親子酒を聴いてお茶けではないホンモノの仲間酒を飲もう 池袋演芸場上席・昼(と夜の一部)

幸兵衛さんからお誘いがあって、池袋演芸場の昼席に。
地下の美登利寿司でチラシ680円を買って行く、ささやかなゼイタク。
満員、予備の折り畳みイス。
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印象に残った高座。
正太郎「権助魚」

権助のトボケタ味がいい。
網打ち魚、目刺しが迷子にならないように、かといって手をつなぐわけにいかないから目に藁を通して、、その仕草が痛そうだけど滑稽。
蛸がどうやって褌するか、戸惑っているのをつかまえてきた!
客席がイイ感じで笑う。

百栄「桃太郎後日譚」

お伽噺のその後、犬、猿、雉が実はグルの悪党だった。
毎日酒を飲ませろと爺さん婆さんを困らせる。
鶏も食わないキビ団子ひとつで命をかけて鬼退治をした恩を返せ!


この動画↑はいつのものか、昨日の出来の方が脱力・ニヒルな感じがあってイイ味をだしていた。
”国鳥”様・キジの世の中を馬鹿にしたような”ケン!”が出色。

馬石「反対俥」

線路を駆ける人力車、向こうから汽車がくる!
なあに、汽車が勝つか、あっしが勝つか!
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菊之丞「親子酒」

「一本だけ」「もう一本だけ」「あと一本きりだ」「お~い、酒がねえぞ、婆さん」、、俺のような行儀のいい酒飲みは決してこんな意地汚い飲み方はしない、、、つもりで、は、いる、のよ、ハナは、ね。

正楽・紙切り

「サクラエビ」、桜エビのかき揚げを食う夫婦、エビをつまんでいる旦那、説明しなきゃ分らないですねえ。
「ウルトラセブン」、喬太郎と違って知らないんです、どんなんです?けっきょく「ウルトラマン」でもいいと客。
「登山」、お囃子さん、土曜日だからか、やる気になっています、「雪山讃歌」、しばらく聞きましょうか。
寄席の楽しさ。

小満ん「長屋の花見」
長屋じゅう歯を食いしばる花見かな
この噺を知らなきゃ分らないな。
今月の月番から酔ってもらおうか

へえ、ご恩返しのつもりで酔います
悪酔いした男に大家が、
もういいから醒めろ、水飲ませろ
「これ以上水は飲めない」、そりゃそうだ。

しん平「時そば」
銭払うから手えだしな
キッタねえ手だなあ!その手で蕎麦作ったのか!?
バカデカイ声で、わめくとほんとにバッチイ手が見えた。

昼の部主任、圓太郎「雛鍔」

マクラで修業時代に師匠の小朝に苛められたことを、いささか愚痴っぽく恨みがましく聞こえた。
ネタは力があって聴かせたのに、惜しい。
旦那の突然の訪問に慌てて羊羹を出させる。
菜っ葉の味が移っちゃうような包丁とまな板で切るな
折りの蓋で、上から斬るように、
尖がらした口を上下にしてみせて
そうそう

半紙を敷いて、二つに折って、違う違う、三角に折って、角を、こうズラシて、曲げるんだよ曲げる、おめえの頸まげてどうする
銭というものの意味を知らないで育っている殿様の坊ちゃんに感動するオヤジに、金坊が
あたいたちの仲間に入ったらバカって言われちゃうよ
ッたくでェ。
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夜の部もちょっと、笑組・漫才を聴いて行こうと。
前の演者の「壺算」にひっかけて、かずおさんの『生壺算』ぶりをネタに。
聴いて良かった。

終わって桜新町「はじめ」で二人居残り会。
呑みましたとも、行儀よく酔っぱらいました。
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その他の出演者。
つまらないのも詰まるのもあるから寄席が楽しいのです。

けい木「牛ほめ」、カンジヤママイムB・パントマイム、ニックス・漫才、玉の輔「宮戸川 上」、喬之助「堪忍袋」
アサダ二世・奇術、花どん「元犬」、鬼〆「芋俵」、三語楼「壺算」
Commented by ほめ・く at 2015-04-05 16:38 x
入りの悪いことで知られていた池袋演芸場ですが、幸兵衛さんの記事を見てもここのとこ満席が多いようですね。白酒が、初めて寄席にという客が池袋に増えたと言ってました。
正太郎が上手くなりました。百栄もいい味が出てきました。この日は多彩な顔ぶれでしたね。
Commented by at 2015-04-05 19:58 x
私が行った日には、百恵「ひと夏の経験」の出囃子で登場して百栄は「桃太郎」を演りました。
例の子供の方が深い社会心理学的な分析をするという筋です。

次に上がった白酒がマクラで百栄をいじりにいじっていました。
ちなみに白酒は「ざるや」。口調とテンポがよくて聞かせました。
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-05 20:58
ほめ・くさん、正太郎に百栄、どちらもぐんとよくなっていたのは嬉しい驚きでした。
雲助と白酒、三三、歌之介、紋之助と代演が多かったのですが不満はありませんでした。
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-05 21:00
福さん、↑にも書いたように代演が多かったのです。
白酒の代が馬石だと思います。
Commented by hanamomo06 at 2015-04-05 22:03
こんばんは。
>マクラで修業時代に師匠の小朝に苛められたことを、いささか愚痴っぽく恨みがましく聞こえた。
そういうものなのですね。
言い方かな?
この前ラジオで聞いたウタムサシさんという噺家は昔、お相撲さんだったそうです。
声がよくなくてちょっと残念でした。
落語家さんって声が大事ですね。
Commented by unburro at 2015-04-05 22:19
記憶に残っている最も古い落語が、長屋の花見、です。
私の生まれた家では、黄色い沢庵を食べる習慣?がなかったので、
卵焼きよりも、沢庵に憧れていました。
あの頃は、そんな小さな憧れが、いっぱいありました。
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-05 22:30
hanamomoさん、円太郎の枕、もっとカラッと軽妙に話せば面白かったと思います。歌武蔵は何度か聴いてます。力のある咄家だと思います。力持ちでもあるのでしょう^^.
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-05 22:38
unburroさん、梅干しを竹の皮に包んでしやぶるのが羨ましかったなあ。玉子は今とは比較にならないほど貴重でしたね。鶏を一羽飼っていて毎日一個の玉子を産んでくれたのをある日父が絞めて鍋にしてしまったときは母が怒ったなあ。でもあの鍋は旨かったです。
Commented by 笑組・ゆたか at 2015-04-06 00:45 x
ご来場ありがとうございます。

幸兵衛さんのブログにも
書き込ませて頂きましたが
全て、実話なんです。
昨年十二月上席の池袋さんでは
高座を下りた途端、楽屋の皆さんに
「お客さんの人数数えました!
向かって右に9人、左に11人!
合わせて21人いらっしゃいます!!」
って言いました。
まず、高座では漫才をして頂きたいし
漫才をしないならせめて9+11ぐらいは
正解してもらいたいものです。

あぁ…どっか行っちゃってくれればいいのに。
Commented at 2015-04-06 08:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-06 11:25
笑組・ゆたか さん、どっかいっちゃたら笑組が聴かれなくなっちゃう。
ご自愛の上、ますますオトボケくださいますように。
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-06 11:28
鍵コメさん、粗食だったからこそ、無添加の味がわかるのかもしれないですね。
今風のいろいろ入っている梅干は苦手です。
ほんとに「粗忽隠居」なんて落語ができそうな毎日です。
Commented by 小言幸兵衛 at 2015-04-06 12:24 x
やはり、同じような高座を評価されていますね。
円太郎のマクラ、私はそれほど抵抗がなかったんですよ。それは、小朝が好きではないからかな^^
居残り会では、落語の話題はほとんどありませんでしたが、佐平次さんのちょっとしたカミングアウトを交えたお話、楽しくもあり、ためにもなりました。

さて、次回はどこで居残りますかね。
神田か湯島あたりかな!
Commented by saheizi-inokori at 2015-04-06 12:50
小言幸兵衛さん、小朝は私も好きじゃないけれど、それが弟子から語られる(高座で)のはいささか聞きづらいものがありました。
今日は人形町です^^。
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by saheizi-inokori | 2015-04-05 12:08 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori