小言幸兵衛のカミさんはどれだけの小言に耐えたのか 「三三独演会」

天気がいいので早めに出て中野あたりをぶらぶら。
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中野駅南口商店街、パチンコ屋が並ぶ、お城みたいなの↑もパチンコ屋。
美容院が並ぶ商店街、犬猫病院が並ぶ商店街、こじゃれた飲食店(チェーン展開の店ではない)が並ぶ商店街、、大通り裏の商店街には特色があると楽しい。
昔、「バス通り裏」というテレビ番組があって、いや、そうじゃない、「お笑い三人組」だった。
酒屋、クリーニング屋、ラーメン屋などのある横丁(「あまから横丁」)が舞台で、そこにできる人間関係が懐かしい。
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どこかに転居して繁盛しているといいなあ。
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紅葉山公園を通って鍋横通りを歩く。
落語の「堀之内」にもちょっと名前が出てくる「鍋屋横丁」に通じる通りだが閑散、というよりさびれている。
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ちょっとそそられる喫茶店だったが帰りに見たらもう閉まっていた。
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こんな店にはいるとオニギリだけでは済まないので中華食堂に。
テーブルは一つだけ、俺はカウンターに座って、老人夫婦がいたわり合って食事しているのとテレビがオバマが来たと騒いでいるのを背中で聴きながら、何年ぶりかでチャーハンを食う。
学生時代はしょっちゅう寮の近くにある生駒軒でこれを食ったものだ。
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なかのZERO小ホール、「三三独演会」。

市江「近日息子」
落語協会の次期会長が内定した市馬の二番弟子、新聞で「師匠が会長になる」と知って驚いてお祝いを言いに行くと本人は「歌手協会の会長か」と言った、師匠はペギー葉山の後任になりたかったようだ。

与太郎が「先繰り」(先回り)して考えろと言われて、親父が頭が痛い、そりゃ大変だ、葬式だ、と先回りしすぎて引き起こす騒動。
長屋の衆たちの頓珍漢なやり取りを中心にするという新工夫。
なにがなんだかよく分からないが面白いところもあった。
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三三「無精床」
何一つ不足のない新会長だが、ただひとつ心配は弟子たちが足を引っ張るんじゃないかと、その代表が市江で、泰然としていながら挙動不審な男。

「無精床」、頭を湿すのに、開業以来水を注ぎ足し注ぎ足ししてボウフラが湧いている(飼ってるんだ!)タライの水で自分で湿しなさいと言われた弱気の客、浮かんでいるボウフラをつまんで下に捨てようとすると、親方が「なんてことをするんだ!」と怒鳴りつける。
命あるものを、盥に戻しなさい!、、(間)ボフラはみんな生きて(歌う)
この間が面白い。

親方もすごいが小僧の方が末恐ろしい、というより今既に恐ろしい。
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(紅葉山にあった『芙蓉館』、現役の賃貸アパートらしい、趣がある)

一旦戻ってすぐに再登場、三三「不幸者」
茶屋遊びが過ぎる親不孝者の息子を驚かせようと飯炊きの姿に身をやつして迎えに行った親父。
汚い部屋で待たされているうちに間違って入ってきたのが、昔面倒を見ていた芸者。
保証人になって破産しそうになったために女と縁を切ったのだが、こうして再会すると焼けぼっくいが年甲斐もなく燃え上がる。
親父の純情が佳かった。
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休憩後、三三「小言幸兵衛」

小言が着物を着て歩いているような大家。
二言目には「バカ婆」と言われるカミさんが叱られたこと。

1.幸兵衛が長屋をまわって小言を言って帰ってきたときに居眠りをしていた、その上、お茶を飲むのを分かっていながらお湯も沸かしてない。
2.布巾が曲がってかかっている。
3.釜の蓋もまっすぐじゃない。
4.叱ると「はいはい」と二度返事をする、それを注意するとまた「はいはい」。
5.叱られると八つ当たりで猫を蹴飛ばす。
6.垣根の戸がバタバタいってるのに直しに行かない、行ったら行ったで報告がない。
7.ほらほら、危ないと言ってるのに鉄瓶をひっくり返す。
8.こぼれた水を布巾で拭こうとする、雑巾だってのに、その上「畳の目に沿って」拭かない。
9.叱ると口をとんがらかす。
10・家を借りに来た豆腐屋が大きな声で怒鳴ると、自分だけで猫を懐に、尻まくりして逃げ出す。
11.客に布団を持ってこいというと敷布団を持ってくる。
12.豆腐屋が「どてっぱらに穴開けてトンネル作って汽車走らせてやる」と啖呵を切ると、「お父さんの股ンところが踏切だね」と抜かす、「遮断機が下りっぱなし」。
14.「長屋に年頃の浮気な娘はいないか」と訊かれて「年寄りの娘、68歳」の名前をいう。

一度会ってみたいようなカミさんだ。

仕立屋の男が幸兵衛のものすごい妄想に驚きながらもちゃんととぼけて受けていくのが面白かった。
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Commented by at 2014-04-24 19:14 x
なかなか渋いとこ、歩いてるね、
Commented by tona at 2014-04-24 19:32 x
小言幸兵衛の奥さんもなかなかですね。
思わず吹き出してしまう奥さん、どちらが我慢しているのやら。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-24 20:52
蛸さん、こういうところを歩くのが好きなのですタイ。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-24 20:53
tona さん、カミさんは大物ですよ。
Commented by sweetmitsuki at 2014-04-24 23:02
懐かしいです。昔ここに住んでました。
お食事をなさったのは光映社の隣の「美華」でしょうか。
あそこも食事というより一杯飲む感じのお店ですけど。
私の知ってる範囲では、「いさわ製菓」は五差路の手前に同名の老舗があるのですが関係あるかもしれません。
というより、他の画像は全部見覚えがあり、どこにあるのかわかるのですが、この「いさわ製菓」だけが私の知ってる店舗とぜんぜん違います。
まるでパラレルワールドに迷い込んでしまったような気分です。
Commented by keiko_52 at 2014-04-24 23:40
鍋屋横町は古いところなんだそうですね~
中野に泊まって自転車旅行したことをおもいだしました。
ちょこちょこ古い建物が残っているのですね。
Commented by ikuohasegawa at 2014-04-25 05:13
権太楼の横浜公演が減っているので、限定解除して権太楼+三三にしようかなー。
Commented by at 2014-04-25 06:42 x
歌手協会の会長か、って市馬自身が言ってたとは!
私も心の中ですが、冗談でそう言っていました(笑)
何にしても市馬はこれからが大変ですね。気をつかうタイプだけに。
Commented by reikogogogo at 2014-04-25 06:47
Saheiziさん、おはようございます
今日はいい天気、奥方の話題またきかせてね。
今日は盛岡方面に向かいます。
Commented by wildrose53 at 2014-04-25 10:00
おはようございます。まだちょっとひんやり、でも明るくてうれしい朝です。

「酔わないで人生がわかるか?」

ごもっとも。おカミさん、可愛いですねえ、いいなあ。ウフフ


Commented by saheizi-inokori at 2014-04-25 10:10
sweetmitsuki さん、中野駅近くの殷賑とは対照的なパラレルワールド、こういうところを歩くのが好きです。
中華料理は鍋横通りをしまちゅうに向かった右側、桃園緑道(緑はないけれど)?の手前、品の佳いおじいさんが一人でやってました。
いさわ製菓は鍋横通りではなく駅の近くをさまよっている時に見つけたのです、その近くに「酔わなきゃ人生じゃない」という新しい店もありました。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-25 10:12
keikoさん、長男が中野に住んでいたのですが、この近くにまで来ていながらつながりませんでした。
カードの神経衰弱みたいに突然前後の関係が見えてきて懐かしさもこみあげます。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-25 10:13
ikuohasegawa さん、三三は今ちょっと壁かも知れないけれど本格派、楽しみです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-25 10:14
福さん、せいぜい歌って気散じしてほしいです。私は聴きませんが^^。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-25 10:14
reikogogogo さん、盛岡、石割桜はまだかな。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-25 10:18
ハルさん、ハルさんもこんなひょうきんなお嫁さんですか。
小言を言うのがストレス解消の幸兵衛さんはいいカミさんをもって幸せ者です。それで幸兵衛かも。
Commented by ほめ・く at 2014-04-26 11:06 x
「不幸者」大好きな噺です。男女の心理劇としても良く出来たドラマで、それだけに演じ手の力量が問われます。現役では三三と金時を買います。三三は芸者の描写、特に首筋の演技が巧みで、金時は旦那の描き方が上手い。
流派が違うからダメでしょうけど、圓生を継げるのは三三だと思うんですが。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-26 12:27
ほめ・くさん、金時、聴いた記憶がないです。
この日の三三は旦那にやや力点がありましたよ。
たしかに下手な人では面白味がないでしょうね。
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by saheizi-inokori | 2014-04-24 12:20 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(18)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori