散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」

サンチの散歩は呑川、今日もはらはらはらはら、隠居の身も心もふわっと撫でていくのは花びらではない、はらはらはらはらの醸す、風でもない空気。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_1135924.jpg
せんじつ書いた母の日記にあった、幼いころの近所の人たちの撫でかたもやさしかったがもっと直截だった。
大学を出てからずっと無沙汰の連続、Tさんの小母さんの亡くなったときも葬式に行きもしなかった(行けば行けたはず)。
次から次へと玉手箱を開けたように思い出がジグソウパズルの欠片のように映像化されてつなぎ合わされて、、子供たち(俺たち)の歓声や小母さんたちの笑い声まで聞こえてくるようで、、もうたまらない。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_1110437.jpg
午後から、一人でもう一度歩く。
桜新町の開花状況をチエックして世田谷通りを目指してぶらぶら。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_11135858.jpg
弦巻でプラネタリュームの看板を見て行ってみたら今日はやってない。
小学校のフェンスに卒業児童の作品がずらっと飾ってある。
なんか大人っぽい言葉が多い、自分で考えた言葉なのだろうか、かわいいのもあったけれど。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_11165841.jpg
実相院、吉良氏・世田谷の殿様が北条の負けで千葉に逃げて再び戻って来たけれど家康に許されずこの寺に閑居したという。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_1121945.jpg
中に入るのは初めて、「高橋是清翁髭之墓」なんてのもあって曰くが側面に彫りつけられていたが苔の生えた地面を侵したくないからよくは読めなかった。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_12453823.jpg
ずんずん歩いて松陰神社にも参って、歩数は11000歩、近くの銭湯「鶴の湯」に飛び込んで汗を流す。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_11254661.jpg
小保方博士が記者会見している。
番台のオジサンが、「あんまりイジメルなよ」と、どうやら俺に話しかけていたようだが、あいまいに笑って答えず。
気持ちよくなって出る時、麻の長いスカーフを(首に巻くのは暑いから)だらっと体の前に垂らして歩こうと、へたくそにいじっていたら、「長いのを外に出していると自転車にひっかけられたりして危ないから中に入れたらいい」とオジサンが注意してくれる(再三)。
またもやあいまいに笑ってやり過ごす(中に入れたら暑いんだもん、といっても聞こえないようだ)。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_11352375.jpg
そんなわけで目的地の国立演芸場に着いたのはそろそろ落語会が始まる頃、白い杖の人に「国立演芸場はどこか」と訊かれたので手を引いてご一緒する。
スマホのナビの音が聞こえるが、あれでは俺だって行き着けない。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_11452027.jpg
(松陰神社の近くで)

「何気なさに吸い込まれる」とキャッチがついた「むかし家今松 独演会・春」。
「独演会をやりたがらない師匠にやってもらう会」主催、今松のコアのようでほかの落語会では見かけない顔と雰囲気の客ばかり。

開口一番、笑二「子ほめ」
大道の物売りのような唄い調子で声張り上げて、明るくてなかなかいい。
かすかに談志の影を感じた。

小せん「あくび指南」
さわやかな語り口で嫌いじゃないのだが、いかんせん肝心のあくびが下手なのは以前聴いたときと同じ。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_22344214.jpg
待ってました!今松「黄金の大黒」
大家の祝いの席での鯛や寿司を前に長屋の連中が歓び騒ぐところ、その楽しそうなのにつられて黄金の大黒が恵比須様を呼びに歩き出す最後まで丁寧にやった。
ちょっと調子が出なかったか。

続いて「あまりいい落ちじゃないです、何かいい落ちはないでしょうか」といって、「笠碁」
先代の馬生の演出をやや簡潔にした、まことにもって申し分のない好演。
碁仇の旦那二人の描き分け、富を積んでゆったりと碁を楽しむ空気が伝わってくる。
これも一つのハラハラ。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_1265213.jpg
(月光院)

御仲入りのあと、丸一仙翁社中・江戸太神楽
芸歴40年という。
初めて見た、楽しいものだね。

今松「長崎の赤飯(こわめし)」

江戸時代の長崎は隔たること35・6日(順調に歩いて)、とんでもなく『遠い土地』だった。
その長崎と江戸を往復してあわや二人妻が出来そうな噺。
破廉恥市長・橋下の勧めるような愛人ではない。
勘当したくせに真面目な若旦那を手元に置きたい・智慧のない父親と、智慧があるようでつまりは猿智慧、ロクなことをやらない番頭のせいで追い込まれたのだ。

長崎の妻が夫・若旦那の後を追って八か月・身重なのに病気持ちの乞食に身をやつして(襲われないように)江戸までやってくる。
長崎~江戸、時刻表でみると1400キロ近い、35日で歩いたとすると毎日40キロ、俺の歩幅70㎝で割ると57143歩!
大井川を渡って、箱根の山を越えて、休むことなく照る日も曇る日も雨の日も、昔の人は良く歩いたね。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_12294857.jpg
終わって居残り会。
今回はプロ野球、大相撲、昔の名選手・力士の思い出やら今のメジャーからDeNAの予想まで話題は古今東西を駆け巡った。
座ったままでもどこまでも行けるのだ、語りあえる仲間があれば。
散る花に誘われて18000歩、でも江戸時代の女にはかなわない 「むかし家今松 独演会・春」_e0016828_12351272.jpg
ほろ酔い気分で月や桜もにじんでみえる。
ふらふらと歩いて帰って17727歩、これではオコワが届かない。
Commented by 旭のキューです。 at 2014-04-10 19:36 x
17727歩、スゲ~。先日、肉離れをやりおっかなビックリでゴルフしています。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-10 21:58
旭のキューです。さん、ゴルフワンラウンドでそんなもんじゃないのかな。
うまい人はもっと少ないでしょうが、除夜の鐘で喜んでいた私などはね。
Commented by 小言幸兵衛 at 2014-04-10 22:14 x
良い会だったようですね。
『長崎の赤飯』、そのうち聴きたいものです。
今松と雲助、同じ馬生門下でも個性のまったく異なる芸達者だと思います。
それにしても17727歩、凄すぎます^^
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-10 22:18
小言幸兵衛さん、会?
居残り会はちょっとさびしかったですよ^^。
今日は12000歩でした。
Commented by reikogogogo at 2014-04-10 22:31
saheiziさん、ごめんなさい、昨日名前呼び捨てのまま、後の文章は何処へ消えた?お母さんって素晴らしい方でしたね。
今日は12000歩も歩いたのですね。昨日の桜も、今日の桜も奇麗、八重は色が濃くて見応えが有ります。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-10 22:33
reikogogogo さん、呼び捨てでもなんでもけっこう、コメントいただければ嬉しいのですよ。
今日の昼下がりは風が強くて花吹雪が尋常じゃなかったです。
Commented by wawa38 at 2014-04-10 23:46
私にも母が遺した日記があります。ミミズが這ったような文字で、あまり読めませんが、それが、晩年の数年間。ほとんど「今日はA子がどうした、こうした」とつづられています。まるで私の行動日記。苦笑しながら、ものすごく母を感じます(^_^) 母という響きは、誰にとっても特別なものがありますね。(すみません、自分のことばかり書き込んで。)
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-10 23:49
wawa38さん、母は辛くて大変だけど幸せだとも思います。
父はそんなに特別ではない(私にとっては)から。
Commented by fukuyoka at 2014-04-11 00:27
17000歩はゴルフ1ラウンド半くらいですね。凄いですね!
この頃カートなしのゴルフをやります。歩くのは楽しいですね。
Commented by sweetmitsuki at 2014-04-11 05:08
銭湯の煙突、いまだ現役なのでしょうか。
そうなのでしたら、燃料は石油?それとも薪?
気になります。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-11 10:29
fukuyokaさん、カートなしでワンハーフ!すごいなあ、脱帽です。
今頃のゴルフ場は美しいですね。たまに行きたくなりますがとっくに道後も捨ててしまった、技術は最初からないし^^。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-11 10:30
sweetmitsukiさん、煙突の煙を頼りに営業しているかどうかを確かめて歩くこともあります。
鶴の湯は煙はみえなかったけれど。
薪の銭湯はもう都内にはないのではないかな。
Commented by 豆ママ at 2014-04-11 22:25 x
例えば権太楼さんや喬太郎さんの研究会とか・・・ご一緒できたらよろしくお願い致しますです!
Commented by 創塁パパ at 2014-04-12 12:58 x
笠碁、ほんとよかったです。久しぶりの語らいも最高でした。DeNAはだめでけどね(苦笑)
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-12 15:00
豆ママ さん、連絡しますね。アクセスできればいいのですが。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-12 15:01
創塁パパ さん、ブログ更新、お忙しかったですか、ちょっと心配知れました^^。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2014-04-10 12:48 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori