愛にも偽装がある 映画「鑑定士と顔のない依頼人」
2013年 12月 28日
修理中のパソコンが出てくるのを待ちわびているからか。
まさか正月をたのしみにしているわけではない。
昼過ぎ、新宿へ。
千葉へ行く切符を買うついでに映画をみる。
今年一番などという評判もあるミステリ。
超一流の鑑定士の生活。
超一流のレストランで自分のネーム入りの食器で、一人で飯を食う。
誕生祝いに店が特製のケーキを持ってくるが、それは間違い、誕生日は翌日だった。
じっと黙ってケーキに手もつけず一本だけのろうそくが燃え尽きるのをまつ。
豪邸、手袋(潔癖症だから食事の時も着用している)が百足を超えて整然と並ぶ棚。
その棚を開けると秘密の部屋。
壁一面に飾られた美女の名画、フェルメール、ルノアール、、いささか悪い方法で手に入れた美女たちに囲まれて一人過ごす。
ワンマン、短気、孤独。
そんな男に豪邸に遺された家具や美術品の鑑定依頼が舞い込む。
姿をみせないでいろいろ駆け引きをして男の興味を煽る相続人の女。
孤児院育ち、生身の女に接するのを怖がってきた男は女に恋する。
孤独な魂が二つ寄り添って人もうらやむ幸せをつかんだ。
それで終ったら腰砕け、単なるラブロマンス。
思いがけないどんでん返しは見ている間も予感された。
予感はあったがそれがどういうものか、具体的に示されるまでのサスペンスがみどころ。
俺はこの映画、ハッピーエンドと観た。
人間の感情は芸術品と同じ、すべてに偽装がある。何となくイミシンなセリフ。
怒り、喜び、愛にすら。
あらゆる贋作にも真実がある。
ひま人が多いらしく満員だった。
ご覧になりましたか。
市営の映画館があるなんてすごいですね。
一体、幾つになるのだろう。
「ニューシネマパラダイス」の監督は50代、意外に若かった。