猫は近代文学の師である 句集「一茶と猫」

小学校時代の友人・池田充君が挿絵や表紙絵を描いた「一茶と猫」、一茶の猫を詠んだ句ばかり88句、選句、フランス語訳はマブソン青眼(SeeganMabesoone)。
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一茶には小動物を詠んだ句が多いが、そのなかでも一番多いのが猫、330句もあるという。
芭蕉の猫句は6句、その4句は「恋猫」を扱っているのに対して、一茶の恋猫は3割程度で、優雅な猫のポーズは詠まれていない。
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一茶の猫の句が急増するのは、様々な苦難を経た後で、自称「荒凡夫(あらぼんぷ)」すなわち”自由な老人”となった心境で独立自尊の余生を過ごすようになるころだ。
とマブソンは序文に言う。

一茶は「視点の自由」「個性(時には社会に反する個性)」「感情」という一種の”浪漫派的性格”を猫から教わった。
いわば”近代的自我”の示唆を猫から頂いたのである。猫たちのお陰で彼は日本文学における「最初の近代人」
漱石、子規なども一茶の猫の視点や「集中擬人法」「軽妙なる滑稽」に触発されていた。
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寝並んで小蝶と猫と和尚哉

恋猫やきゝ耳立てて又眠る

恥入りてひらたくなるやどろぼ猫

猫ともに二人ぐらしや朝蚊やり

人中や猫も子故のぬすみ哉
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隠居・われは猫じゃなくてサンチ。
まだまだ「荒凡夫」には至らず。
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久しぶりに雨のない日曜日の駒沢公園、走る人が多かった。
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夕方の空をスマホで撮ると青空になる。
明日天気にな~れ。
Commented by jarippe at 2016-09-26 13:56
去年からマブソンさん選の一茶の句を
我が 絵本作りの会でピックアップして
楽しかったです
此処でまたマブソンさんがお出ましとはビックリ
ちょっと嬉しいです
Commented by at 2016-09-26 20:37 x
眞蕪村、うんにゃマブソン氏は角川『俳句』に連載していたころ、愛読しておりました。
最近、雪とけて村いっぱいの子どもかな、
が一茶の作と知り、感動した次第。
Commented by hanamomo08 at 2016-09-26 20:51
池田さんの絵がいいですね。
猫の表情を知り尽くしています。
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-26 21:59
> jarippeさん、その絵本をぜひブログで見せてください、ぜひぜひ!
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-26 22:02
> 福さん、そうですか、マブソン師、有名なんですね。
雪とけて、、すなおないい句ですね。
雪国の冬、それも豪雪の冬ですね、東京なら雪降って、ですよね。
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-26 22:03
> hanamomo08さん、彼の家にちょっとだけお邪魔したのですが、猫は居なかったようでもあります。
奥の方にいたのかなあ。
Commented by ume at 2016-09-26 22:15 x
好々爺を連想する小動物を詠んだ作風と継母と壮絶な相続争いをして、一切妥協せず全面勝利した一茶の実像とのギャップに戸惑うのですが、俳句はあくまで創作ということなんでしょうか。四苦八苦の稲刈りもじきに終わりそうなので、蕎麦でも食いがてら柏原へひとっ走り行ってこようと思っています。
Commented by j-garden-hirasato at 2016-09-27 06:28
漱石の「吾輩は猫である」、
そういうことでしたか。
そういえば、
漱石のドラマ、始まりましたね。
Commented by ume at 2016-09-27 08:03 x
継母との壮絶な相続争いで、一切妥協せず全面勝利した執念と好々爺然とした作風とのギャップに戸惑いつつも、俳句は創作だからなと合点しています。
四苦八苦の稲刈りも終わったので、蕎麦を食いがてら柏原へ行ってこようかしら。
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-27 09:35
> j-garden-hirasatoさん、ホフマンの「牡猫ムルの人生観」にヒントを得たともされていますが、子規は「俳人一茶」で一茶再発見のきっかけを作った由、俳句の弟子でもあった漱石が影響を受けたと思われます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-27 09:41
> umeさん、継母になじめず14歳で一人江戸に出た一茶、父の最期を介護した一茶、継母との長い争いは当事者でなければわからないいろんな感情があったことでしょう。
執念をもって勝ち取ったからこそ「荒凡夫」の境遇にたどり着いたのではないでしょうか。
柏原の駅前の喫茶店、もう一度行ってみたいです。
蕎麦もうまかったけれど、店の名を忘れました。
Commented by reikogogogo at 2016-09-27 10:22
Saheiziさんのご友人が描かれた挿絵や表紙の「一茶と猫」いいですね。
一茶の生涯通じて2万句以上残されたという句には本当に小動物が登場しますね。一茶記念館に居た三毛猫、信濃毎日新聞連携の猫たちの表紙の写真句集が目に浮かびます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-27 23:58
> reikogogogoさん、私はなんどか柏原に行きながら一茶記念館をみてないのです。
旧宅は見ましたよ。
Commented by cocomerita at 2016-09-28 07:15
Ciao saheizi さん
猫は 見てるだけで飽きずおもしろく そして自由で美しい
近代文学の師になりうると言うのもわかる気がしますが、、その前に 何よりも最高の同居人です

最後の写真が とっても昭和。ですね
"三丁目の夕日" に出てきそう
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-28 09:45
> cocomeritaさん、犬もええよ^^。
いずれ亡くなってしまいそうな店とか小路などを撮っておこうと思います。
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by saheizi-inokori | 2016-09-26 12:18 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(15)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori