不要不急の老人は寄席にいくのだ 柳家喬太郎プロデュース とみん特選寄席

彩雲、瑞雲、虹雲、その福はそれと気づいた俺のものだ。
とおもったら近所に住む看護師さんにオハヨーと言われたので、分けてあげた、「ほら、あれ!」。
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不要不急の外出、無駄な外出は控えてください。
不要不急な存在の俺には落語を聴きに行くことは無駄ではない。
外に出ると、雨も小止みになっていた。
副都心線が北参道で10分ほど停車したので紀伊国屋書店に着いたときは20分前、ゆとりをもって本を見る時間もない。

ほぼ満員、訊けば昼の部は100人ほど欠席があった由、たしかに昼だったら来なかったかもしれないな、いくら不要不急な俺でも。
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開口一番を辰のこが「十徳」を元気にやったのに続いてわさび「亀田鵬斎」
屋台でおでんと燗酒を商う平次が、それと知らずに名高い書家の亀田鵬斎の孫を助ける。
喜んだ鵬斎がお礼をしたいというが実直な平次は固辞する。
困った鵬斎が屋台の小障子に「おでん 燗酒 平次殿 鵬斎」と書く。
それからのこと、お店のご隠居風の男がきて熱燗いっぱいの代金に一両をおいて、これをもらっていくよ、と小障子をもって行ってしまう。
平次は亀田鵬斎を訪ねて一両を、これはもらえないという。
押し問答の末に鵬斎は一両は預かっておくといい新たに再び小障子に「おでん 燗酒、、」と書く。
こんどは若い侍が来て、何も取らずに5両おいて小障子をもっていく、鵬斎また預かり、書く、こんどは殿さまが家来を連れてきて屋台ごともって行き25両おいていく。
亀田鵬斎、笑って「どうだ、これで31両あるから、もう屋台をやめて店をもったらどうだ」
「じゃあ、四谷で豆腐屋でもやります」「それならワシが豆腐屋と書いてやろう」「冗談言っちゃいけねえ、そんなことしたらこんどは家ごともってかれる」

さん生の弟子らしく師匠の教えに忠実に演じた。
最初はもたもたしていたが後半、好漢・平次と隠れた達人・鵬斎のやり取りを気持ちよく聴かせた。

初めて聴く噺のうえに浅学にして亀田鵬斎を知らなかったので帰宅して調べてみた。
折衷学派、すべての規範は己の中にあり、己を唯一の基準として善悪を判断せよとし、社会的な権威をすべて否定的に捉えていた。

寛政の改革で幕府正学となった朱子学以外の学問を排斥する「寛政異学の禁」が発布される。山本北山、冢田大峯、豊島豊洲、市川鶴鳴とともに「異学の五鬼」とされてしまい、千人以上いたといわれる門下生のほとんどを失う。酒に溺れ貧困に窮するも、庶民から「(下谷)金杉の酔先生」と親しまれた。塾を閉じ50歳頃より各地を旅し、多くの文人や粋人らと交流する。
いい男だ。
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小せん「野ざらし」いい声で軽快に楽しいスケベなはっつあん。

寒空はだか・漫談

初めて、あってもなくてもいい、テレビの「世界の車窓から」みたいな、私の出番です、まあ、そう卑下しなくてもナンセンスな歌の数々結構楽しかったよ。
なきゃ困るかと言われれば、みんなそう、聴いてるこっちも不要不急の塊だからね。
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扇辰「目黒のサンマ」
秋きぬと、、サンマのぷ~ちゅ~焼ける音にぞ驚かれぬる、うまい秋見つけた。
この殿さまは馬鹿でもなければ品のない男でもないはず、おっとりした名君がサンマを初体験し一目(一口で)恋に落ちるという風情が噺の奥行きを作るとおもうのだが、俺が聴いたなかでは小満んだけがそういう殿様だった。
扇辰は地の語りはいい声で品もあるのに、どうしてあんな下品なバカ殿さまにしてしまうのだろう。
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(居残り会で食ったサンマの代わりのイワシ)
白鳥「ギンギラボーイ」

二樂・紙きり

「桃太郎」「台風9号」「駄菓子屋」「怪獣ブースカ」

喬太郎「路地裏の伝説」

父の三回忌で故郷に戻ったら懐かしい友人たちが線香を上げに来てくれた。
友人たちがいう、「こうしてみんないるんだからもっとしょっちゅう帰って来いよ」
「うん、ありがとう、でもな仕事があってなかなか帰れないんだ」
「だってお前、ここは大宮だぞ、いったいお前どこに住んでるんだ」「赤羽」「いっそ実家から通えよ」

そういえば、寒空はだかも出身地の埼玉の自虐、関西の人に埼玉のイメージを伝えるのに「奈良から伝統と文化に鹿を引いた感じ」と言えばいい、なんていってたな。

浦和に一年ちょっと働いたことがある、いいところだと思うほど街歩きはしなかったなあ。

故郷の友人たちと発泡酒とチーズたらでやりながら、懐かしい昔話をして盛り上がる。
都市伝説、ナンチャッテオジサン、口裂け女、、その辺は俺にも、、だが雑誌ゴローとかスコラは見当もつかない。
明星みたいなやつかな。
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喬太郎プロデュースの一日寄席、気楽な仲間でふざけ合っているようで、しかもその嫌味もなく仲間にいれてもらったような気にさせるところは達者な連中でした。
Commented by ほめ・く at 2016-08-23 15:27 x
「スコラ」「GORO」は、共に1980-90年代に流行った雑誌です。両方とも若い男性向けのグラビア雑誌で、「スコラ」は「プレイボーイ」風な編集、「GORO」は篠山紀信が激写した写真が売りものでした。多分、喬太郎が20代の頃に最盛期だったんでしょう。
今晩は佐平次さんの後塵を拝して紀伊国屋に行ってきます。
Commented by unburro at 2016-08-23 18:40
柳家わさび、といえば、
NHKのこんな番組に出ているのが面白いです。
【知っていそうで知らないスポーツの基礎知識を、落語家・柳家わさびがたった5分、ざっくり100コマで紹介する「100コマシリーズ」】
フェンシングとかビーチバレーとか、よく分からないスポーツを、
ざっくり説明してくれます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-23 21:17
> unburroさん、へ~、覗いてみようかな。
ありがとう。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-23 21:20
> ほめ・くさん、雑誌の名前にかぶせていろんなアイドル?のことをいうのです。
パイオツがどうたらこうたら、分かりましえん。
Commented by at 2016-08-24 06:56 x
この日の扇辰が『目黒のさんま』の口っ切りでしょうか。
下品なバカ殿という設定で成功したのは花緑で志村けんの例のアレでした。
扇辰の場合は、そうじゃなかったんでしょうが・・・
というよりも、あの噺は殿さまの個性には重きを置いていないような気もします。

Commented by saheizi-inokori at 2016-08-24 09:25
> 福さん、それがその志村けんのバカ殿さまなんですよ。
好き不好きでしょうが、私は上品な教養豊かな殿様がなんとサンマを知らなかったというところが面白いのです。
扇辰はうけていましたよ。
Commented by ikuohasegawa at 2016-08-26 05:19
亀田鵬斎は、全く知りませんでした。
動画の貼り付けありがとうございました。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-26 09:38
> ikuohasegawaさん、落語はいろいろ教えてくれます。
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by saheizi-inokori | 2016-08-23 12:37 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori