刑務所で「子ほめ」をやってはいけないワケとは 扇遊&鯉昇&喜多八@横浜にぎわい座

我がブログながら開くたびに橋下の写真と俺の罵詈が出てくるといささかうんざりする。
永井荷風に憧れながら、彼の風流に徹する、浅草通いの実態にほど遠い余生でござる。
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野毛にぎわい座に行ったのはおとつい。
落語会が始まる前にちょっと焼き鳥で一杯やりたいと思うが、眠くなったらどうしようと、意気地のない隠居は定食屋「はる」へ。
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イワシ刺身定食を頼んで俺に続いて入店した男もそう言ったら「あら、今日はイワシはおしまい」、なんか嬉しくなる嫌な性格也。
今思い出しても唾が湧いてくる旨さ。

ゆう京「寄合酒」
金のない連中がいろいろ悪さをして酒を呑もうって、イイネ。
学生時代の寮で寝転がって天井を眺めて「ああ、誰か奢ってくれる先輩でもあらわれねえかな」と言い合っていたことを思いだす。
あの頃、実にたまに、「00年卒のなんとかさんがどなたでも連れていってくださるとお見えになっています。
希望者は寮委員会事務室へ、先着二名です」みたいな寮内放送があって、バタバタと駆けだす音が聞こえた。
オレ?人見知りするからなあ、武士はくわねどってか。

扇遊「崇徳院」
一目ぼれで恋わずらい、あと5日の命になるまでやせ細る。
好い男、いい女だ。
一生懸命(欲得ずくとはいえ)「瀬をはやみ~」と床屋・銭湯に行く熊さんもイイネ。

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鯉昇「質屋庫」
旦那が、質においた帯に気が残って、質屋を逆恨みする女の噺を即座にでっちあげるところ、熊さんが旦那に呼ばれて言われないうちから酒樽・沢庵樽をちょろまかした件をゲロするところ、熊さんと番頭がこわごわ質屋に出るお化けを監視するところ、いずれも可笑しくて軽みがあって、最高。
いよいよ鯉昇十八番に磨きがかかった。

仲入り後、喜多八「おしの釣り」
落語家は、パアパアバカなことを言ってるようだが、気を使うのも必須条件、寄席や落語会でしゃべる演目を選ぶルールがある。
前に出た落語家が話したネタとかぶるのはダメ。
「夏どろ」が出たら泥棒の出てくる噺、たとえば「締め込み」はやれない。
それと、客席にたとえば盲人がいたら、「景清」のように盲人が出てくる噺はだめ。

そこで喜多八の失敗談、盲人がいると聞いて気を付けて「抜け雀」をやって下がったら、扇遊と鯉昇が「気が付かなかったんだ!」とひっくり返って笑ってる。
「抜け雀」に盲人は出ないので不審に思っていたら、、噺の中で絵の名人が絵のわからない宿屋の亭主に「おまえの眉の下についているのは何だ!見えないならくり抜いて銀紙でも貼っておけ」というギャグがなんどか出てくる。
そりゃ、たしかにまずかった。
もう一つ、刑務所に慰問して「子ほめ」なら問題ないだろうと思ったら、「(こんな立派なお子さんに)あやかりたい、かや釣りたい、首つりたい」というギャグがあって、、死刑囚もいた、ってこれは創作じゃないかな。

七兵衛と与太郎の凸凹コンビ、こういうのは喜多八の自家薬篭中、与太郎のとぼけた味が何とも言えない。
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トリは、扇遊「妾馬」
28分、ポンポンと好いテンポで、八五郎の殿様の前の名調子。
酒(ササ)のご馳走が並べられると、
止しなって、見栄はらないで!お互いにフトコロ苦しいんだから
と殿さまに言ったり、妹のお鶴に
俺はきれいに着飾っている女を見るとお前にも買ってやりてえと思ったが、こういうアンちゃんだから出来やしねえ、、それをこんだは、殿様がやってくれるってのは、こりゃあ、アンちゃんの代わりにやってるようなもんだ
と述懐したり、気持ちよく聴いて外に出た。
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こんなところ↑が瞼に浮かんだけれど、歯を食いしばって直帰するマジメ人間だった。

マジメに帰ったところで、生活保護法改悪についてHOOPさんの記事を読んでいただければ幸いです。
慰安婦問題について「強制連行があったかどうかは問題ではない」という幸兵衛さんの記事もどうぞ。
Commented by kuukau at 2013-05-16 10:57
公の場で言っていいこと、悪いこと。
落語家のルールが政治の世界でも守られるよう切に希望します。
日本の恥。
Commented by HOOP at 2013-05-16 12:13
記事のご紹介ありがとうございます。
済みやすい国でなければ、企業だけでなく人も出て行ってしまいますよ。その時に出て行くのは出て行ける人、そして残るのは助けが必要な人だけです。
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-16 17:23
空子さん、落語家がいちばん礼儀正しいかもしれないです。
昔からの芸人の作法が残っています。
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-16 17:24
HOOPさん、助けのいる人が手続きできないような助けでは困りますね。
Commented by 豆ママ at 2013-05-16 19:30 x
橋下さんも「梟通信」読んだり、寄席で落語聴いたり、、、すればいいのかも。
Commented by sweetmitsuki at 2013-05-16 20:07
連れていってくださるといっても、そういうのって、どうせ自慢話を聞かされてお世辞を言わされるのでしょう。
いやそれよりも、もっと恐ろしい目に遭う危険だってあります。
世の中には若い男子が好きという人もいますから、「甘言で騙されて」気がついた時には逃げられなくなっていた、なんてことになっていたかも知れません。ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-16 21:12
豆ママ さん、寄席?
彼はもっと生、ストレートな遊びかもね^^。
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-16 21:13
sweetmitsukiさん、やっぱり行かなくてよかった?
酒飲みたかったけどなあ^^。
Commented by at 2013-05-17 06:35 x
アップされたお写真を見て、つくづく商店街が好きだと思い知りました。喫茶店、居酒屋、ラーメン屋、焼き鳥屋、文房具店、古本屋・・・そんな中を何ということもなく歩く楽しみ。
その先に三番バッター的な器用さを持つ扇遊、鯉昇、喜多八の落語が待ち受けているなんていうのは、贅沢でよい感じですね。
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-17 09:53
福さん、見抜かれたなあ^^。
荷風さんのように粋でも色っぽくもないけれど、こういう感じが好きですよ。野毛は居酒屋、とくに焼き鳥とフグが目立ちました。
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by saheizi-inokori | 2013-05-16 09:49 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori