電通強制捜査が明らかにしたこと 白井聡×内田樹『属国民主主義論』(2)
2016年 11月 08日
「コスパ化する民主主義と消費社会」という章で、白井はベンジャミン・バーバーの『消費が社会を滅ぼす?!-幼稚化する人びとと市民の運命』が
消費社会化で人びとが幼稚化しているという現実があるけれども、それは資本家側が意図的にそう仕向けているのだ。ということを書いているといい、
消費社会についてはさまざまな定義がありますが、私なりにこれを定義するなら、「消費の対象の背後にある血なまぐさい現実について、人々が一切想像しなくなっている状態」ではないかと思います。と言っている。
彼はスマホを例に挙げて、アップルから製造委託された台湾企業が中国で労働問題を起こしたこと、石油採掘に伴なう搾取や血なまぐさい武力闘争に言及している。
少しでも想像力があれば容易に理解できる現実があるのに、相も変わらず何かを消費するときに喜びこそ感じても、背後の血なまぐさい現実を思って、申し訳ないような忸怩たる思いを感じる人は(俺も含めて)ほとんどいない。
それどころか、アマゾンの無料当日配達だとか、信じられないほど安い商品を選択するのだ。
そういう俺たちは無慈悲な鬼か、そんなことを感じていたら、ノイローゼになってしまう。
そうならないように、電通は今日もまた、各種メデイアやイベントで「消費する喜び」を煽り立て、大衆の幼稚化にブレーキをかけようとはしない(ブラック企業の根っこは消費社会にあるのに)。
オリンピックに間に合わせるために過酷な労働を強い続けるだろう。
考えてみれば、年金をはじめとする老後の社会保障を見直しすると言われて、じゃあ今のうちに金を使いましょうという人はそうはいないだろう。
嫌な状況だが、消費の対象の背後にある血なまぐさい現実に思いを馳せる人たちが増えてくるかもしれない。
物のない頃、俺たちは米一粒にお百姓さんの汗と涙があることを教わって育ったじゃないか。
『属国民主主義』からもうひとつ。
(白井)政権批判をしていて歯痒いことの一つは、現実に政権に就いているのが、「言っていることが矛盾だらけじゃないか」といくら指摘してもまるで気にしないような人たちだということですね。(略)この後、彼らは「身体性の回復」だとか「経済成長はあり得ないという前提でものを考えよ」とか「自給自足農業の重要性」などさまざまな議論を展開する。
(内田)(知識人の犯罪容疑者は供述の矛盾をつかれるとガタガタッと崩れ落ちるのに対し)知的であることに価値を認めていない人間は、供述の前後の矛盾なんか指摘されても、痛くも痒くもない。ヤクザなんかは(昨日言ったことと今日言っていることの辻褄が会わないことを指摘されても)「あ、そうでした。じゃあ、昨日のはナシにしておいてください。今日の方が本当の話です」と言ってけろっとしている。(略)
安倍さんや橋下さんを見ると、(そのヤクザの話を)思いだします。
(白井)「矛盾はしておりません」と言って、終わりですね。
(内田)あれはまさにヤクザの論法なんです。(略)
我々がロジックと呼んでいるものが有効なのは、自分の言葉に対する個人的な責任感や、知的誠実さというモラルに依拠している(略)。
(白井)この状況を変えるとしたら、モラルから立て直さないと、ロジックだけ立て直そうとしても無理でしょう。
「経済成長が必要だ」という考えに立つ限り、その帰結は戦争でしかあり得ず、そう考えると安倍政権は見事に首尾一貫しているというのだ。
こういうことで同感するのは辛いけれど、敵の正体をしっかり見定めなければ何ごとも始まらない。
孫請け、曾孫請けと、搾取の連鎖。
今、必死に自分たちに火の粉が飛んでこないような根回しをしていることでしょう。
電通をスケープゴートにして収めようという意図が見えなくもないです。
ただ「働き方を変える」というのは「生活の仕方を変える」ことでしか根本的な解決にはならないでしょう。例えば商店が昼休みを取ろうと、夕方には閉店しようと、日曜日には休もうと、それが普通なんだと思える社会にしないと、異常な勤務状況は改善して行かないと思います。
花森安治のところも大変だったようですが残業手当はなかったと聞きます。
かく申す私も、、まあ、仕事にやりがいをもっていたから救いがあると言えば言えますが。
競争に関係のない仕事でも長時間労働をするのは、文化の問題なのでしょうかね。
いつの間にかおかしくなってしまいました。
今のブラック企業というのは新自由主義から、仕事のやりがいに関係なく、ひたすらコスト・要員削減した結果が大きいと思います。
その前でも能力のある人とか特別な使命感を持った人・職場は勤務時間のことを考えなかったですね。
今は、やりたくない人も無理やり残業せざるを得ないようなシステムになっているようです。
短いエッセイですが。
同じ思いをすることが多いですね。
〉「経済成長が必要だ」という考えに立つ限り、その帰結は戦争でしかあり得ず、そう考えると安倍政権は見事に首尾一貫しているというのだ〈
まさにアメリカそのもの。
湾岸戦争、イラク戦争を見てわかるように、
戦争でぶっ壊しておいてその後復興という名のもとで
アメリカの製品を売りつける。それも賞味期限切れのものばかり。
インフラに始まりすべてのものを。
で、アメリカ仕様の国に変えてしまう。
日本もそうなるのではないかと恐れています。
三菱、東芝、日立はすでに武器製造・輸出の方に
方向転換いるだろうし…
日本も、かつての道(戦後生まれの私には実際わかりませんが)
の方に方向転換しているのかもしれない。
何故国民は怒らないのだろうか、何故こうもおとなしい
のだろうかと時々不思議になります。
大学に行っても、昔のような立看板ひとつなく、
異様に美しい庭園にようなキャンパスがあるのみ。
なんだかなぁ〜って思います。
アメリカの属国として地に足のつかない平穏(見せかけの)に甘んじているのもいつまでも続かないでしょう。
トランプがどう出るか、ばかり気にしていないで、自分の頭で考え行動していかないととんでもないことになるかもしれないです。