こそがもっとも需要なのだ。
二つ目は、FBIによるヒラリーのメール問題暴露がトランプの勝利を確実にしたこと、トランプが新政権で任用する4千人ものスタッフについて情報が不足であることなどにより、FBIが政権を支える可能性が高くなる。
FBIの政治化が強まり内紛のせめぎあいも多くなる。
三つめは、マッカーシズム。
マッカーシーの忠実な部下としてマッカーシズムをともに取り仕切り、今もマッカーシーを心から尊敬している弁護士・ロイ・コーンこそトランプの公私にわたるメンター(指導者・助言者)であり、トランプは、コーンを経由してマッカーシーとは血脈の関係にある。
マッカーシーとは、どんな男だったか?
多数派から距離をおき、あらゆる権威を攻撃、軍部、プロテスタントの牧師、新聞、二大政党、公務員など画一性の拠点に対する執拗な非難攻撃。
いかなる種類の道徳厳正のふりをすることなく、「アメリカ語」特有の粗暴な表現を駆使しようとした。
似てるね。
ソ連という強敵の出現などのアメリカの「不安の時代」に登場したマッカーシーは「アメリカの敵は内部にいる」と言って赤狩り・マッカーシズムが吹き荒れた。
「アメリカを再び偉大な国にする」ために国内政策に注力したときに現れる敵、トランプもそういう敵を「作り出す」かもしれない。
さて、そんなアメリカに対して日本はどうするのか。
「世界の誰よりも早く」トランプ詣でを行って、(中身は公表されないが)当然TPP(アベノミクスの大黒柱)の批准を説いたであろうに、会談の4日後に「大統領就任の日に離脱」を明言されその通りになった。
佐藤は北方領土交渉は歯舞色丹に米軍基地を作る気はないと言って前進(その代わり尖閣も知らんよ)、辺野古は筋の悪い開発案件と見て取りやめになるか、と言ってるが。
朝日選書
心配なのはトランプとプーチンや欧州の極右が共鳴し合って、世界が人権無視の方向に向かうことです。
日本にも現れるんでしょうか、トランプみたいな人。
それを覆す、という意味でトランプみたいな人、しかも現実的な力をもっている人、出て欲しいですね。
昨晩届きました。
「ただ本を読めばいいというものでもないでしょうね。自分で考えなければ、そう思いながら人の意見や見解を疑うことなく受け入れてしまいがちです」
でも深く読みすぎると諜報作戦がぐるぐる回っておかしくなりそうです。
とっくに解散しスーちゃんは死んじゃったし 日露戦争やノモンハン事件からの狂いの拡大 米叩きに向かって反れんーソ連ー
放置、、ナチの計算狂いへ、、 逸れんも潰れたが、、