韓国のことを知ろう 金石範「火山島」
2016年 11月 15日
俺は韓国や北朝鮮のことをどれだけ知っているのか。
とくに日本帝国主義による植民地支配から解放された喜びもつかの間、すぐに38度線で分割支配された頃のことを。
津島佑子が申京淑との、「山のある家井戸のある家 東京ソウル往復書簡」 で触れていた金石範の「火山島」を読み始めた。
離島する者も多く、事件前に28万人いた島民は、1957年には3万人弱にまで激減したとされる。
長きにわたってこの事件はタブーとされ、盧 武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が2003年に初めて島民に謝罪した。
1925年生まれの在日作家・キム・ソクポムが渾身の力を込めて、世にいう「済州島四・三事件」を題材に書いた小説だ。
「戦争と平和」の4巻が未着なのと韓国のデモに背中を押されるようにして読み始めた。
カチッとした、骨格のしっかりした文章が1948年武装蜂起直前の済州島を描き出す。
党員たちの葛藤や「西北(ソブク)」と呼ばれる白色テロの与太者、日帝時代に投獄経験もある島の財閥の御曹司の煩悶、家族とのあれこれ、三無島(門が無い、泥棒がいない、乞食がいない)といわれた済州島の荒廃が島の自然を背景に丹念に真正面から描かれる。
若者たちを中心に登場人物の一人一人が存在感をもって立ち現れる。
祖国に訪れた「解放」が、じつは幻影だと人々がさとるのに時間はかからなかった。カネのある者が物資を買占め、退蔵し、いわゆる謀利輩(モリベ)たちが米やその他の食糧を日本に密輸出するなどで、物資は途端に欠乏しはじめた。そして、一夜明けて眼が醒めてみれば、、、「解放者」であるはずのアメリカが、旧日本帝国の強力な後釜だったということだ。アメリカは8月15日以降、鳴りを潜めていた「親日派」を引っ張り出し、右翼勢力とともに左翼・民族陣営を抑圧する。
1946年、「三・一独立運動記念28周年島人民大会」を阻止しようとする警察は軍政庁の米軍将校の指揮の元、機関銃と騎馬隊で対峙、少年を含む6人が射殺される。
この事件を契機に島の情勢が急変悪化するのだ。
「戦争と平和」がナポレオン戦争にあぶりだされたロシアの貴族たちの真実を描き、本書は「アメリカによる正義・平和」が踏みにじった人民の真実を描く。
読み応えのあるいい本に巡り合えた。
文藝春秋
これはsaheiziさんの紹介で満足するよりしょうがないなあ。
韓国のデモ、直進で諦めない民衆と何年もアベを放置の我国。
数年前から、ドイツの音大は韓国からの学生が多数派で、度々
彼等の奏でる音の深さに出会います。それをふと思いました。
日本は戦争に負けたと言いながら、すぐに(朝鮮戦争のお陰もあったりして)経済的に立ち直った(それもアメリカの傘の下で)から、あんがい能天気にあなた任せでやってきた。
そういう行き方が、今もトランプがどう出るかばかりを心配して、自分たちがどうするかを考えないあり方につながっているのではないかとも思います。
明日のブログで紹介します。
私はいくらかの違いはあるけれど、根本的にというほどの違いは感じませんでした(わずかな経験ですが)。近しさの方を感じますよ。
キムチが好きで優しくて、、。
saheiziさんに代わりに読んでもらいます(^^ゞ
なんといったらいいのか。