不条理なこの世界 「耐震強度偽造」と同じ構造だ いしかわじゅん「鉄槌!」(角川文庫)
2005年 12月 01日
吹雪の中のスキーバスが、トイレに降りた間に先に行ってしまう。あたりは真っ暗、寒いのなんの!そりゃ、パニックにもなる。やっと捕まえたバス運転士は謝るでもなく薄ら笑いを浮かべ、いしかわをおちょくるのだ。怒髪天を突く。漫画のひとコマくらい使ってでも抗議の意思を明らかにしたくもなるさ。ところがバス運行の旅行社は逆に信用が損なわれたとして損害賠償請求の訴訟を起こしてくる。信用が損なわれることをしたかどうかは問題じゃない、マスコミに会社の悪口を書いたのがいけないというのだ。楽勝と思えたその訴訟が実はえらいことで2年近くかかる。100万円の損害賠償請求に対して弁護士費用だけで200万円をかけて不動の信念で戦いやっと和解となる。信じられないような弁護士諸君が登場する。切れ味のいい文章でその顛末を書いたこの本、面白いが、読んでいるとなんだか既視感がある。そう、あの「耐震構造・・」事件なのだ。
1)まっとうに生きている市民が突然不運に遭遇する。
2)それは天変地異ではなく人為的な作為または不作為が原因だ。
3)その作為ないし不作為は人間なら当然避けられないようなミスではなく、かなり意図的な“故意(法律用語でいう悪意)”が感じられる。
4)考えてみると全てに共通するのは自分の“仕事として当然やるべきことをやらない”という点 だ。
5)“仕事”だから会社、業界、行政ですら巻き込んで全体として“やるべきことをやらないこともありうる”こととしてシステムが出来上がってしまっている。深夜バスはお客様の点呼をしないで発車オーライ。弁護士は依頼主と親密なコミュニケーションをとろうともせずチャンとした日本語も書けない。ゼネコンは自分の建てているビルの強度も調べていない。検査機関は検査をしない。マスコミは衝くべきところをつかない。
6)そういう世の中で自分の怒りをぶつけることは普通の市民にはできない。いしかわが出来たのは彼のキャラが普通でないからだ。俺は彼の方がまっとうだと思うのだが、世の中的には 変わっている人といわれそうだ。あたり前だろう、みんなやっていることを悪いなんていうのは”いけない子“だよ。みんなで渡っているというのに・・ったく!というわけ。
もう一つは彼がマスコミに友人もいたし彼自身媒体を使うことも出来たからだ。
7)ノーム・チョムスキーがよくいうように世の中に問題があるかどうか、それは“マスコミが取り上げるかどうか”で決まるのが現代だ。そのマスコミが信用できないとしたら?
”至極当然”のことが主張できない。その理由は多数の”力を持っている側”の保身の為。その他大勢の庶民たちは(”下流”も含めて)自分にかかわりのないことと思っている。大きな目で見ると自分も被害を蒙っているということにいつ気がつくのだろう。直接火の粉が降りかかるまでは分からないのか?分かりたくないのか?
ところで前に書いた「いしかわ対山田詠美」の面白い話(うまいなあ ほんとに”風味”が 山田詠美 「風味絶佳」 10/15)、どうもいしかわの言っていることが事実と思えてきたぞ。
二月に一度かな、食べる勉強会。その道のプロもメンバー、結構うるさい。会場に選ばれたところは大変だ。今回は飯田橋・エドモントホテル「廣州」赤坂離宮の譚さんの後継者・袁料理長が腕を振るったメニュー、一皿づつ紹介していきます。今日は11番目に出た「苺入りココナツ団子」。見た目が可愛いね。
黒澤明の名作は教えている。細部にこだわるとシナリオは力を失う。主人公に焦点が当たるから、複雑なドラマの筋が見えてくる。リアルであること。リアルはディテールに宿る。ひとクセふたクセの小嶋。オタクキャラは姉歯。オタクの構造屋になめられダマされたつづけた青....... more
「広がる不信」は、とうとう政治家の名前までが飛び出してきた。伊藤公介衆院議員(元国土庁長官)である。既報の通りであるが、以下に伊藤議員とヒューザー小嶋進社長そして国交省幹部との経緯について、当該記事他をリンクしておく。尚、項目タイトルは当該記事のヘッドラインなのでご注意を。1.ヒューザー社長 公表2日前、伊藤元長官が国交省幹部に紹介・・・27日付産経新聞2.ヒューザー社長を国交省幹部に紹介、伊藤元長官が釈明・・・26日付日経新聞(共同配信)3.ヒューザー社長、国交省を計3回訪問 支援求める・・・27日...... more
まあ、たいがいにしろよ!ってくらいお粗末なニュースですが、一応、構造解析専門にやってた身としては話題に触れておこうかなっと。^^; 国交省によると、同事務所は2003年2月〜05年10月の間、問題の21棟の柱や梁(はり)の構造計算をする際、建物にかかる...... more
[耐震強度偽装]「業界に構造的な問題はないのか」建築確認審査に不備、検査機関の処分検討 耐震強度偽造耐震計算書偽造 一斉点検で安全確保急げ耐震強度偽装、マンション住民に横浜市が説明会構造計算書偽造建築士の資格取り消しへ 国交省強度偽装、国交省が....... more
耐震強度を偽って作られた高層建築のことが報道をにぎわしている。地震国日本においてこのようなことを行うというのは殺人的行為なのではないだろうか。昔、スティーブ・マックイーンとポール・ニューマン主演の映画「タワーリング・インフェルノ」のことを思い出す。あれもコストを落とすために消火設備や防火製品導入をケチったために起きた事件だ。技術が人の倫理観を失わせて行くという将来像を暗示していたのかもしれない。それにしても誰も見抜けなかったのだろうか。中には50%ダウンというところもあるようだ。1~2%なら見抜けませ...... more
以前のエントリ で、一定の信頼を前提にしたしくみは悪質な偽造に対しては無力だ。しかし、極端な悪意の人間を前提に制度を作ったのでは過大な費用がかかり効率性が損なわれる。なので、どこかで線を引いて、制度の前提となる信頼を覆すような行為をした者には厳しい制裁を与えるというようなことで対処するしかないのではないかということを書きました。 しかし 国公認の構造計算データ、市販ソフトで容易に改ざん (2005年12月 2日 (金) 03:10 読売新聞) ERIや国交省の調査で、この公認ソフトが出力するデータは、...... more
偽造設計書問題は,あちこちに広がりを見せています。そこで,ちょっと視点を変えて次のニュースからいろいろ考えてみたいと思います。[耐震偽造]イーホームズが伊藤元国土長官の元秘書に献金自民党の伊藤公介議員が,ヒューザー社長を国土交通省建築指導課長に会わ....... more
あさましきもの “武部氏の発言について。”「悪者捜しに終始すると、マンション業界は、ばたばたとつぶれる。 不動産業界も参る。景気がこれでおかしくなるほどの大きい問題だ」● “悪者捜しに終始するな”ということは、原因究明するなともとれる。● “マンション業界は、ばたばたとつぶれる”ということは、今回の当事者 以外にも皆やっているような、しかも、武部氏がそれをわかった上で 発言しているかのようにとれる。● “不動産業界も参る”・・・・・参ったら、この業界から政治献金とれないから 困るのだろう...... more
あらかじめ断っておきますが、マンションの住人に全ての責任があるとは思っていません(間違って最初「います」と書いてしまいました^^;)。このことについて触れるのは、嫌だったのですが、そうも言ってられないので言わせてもらいますが、国土交通省が発表したように....... more
標記タイトルの私の記事がインターネット新聞「JANJAN」に掲載された。 ブログを散策(散歩のように検索←スミマセン造語です)してみると、いろいろな方が、それぞれのお立... more
山川草一郎ジャーナルさんが「語り始めた弁護士」というエントリを書かれている。広島の幼女殺害事件で、ペルー人容疑者の弁護士が報道陣の取材に応じたことを前向きに評価する内容だ。 日本の刑事司法制度下では、事件の容疑者に対する接触・接見は相当に制限されている。容疑者が起訴されて、「被告」になれば、最低でも国選弁護人が選ばれる。しかし、起訴前の段階では、弁護士が手弁当で駆けつける「当番弁護士」(ただし、普通は1回しか来ない)か、もしくはお金のある人は私選の弁護士を付けることが可能だ。つまり、刑事司法制度...... more
それでこのホテルを知りました。大きなものは、帝国や、オオクラなんですが、エドモンドは、丁寧で工夫があります。それと、リーズナブルなのがいいです。以来、何か会合があるとここを利用しました。
誰が一番悪いのか、一番利益を上げた人です。それぞれに利益を上げているので、設計士、施工、検査、コンサル、みんな悪。でも、コンサルは最悪。素人にもできる工法でコストダウンってやりすぎだろう。指示は誰も出してないのに、設計士が気を利かせて・・・。責任のなすりつけもいい加減して欲しいわ と会見なる老人のしゃべり場を見て思いました。カリスマだって・・・?でした。
ずるい人はずるい。裁判にならなくても新聞記事にならなくてもそうやってずるく生き延びる人はゴマンといますね。
自分が苦しくなるだけなのに。。。それすら感じられないようなら本当に可哀想な人たちですね。