淀君の腰巻で作ったハタキで火焔太鼓を打ったら志ん生と彦六が舞い降りた
2013年 08月 15日
吉例鈴本夏まつり、さん喬・権太楼特選集、今年は新治がずっと中トリってのがワクワクする。
アメ横は暮れを思わせる人出だ。
なにを言いつけても言われたそのことしかやらない、なんのためにやれと言われたかを考えない人っているな。
二楽・紙切り
「犬を連れた桃太郎」を切り終えると「新治師匠」!の声。まあ、似てるっちゃ似てるかな。
もう一つは「赤ん坊」、ねんねこおんぶの絵だった。
一朝「子ほめ」
物真似入りで彦六のエピソード、「なんで餅はかびるんでしょう」「そりゃあ、早く食わねえからだよ」などを披露してグイッと客を掴んでしまう。
彦六の実物を見た人なんかほとんどいないはずなのに、「似てるなあ」と思わせる。
木久翁などが誇張してやるのと違って軽くやって愛がある。
白酒「浮世床」
楽屋の喜多八をみたら「彫りが深くなって、、もうすぐ死ぬんだな、と思った」といったのは、俺は嫌な感じ、洒落にならない。
ネタそのものはゲンちゃんが「テエコーキ」を読むまでのダメ出しがくどくて面白く、例の「マツコウ」に至るまでにも独特珍無類の読み上げで場内おお喜び。
喜多八「ぞめき」
どうも顔色が悪く、滑舌もイマイチ。
こういう会場を沸かせるには渋さが目だってしまった。
紋之助・曲独楽
いつもの通り、汗びっしょりの熱演、明るく楽しく、ひまわりの大輪を咲かせた。
へそ曲りの源兵衛が、谷中に花見ならぬ”墓見”に行って見つけた女の骨に酒を呑ませるところ、その骨の幽霊が恩返しのために訪ねてくるところ、隣の安兵衛が自分もあやかろうと出かけてアワヤ皮を剥かれそうになっている狐を助けるところ、その狐が女になって安兵衛の女房におさまるのは好いけれど、耳がとんがって、目がとろんとして、なにか言っちゃあ「コン!」という。
そういったすべてが、ゆっくりした語りで、お伽噺風・怪談風・滑稽譚の好い塩梅。
こりゃ、次に出る新治が楽しみだ。
養毛剤やら発毛具などに振り回された(絶対に云い負けない薬局のオバハンがいたのだ)経験談、それほど爆笑する話ではなくとも、間の好さでカチッと客を掴んでしまう。
芝居好きな丁稚どんが忠臣蔵を観に行ってついつい帰りそびれて遅くなり、懲らしめのために蔵に閉じ込められる。
腹ペコをなだめるように今日見た四段目を思い出して、ひとり仕方噺をする。
塩谷判官(浅野内匠頭)が切腹の上意を受けるところ、なかなか来ない由良之助(内蔵助)を今か今かと待つが、すでに時も至れり、「今生にて会えなかったのは無念じゃ」と言い置いて、九寸五分をわき腹に突き立てる。
そこへようよう駆けつけた由良之助が花道を駆け上がって、主君の前に平伏する。
俺は歌舞伎のこの場面を見たことはない。
ないけれど、定吉君が三味線の音まで口真似をし、要所では解説まで挿入しつつも五人の登場人物を生き生きと描くと歌舞伎座にいるような気分になった。
息を呑んで聴き入っていた会場は遠慮がちにやがて大きな拍手。
と、ふたたびあどけない少年定吉が蔵のなかで腹ペコを訴える。
今回も期待を裏切られることなく楽しめた。
知的なユーモアがいい。
権太楼「火焔太鼓」
でっぷり太って(いるんだろうな)、亭主を恫喝する骨董屋のオカミ、対するアホでフニャ○○の甚兵衛。
その力のバランスが一挙に逆転する。
それで分かった二人の愛だ。
文句なし、権太楼節、今日も炸裂。
買えん太鼓が買えたね!こんなギャグですらおかしいのだ。
(理由ある)反抗をする定吉ってのも愉快。
仙三郎社中・太神楽曲芸
土瓶の曲芸はいつみてもハラハラする。
見かけより易しいのか?
さん喬「らくだ」
挨拶のあとすぐにネタに。
端正にして面白さは十分。
凄み、どぶろくの政のそれより屑屋の凄み。
新治と一緒にやるときのさん喬はいつも素晴らしい。
志ん生の十八番、上方のネタ、聞くところによれば一昨日さん喬が「中村仲蔵」をやったとか、「浮世床」は一の輔が昨日やったという、、ネタが行きかい落語家が競う。
好い企画だ。
権ちゃん、さんちゃん(?)も良かったようですね。
喜多八がちょっと心配・・・・・・。
いずれにしても、「夏は鈴本に限る」ということですね^^
強引に脇の下の手を入れて笑わせる権ちゃんは楽しいです。
小生はどうやら村山派のようです。
四段目、上方では蔵丁稚というそうですよ(^^)