武藤貴也には理解できない”自己中”でありながらまともな若者 羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」
2015年 08月 09日
88歳のおじいちゃん、二言目には「毎日身体中が痛くて痛くて、、よかことなんかひとつもなか」「早う迎えにきてほしか」「健斗にもお母さんにも、迷惑かけて、、本当に情けなか。もうじいちゃんは死んだらいい」、、。
主人公・健斗、28歳、無職、手当たり次第に面接を受けるが不合格の連続。
毎日腕立て伏せ、スクワット、ランニング、、筋トレに余念がない。
ガールフレンドに振られたあとは、”つかわない機能は衰える”をモットーに一日最低三度の射精に取り組み、CD音源つき英語テキストで洋画を見て英語力を磨く。
お母さん、兄弟たちの家を転々、厄介払いされたおじいちゃんと息子を養っている。
おじいちゃんが、「お母さん、お皿、お願いします」と食べ終えた皿を差し出すと、舌打ちをして「自分で台所まで運ぶって約束でしょ。ったく甘えんじゃないよ、楽ばっかしてると寝たきりになるよ」、血縁者故の際限ない甘えに、慢性的な苛つきは頂点に達しつつあるようだ。
自分の今までの祖父への接し方が、相手の意思を無視した自己中心的な振る舞いに思えてくるのだった。家に生活費を入れないかわりに家庭内や親戚間で孝行係たるポジションを獲得し、さらには弱者へ手をさしのべてやっている満足に甘んずるばかりで、当の弱者の声など全然聞いていなかった。
死にたい、というぼやきを、言葉通りに理解する真摯な態度が欠けていた。
そんな究極の自発的尊厳死を追い求める老人の手助けが、素人の自分にできるだろうか。
こう書くと深刻な暗い小説のようだが、そうではなくぜんたいに流れるのはユーモアとちょっとしたアイロニーだ。
今の世の中にすんなり生きていくのが難しい、どこか外れているのだけれど、外れたものを抱え込みつつ、まっすぐに生きている。
そこが、健斗や母など登場人物の内面の掘り下げが足らないという物足りなさも感じさせても、さいごまで読ませる小説になっているのではないか。
シールズに集う若者を、戦争に行きたくない自己中な連中と言ってのける自民党の、もっと自己中な武藤貴也などには絶対に分からないまともさだと思う。
武藤貴也議員のことについてー前滋賀県知事の嘉田由紀子さんのコメント
介護問題が小説に・・・なんですね。
身近に介護を担っている人は多いし、たいていが女性。老老介護が大問題になっています。明日は我が身かも。
高校生大学生の、明るいデモ、たのもしいですね。私も行きたいです。明るいプラカード作って。行かれないのがもどかしいです。
読んだり見たりするたびにわが身のことも考えては、ああ、考えても詮無いことと思っています。
私もちょっと身辺があわただしくなりすぎてデモに行けない日が増えそうです。
直木賞ではなく、芥川賞を2作、でした。
「安保関連法案に反対する高崎経済大学有志の声明」
https://docs.google.com/forms/d/1SQIptEuo4KlsnYo8BfzIMmXgYkoAx3pA9mb6Q_X4nWE/viewform
にも署名できます。
>弱者へ手をさしのべてやっている満足に甘んずるばかりで、当の弱者の声など全然聞いていなかった。
母を介護した時の事を今でも思い出し、後悔ばかり重ねてドキッとしています。
私も、この言葉の通りでしたもの。
でも、これってまさしく今の時代を表した言葉にも読めました。
政治家になったという満足に甘んずるばかりで、国民の声を全然聞かない政治家がなんて多い事でしょう。