神の御子は今宵しも 映画「この世界の片隅に」

エンタメ事始め、いつもの国立名人会(落語)のチケットを取り損ねたので、映画にした。
胡乱亭さんの胡乱ならざる慫慂もこれあり、明日がだめなら明後日、でエグゼクテイブシートが1000円の通常料金(障碍者割引)で確保できたし。



冒頭に流れた音楽は「神の御子は今宵しも」(コトリンゴ編曲)だ。



可憐な主人公・すずは呉の北條家に舞い降りた神だったのかもしれない。
おさなごに「もう飽きた」と言わせるほどの執拗な敵の爆撃で大けがをしても命が助かって、火事になりかけても消しおおせて、絶対的に欠乏していても今日の食卓を皆で囲むことができて、、何があっても何をみても、もっと悪い結果からみたら「よかったね」と言いあうことで生きていった「何の罪もない」市民の「普通であることが夢になってしまった」生活。
天然ボケのすずの明るさ・巧まざるユーモアは救いだった。

タライをつかう洗濯、ないものから手品のように作り出す三度の食事、裁縫に雑巾がけに、、嫁さん・すずは怖い山の神様ではなく、聖母のようにやさしい神様でもあった。

8月15日、意味の解らない放送で銃火は襲ってこなくなったが、飢えや欠乏、帰らざる者に対する悲しみとの戦いは続く。

18歳で結婚して2歳の俺を連れて命からがら引き揚げてきた亡母の姿がすずに重なる。
母もジョークが好きで絵も描いたなあ。
神の御子は今宵しも 映画「この世界の片隅に」_e0016828_10142977.jpg
(「しらいし」、ママのユカちゃんの絵)

平和な暮しや自然を表すべき優しい色、筆遣いが、かえって戦争の悲惨を対照的に映し出す。
柔らかな広島の方言もグローバル・有無を言わせぬ暴力の理不尽を訴える。
一人でも多くの若い人たちに見て欲しい映画だ。
小学校で「二十四の瞳」を先生に引率されて見にいったことも想いだす、いい時代だったのよ、あの頃。
神の御子は今宵しも 映画「この世界の片隅に」_e0016828_10101065.jpg
夜は我が家の山の神と「しらいし」で居酒屋はじめ。
「はじめ」にも早く行かなくちゃ。

Commented by at 2017-01-06 14:39 x
今、我が家族で唯一、次男が「この世界の片隅に」を地てやっている。
パンツ3枚、Tシャツ4枚、ジャージ2本。何かあったときのシャツ2枚、Gパん1本。これ全被服。
見習いたいし、話もしたいが、来月行ってしまう。今度こそ、帰って来ない。
Commented at 2017-01-06 16:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by gakis-room at 2017-01-06 17:17
「この世界の片隅に」,先を越されました。
この映画の感想を今夜アップする準備をしていました。
Commented by みい at 2017-01-06 19:42 x
この映画、観たいと思いながらまだ行ってません。
時間を作っていくつもりです!
Commented by tona at 2017-01-06 20:24 x
暮れ30日に行こうと前日まで思っていましたが、さすがに暮れも用事が片付かず、なくなくやめ今月に行こうと思っています。
お母さんのご苦労、同じように苦労された友人のお母さん(子供5人連れて引き揚げてきた)の事も一緒に思い出し、私たちの親は随分苦労したことに頭が下がります。
すずさんを観るのが楽しみです。
Commented by haruneko3 at 2017-01-06 21:51
ぐいぐいとアニメも名作品が。。。この世界の片隅に、チェックしてみます!今年もよろしくお願いいたします!
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-06 22:16
> 蛸さん、私の学生時代もそうでした。
何の不足も感じなかったなあ。
次男、いい男や。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-06 22:16
> 鍵コメさん、ありがとう。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-06 22:17
> gakis-roomさん、ぜひgakiさんの感想を聞かせて下され。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-06 22:18
> みいさん、ぜひぜひ、若い人も連れて、あ、みいさんも若いけれど^^。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-06 22:20
> tonaさん、自分で洗濯や掃除をしてみて、電化製品のない家事の大変さが身に沁みます。
その家事ですらやらない孫たち!親も悪いのです。
映画をみろ!^^。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-06 22:21
> haruneko3さん、こちらこそよろしくお願いします。
辛い映画なのに心が温かくなるのですよ。
Commented by urontei at 2017-01-07 01:10
年配の方にとっては、この映画は “過去” を描いているということになるのかもしれませんが、何故、いま、この作品が製作されたのかということを考えると、どうやらこれは “近い未来を暗示している” 作品なのではないかとも思えてしまいます。
うがった見方ではありますが。
あってはならない未来ですが。

“戦後” 七十年目を生きていたつもりが、いつの間にか 、我々は今、“戦前” を生きているのかもしれません。
Commented by haru_rara at 2017-01-07 09:37
いつもながらこういうよい作品の話を聞くたび残念なのは、当地に映画館のないこと。
遠方までは無理なので、テレビを待ちましょう。

「しらいし」のママさんの絵も素敵ですね!楽しい♪
大事な奥様、山の神なんて言っちゃダメ(山の神は醜女なのでオコゼを供えるなどという言い伝えもございますゆえ)(^_^)
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-07 09:57
> haru_raraさん、東京の良さは享受しなくちゃ、税金も高いのだし。
山の神、敬って言ってるのです^^。
Commented by ikuohasegawa at 2017-01-07 10:21
小学校で「二十四の瞳」を先生に引率されて・・・。

「十戒」を思い出しました。中学校だったかな。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-07 10:44
> uronteiさん、おっしゃる通りかもしれないですね。
そういう意味でも多くの若者に見て欲しいです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-01-07 10:45
> ikuohasegawaさん、デズニーとかチャプリンなども記憶にあります。
5円玉一つを握りしめて行きました。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2017-01-06 11:20 | 映画 | Trackback | Comments(18)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori