72歳の老人とメナシ犬による創世記 閻連科「年月日」
2017年 01月 12日
(「年月日」「父を想う」「日光流年」などを読んでもらえれば)作家の(「愉楽」「人民に奉仕する」「丁庄の夢」などの作品で作り上げられた)獰猛で凶悪な顔が緩んでいって、もう一つの表情があること、そして創作の求めているものー温もり、悠遠、詩情ーが遠い別のところにあることに気づいていただけるのではないかと、書いている。
俺は「愉楽」の読後感に、「詩情も、感涙も、笑いも、怒りもたっぷり」と書いていて、獰猛で凶悪な作家だとはつゆとも思わなかった。
皆さんがこれらの作品を読み終えたとき、ゆっくりと本を閉じ、小さな声で「へえ、こんな小説も書く人だったんだ。こんな小説を書くことができたんだ!」と感嘆のため息を漏らしてくださることを願っています。たった一人でも、ほんの数人の読者のため息でも、私にとってはそれが最高で最大の褒賞です。と書いていることについては、声こそ出さなかったけれど、それまでずっと俺の膝の上で長くなっていたサンチの耳の下を撫でながら、ほっとため息を漏らした。
72歳の先じいは雨乞いの儀式で眼が見えなくなった犬のメナシと、一本だけ残ったトウモロコシの苗を守るために残るのだ。
日の光が重さをもち音を立て、心もピシピシ音を立て、地面もプチプチ音を立て、夜の闇がパリパリ乾いた音を立ててやってくる荒涼たる世界で先じいとメナシの最強コンビが知恵の限りを尽くしてサバイバルを繰り広げる。
ネズミの大群や狼の群れとの息詰まる対決もある。
メナシとの交情が泣かせる。
号泣する人もいるかもしれない。
人間の尊厳を失わぬ者とその人間を最後まで守ろうとする犬による、創世記だ。
彼らによって創られた世界には希望がある。
フランスでは国家翻訳賞を受賞、中高生の推薦図書に指定されたという。
谷川毅 訳
白水社
まだないのかな?
「愉楽」も「年月日」も興味をそそられたので検索してみたら、
「年月日」が図書館にあるようなので手元の2冊を読み終えたら借りてみます。
佐平次さんのブログで知った「ジャッカ・ドフニ」をようやく三分の二ほど読み進んだところ。色々教えていただけてありがたいです。
2015年の「まだまだ出てくるだろう」という佐平次さんのオリンピック予想は当たっていましたね。共謀罪がなきゃオリンピックは開けないなどと言い出しているし・・・。じゃあ止めればいいんです。