再開された原発プロパガンダは3.11以前のそれより罪深い 本間龍「原発プロパガンダ」

夕方になると西の空に輝くもの、肉眼で見るとちょっと細長い、飛行機かと思ったらちっとも動かないし、毎日見えるのだ(スマホではうまく映っていないけれど、道のずっと先、真ん中に見えます)。
いったいなんだろう?SF的妄想を刺激される。
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上弦の月と下弦の月の違いは、いまだによく分からない天文音痴(話は好きなくせに。たとえばhttp://hooktail.sub.jp/astronomy/moon/)
せんじつタイキと散歩していて上弦の三日月を見て、「あの上の先っぽからから下の先っぽに線を引いた先の方向が南なんだよ」という。
たしかに!負うた孫に教えられた。
でもなぜ?を訊くのを忘れた、自分で考えろってか。
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日の暮れる前から歩き始めて灯がともるころの散歩も好きだ。
違う世界が始まる、その瞬間に立ち会う。
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違う世界といえば、原発、3.11は世界を変えてしまった。

朝のすばらしい空気を胸いっぱいに吸い込んで、ふと、あの頃はこの東京からも逃げ出さなくてはならない、と考えていたんだと思う。
部屋の通風孔にラップを張ったり、春休み中だけでも孫たちは滋賀や九州に行かせた。
ほんとにもう大丈夫なのだろうか。

昨日紹介した「バラカ」は、原発推進派がフクシマの放射能汚染がなくなったという宣伝広報にバラカを使おうとするのだ。
甲状腺ガン手術の傷跡の残る・伝説の少女バラカを帰還可能区域の小学校に通わせ元気にプールで泳ぐ姿を取材させる。
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バラカはフイクションだが、こちらはリアルな事実だ。
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原子力ムラ(政府・自民党、経産省・文科省、東大を頂点とする学界、電力会社・建設会社、その他周辺企業、メデイア、広告代理店とくに電通)が総力を挙げて原発の安全神話を作りあげ国民を洗脳していった軌跡を数字や具体例をあげて立証する。

なんとも腹立たしいのは、不況であろうがなんだろうが、一切構わず、巨額の費用を使って宣伝活動を展開する、その費用が総括原価主義により電気料金の原価に折り込まれて、そのまま電気料金となったこと、さもなくば税金からの支出であったこと。
俺たちは自分の金で自分を洗脳し、地獄の道を歩いて行ったのだ。
通常の宣伝活動なら費用対効果が求められるけれど、原発プロパガンダにはそれがない。

1991年、科学技術庁は原子力文化振興財団に委託し、読売新聞の論説委員をしていた中村政雄を委員長、田中靖政(学習院大学教授)、赤間紘一(電事連広報部長)、片山洋(三菱重工業広報宣伝部次長)、柴田裕子(三和総合研究所主任)を委員とする委員会で「原子力PA方策の考え方」を策定する。
PA=パブリックアクセプタンス、社会的受容、筆者がナチスがユダヤ人に対する施策方針を決定したヴァンゼー会議の役割に比すような会議に権力のチェックを使命とすべきジャーナリズムの幹部がトップに着いたところに、原発プロパガンダの異様な特徴がみられる。

本書にはこの方針の概要が紹介されているが、訴求ターゲットの分析選別、文化人や専門家の囲い込み、メデイアばかりか反対派リーダーの取り込み方、表現方法、日常活動のあり方など、微に入り細に入り、どうしたら総国民を原発批判から遠ざけさせるかが具体的に述べられ、、それが実行された。
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巨額の費用を使う宣伝活動は、国民に対して理解を求めるばかりか、むしろメデイアに対する牽制・監視を目的とするものだった。
新聞社、とくにローカル紙にとっては巨額の原発関連広告は経営にも影響を与えるものであり、原発に批判的な記事を掲載すると電事連のチエックが入り、広告の引揚げがなされることは避けなければならなかった。
社内の営業部門の突き上げによって批判的報道を行った編集部門の幹部が左遷された事例も多かった。
スポンサーのつきにくいニュース番組を提供してもらったりするテレビも原発批判はタブーであった。
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3・11直後も電通と東電は、メデイアをまわって東電批判を手控えるように牽制していたが、やがて事態はそういう段階でないことが明らかになる。
原子力ムラが過去に行ったプロパガンダの形跡を必死になって消去、大手新聞社・雑誌社(読売でさえ)は過去掲載広告事例から原発広告を削除するのだ。
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しかし、それは証拠隠滅であって過去を反省してのことではなかった。
早くも2013年3月24日、電事連と日本原燃が「東奥日報」に30段広告を掲載、2014年からは電事連が「週刊新潮」にデーモン小暮、手嶋龍一、舞の海、宮家邦彦らを起用する中面見開き2頁広告を打ち、読売新聞は記事の中で再稼働の推進を唱えるとともに編集委員の橋本五郎を使った広告も積極的に展開、原発プロパガンダは再開される。

3・11後の原発プロパガンダは、「安全神話」ではなく、「原発はベースロード電源(安定供給)」「二酸化炭素対策のクリーンエネルギー」などに加え「事故で放出された放射能の危険性は小さく、健康への悪影響はないという安心神話」に重点が置かれる。
復興対策費の中に「健康不安軽減対策」「風評被害対策」という予算項目が確立したから、税金を使ったプロパガンダが強力に推進される。
それはフクシマ以前のそれより、残酷な悲劇を目の当たりにしながら行われているのだから、はるかに悪魔的なプロパガンタというべきものだ。
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懲りない、恥知らずの連中が日本を牛耳っている。
アメリカの言いなりになってしゃにむに憲法違反の立法を行い、今はまた「強行採決はしない」と言った口から「TPP絶対反対、ぶれません」と公約したはずのTPPを強行採決する。
原発プロパガンダに乗せられないようにしなければ、こんどこそ破滅への道だ。


Commented by c-khan7 at 2016-11-06 12:53
3.11で原発が吹っ飛んでいたら、今頃、どうなっていたろうか。
現実を見て、想像力をはたらかせ、国を作っていかなければと、心から思います。
Commented by saheizi-inokori at 2016-11-06 13:04
> c-khan7さん、ほんとうに「ついていた」んですよね。
もう少しでオリンピックどころか、日常生活が東日本、いや日本全体から奪われてしまうはずでした。
Commented by sora at 2016-11-06 23:04 x
私達 日本人は一体何なのでしょう 虫けらのような扱いです
かなりわかっていたとはいえ きょうは。。。   
Commented by j-garden-hirasato at 2016-11-07 06:28
そもそも最終処分ができる科学技術を
人類はまだ持っていませんからね。
それができてからではなかったのかなあ。
政治って、やっぱり怖いですね。
Commented by jarippe at 2016-11-07 06:42
事故後5年過ぎても全く進歩していない先が見えない現実
ひとたび事故が起きたら人々が普通に生きて行く事が出来なくなる
その処理すらも出来ないものなど必要ありません
無くても充分人は生きてゆけます幸せに
今生きている人たち 特に稼働させようって言っている人たちは
最後まで見届けずに子供たちに孫たちに負担だけ負わせていなくなるんですもの 
ひどい話です オリンピックにかける兆兆兆をこちらへ使ってほしい
Commented by saheizi-inokori at 2016-11-07 09:46
> soraさん、虫けらのように扱われて、それでもいいと思っているのかも。
目の前の消費生活ができればそれでいいと飼いならされてしまったのです。
どうなってもいい、というニヒリズムもあるのかな。
Commented by saheizi-inokori at 2016-11-07 09:48
> j-garden-hirasatoさん、最終処分ができるとは思ってないのでしょう。
もうどうなってもいい、という、日々の消費生活さえ続けられれば。
そのように飼いならされたのかもしれない。
Commented by saheizi-inokori at 2016-11-07 09:51
> jarippeさん、まったくですよね。
原発立地県の人たちに生活が軌道に乗るまでの補助に回して、故郷に帰れない人たちの生活の補助に、、それこそ復興、オリンピックをやらないことによる復興でしょう。
Commented by namiheiii at 2016-11-07 10:19
昨夜のNHKで3.11の事故処理に限りなく膨らみ続ける費用と時間の特集番組がありました。いまだに融け落ちた炉心の処理の方法も規模も分からないと言います。でも政府は原発依存政策を続けるのは何故でしょう?処理費用は巧妙に国民に転嫁されるのです。
Commented by namiheiii at 2016-11-07 17:37
冒頭の謎の光ですが静止衛星と考えればよいかと・・・でもニュースで聞いたこともありませんね。方角はどちらでしょう?
Commented by saheizi-inokori at 2016-11-07 20:34
> namiheiiiさん、NHKですらそういう報道をしている、その裏にははるかに恐ろしい何かがあるような気がしてなりません。
不思議な光、よく見ると欧米人の書く7の字形、数珠のような球が見えます。
けっこう強い大きな光、今日も見ました。
西の方です。
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by saheizi-inokori | 2016-11-06 12:38 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(11)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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