日米地位協定の見直し?腰抜けどもにできるわけがない! 孫崎享「戦後史の正体」

正気の沙汰ではない!地位協定の見直しが必要だ
沖縄県知事が怒りまくるのに同感。
「沖縄県人の気持ちをどう思いますか」とぶら下がりで訊かれて「あってはならないことです」と答えた野田は相も変わらずソッポな返答。
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米軍が治外法権をもち、日本国内で基地を自由使用する
それが地位協定(行政協定)の眼目
われわれ(米国)が望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保する、それが米国の目標である
ダレス(当時国務省顧問)の言葉通り、対日講和条約をもって日本を独立させるときのアメリカの目標はほぼ完ぺきに達成されて今に至る。

1951年、外務省は駐留軍の特権、経費の負担および共同委員会の設置は、安保条約本文の中に入れることを要請したけれど、それは一蹴される。

アメリカのみならずその意向を汲々として実現しようとする吉田茂たち”対米追随派”によって。
条約本文は国会審議にかけられ国民に中身を知られるから。
講和条約はサンフランシスコのオペラハウスで48か国の代表が調印するが、その数時間後、今度はサンフランシスコ郊外にある米軍基地内の下士官クラブで日米安保条約が調印される。
米国側が4人署名、日本は吉田首相ただ一人だ。
早世した亡父が「吉田は国賊だ」と母に言っていたという意味が分かる。

アメリカにとってもっとも大切な事柄は本条約ではなく、すべて行政協定に決められている。
この経緯を寺崎太郎・元外務次官・日米開戦時のアメリカ局長は次のようにいう。
半永久的に日本の運命を決すべき条約のお膳立てが、まだ主権も一部制限されている日本政府、言葉を変えていえば手足の自由をなかば縛られた日本政府を相手に、したがって当然きわめて秘密裡にすっかり取り決められているのである。いいかえればけっして独立国の条約ではない
日本の政治家はみんな吉田茂のようなアメリカの御用聞きだったか?
そうではない。
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敗戦直後にアメリカの直接統治案に異議申し立てをし吉田茂と交代で外務大臣を務めた挙句戦犯として巣鴨に囚われの身となった重光葵、米軍駐留経費(1946年で一般会計歳出の32パーセント)減額を要求し公職追放された石橋湛山、米軍を有事駐留とすべきだと主張し昭電疑獄をしかけられた芦田均、米国に先駆けて中国と国交回復してロッキード事件を仕掛けられた田中角栄、自衛隊の軍事協力について米側と対立してリクルート事件に巻き込まれた竹下登、安保改定で行政協定の見直しを図ってつぶされた岸信介、在日米軍は第七艦隊だけで足りるといって陸山会、西松建設事件を仕掛けられた小沢一郎、金融政策、対中接近で日歯連事件に遭った橋本龍太郎、日ソ国交回復を推進、米国に防衛分担金削減を申し入れ成功し、安保改定を提案した鳩山一郎と重光外相(彼は米軍撤退をも視野に入れていたが昭和天皇に不可とされている)、鳩山は歯舞色丹を返還するというフルシチョフの譲歩をアメリカの横やりで諦めさせられる、鳩山といえば、その孫は「最低でも県外」で失脚する。
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孫崎は「日本の戦後史を動かす原動力は、アメリカからの圧力と、それに抗する『自主路線』と、受容し順応する『追随路線』」のせめぎ合い、相克であった」といい、具体的な資料を引用して検証する。

アメリカの圧力は、そのときどきのアメリカの御都合によって変化する。
そのなかで、「在日米軍基地の特権」と「中国問題」は常に中核的関心事、政治家がアメリカの虎の尾を踏むことは自殺行為だった。
アメリカさんが言うことだから、財界は安保闘争で全学連に資金提供をして岸をつぶし、イラクに自衛隊を派遣し、、検察も機敏に手を打つ。
今では自主路線の外務官僚などは歴史的遺産か。

案の定、仲井真知事の「地位協定見直し」発言に対して、素早く「運用で事足りる」と藤村官房長官は言明している。
なんで協定見直しが(検討も、申し入れさえも)できないのか。
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日米地位協定の問題点はこちら。
ちょっと面倒でも目を通せば日本が独立国とは言えそうもないことが分かる。
Commented by antsuan at 2012-10-18 11:40
米国にモンロー主義を復活させ、自主的に帰ってもらう方法を謀略と云うのならば、その謀略を図ったのが小泉総理では無いかと思っています。
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-18 12:08
antsuan、帰らなかったですねえ、残念ながら。
Commented by at 2012-10-18 12:10 x
やっぱ、正しい歴史の勉強をせなあきませんな、
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-18 15:46
蛸さん、眼光紙背に徹する!なかなか修行が必要です^^。
Commented by junko at 2012-10-18 17:49 x
CIao saheiziさん
日本はいまだ完璧にアメリカの植民地であると思っています
いまだ戦争を引きずってる限り、日本に未来は来づらいと思うのですよ
だって私たち次第じゃあないんだから...

で、今 アホヅラ並べてる政治家どもの手に負えるわけがないと
私も苦々しくそう思います
だけどアメリカってなんでこんなに世界で偉そうにしてるんだろ??
もはや何も持ってなさそうなのに....
Commented by sweetmitsuki at 2012-10-18 20:04
孫氏のいう『反米「』は、背後に『親中』がモロに見えているので怖いです。
日本は平和憲法を維持したまま独立国家となれるのでしょうか。
Commented by きとら at 2012-10-18 20:11 x
 今日はクリスティの『招かれざる客』観劇でした。出演は古谷一行、浅丘ルリ子、不破万作ら。客席はほとんどが団塊世代らしき男女。団塊世代の中でもやや良質の層らしい。昔は「連帯」とか「自己否定」とか叫んでいたような雰囲気。その彼らが、昼間っから、劇場や寄席に入り浸っているようじゃ、日本にチボーはありませんねぇ。
Commented by korima at 2012-10-18 21:11 x
最近、アメリカの大統領選挙を詳しく(詳しすぎるくらい)
テレビで報道してますね。あれを見てると、
もう“ほとんど”一部みたいになってるなあ、と
思うのです…地図上では「国」ですけど
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-18 22:37
junko さん、ほんとにエラそう、かなり息切れしてるけど。
こういう日本がますます右傾化していくのがこわいです。
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-18 22:40
sweetmitsukiさん、憲法を変えて軍隊をおいても独立できるかといえば怪しいのでは?
むしろ今の憲法の方が現実的なのかもしれないと思うのです。
難しい問題ですね。
孫崎は親中ですか?
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-18 22:41
きとら さん、そういわれると私も昼間から寄席だ能だと、お恥ずかしい非国民です。
あまりかっこいいことはいえないですね。
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-18 22:42
korima さん、アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引くのですから^^。
Commented by sweetmitsuki at 2012-10-19 06:02
孫氏の発言は、日本は米国の属国から中国の属国へシフトするべきだと言ってるようにしか聞こえないんですけど…
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-19 09:42
sweetmitsukiさん、私にはそうは聞えません。
アメリカの属国になっている日本という事実を指摘しているのだと思います。
かつてはそういう状態と戦い自主路線を歩もうとした政治家や官僚もいたという歴史的事実を。
Commented by marsha at 2012-10-19 12:00 x
孫崎享著「戦後史の正体」を紹介して下さって嬉しいです。
この本は目から鱗でした。 知らなかった事が詳しく書かれていました。 全学連が財界からの資金支援で岸を追い落とすための運動だったこと、 検察はアメリカが作っていったものであること、日本が持つ金銀財宝を探し出す事、 天皇は沖縄をアメリカに自由にさせ、その代わり本土と自分の地位を守った、在日米軍の特権など、日米地位協定などなど、どれをみても驚く事ばっかりでした。 
ここで取り上げて頂いて嬉しいです。知りたくても和からなかったことなどが分かり易く書かれています。 

同氏著の「アメリカに潰された政治家達」も内容は重複しますが、興味深く読みました。知らない事が多過ぎました。
Commented by saheizi-inokori at 2012-10-19 13:43
marsha さん、今週の週刊文春で小林信彦もこの本を取り上げています。「吉田茂が米国と互角でやりあった人のように取り上げているのは、その時代に生きた人から見ればウソだとわかる、、」とか「一読に値する」としています。

「アメリカに潰された政治家たち」は本屋で立ち読みしました。
エリート官僚やメデイアがどのようにして良心を麻痺させていくかが後半の座談会で触れられてそれはよくわかりました。
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by saheizi-inokori | 2012-10-18 11:27 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori