デニス・ルヘインという名に惹かれれて デニス・ルヘイン『シャッター・アイランド』
2012年 07月 20日
同じ作者の『ミスティック・リバー』は映画で観た。
クリント・イーストウッド監督作品で内容は忘れたが、何とも言えない人生の(若者の)哀しさ、誰しも決して”正しく生きてはいけない”という定めみたいなものを感じたような気がする(とんでもない勘違いかもしれない)。
小説では『運命の日』を読んで、読み返すと意味不明の感想を書いている。
あまりの迫力とボリュームに圧倒されて何を中心に書いてよいのかシドロモドロになったのだ。
「戦争と平和」の読後感をブログに書けと言われたようなものだった。
新聞の読書欄でデニス・ルヘインを薦める記事があって、そこで紹介されていたのが『ミスティック・リバー』、『運命の日』と『シャッター・アイランド』だった。
ボストン沖の孤島に兵舎を改造した精神病院があって、そこでは凶悪な犯罪歴のある患者を収容・治療している。
絶対に脱出できないはずの部屋から、女性患者が逃亡した。
自分の子供たちを湖水に頭を押さえつけて殺した後、その死体を食卓に着けて食事をとり、立ち寄った隣人にいっしょに食事をしないかと誘った美しい女。
彼女は今でも子供は生きていると思い込んでいる。
捜査するために送り込まれたのが主人公である連邦保安官・テデイ。
テデイは火事で亡くした妻を忘れられない。
妻が死ぬことになった火事、その放火犯がこの精神病院に収容されていることを知り、復讐したいというのが捜査に手を挙げた本当の理由。
それも禍々しいおどろおどろしい秘密が。
副院長はアメリカの情報組織に何やらを教えた経歴がある。
俺は「ショック・ドクトリン」でアメリカのCIAが精神を破壊する拷問の在り方について精神医学者に教えられたこと、その拷問技術を使って新自由主義者たちが世界を侵略したことを知っている。
テデイとその相棒は病院の秘密を明かそうとする。
ロボトミー一辺倒だった精神病治療に、ようやく薬物療法の有効性が主張されるようになった時代。
たまたま、田中三彦が翻訳した、アントニオ・R・ダマシオ「デカルトの誤り」で人間の脳について読んでいるところだから、この病院における医者たちの”対立”に興味がわいた。
拷問と侵略、精神医学界の対立、いずれもこの小説に直接関係するとは限らないが読んでいるときのイメージを膨らませてくれるのだ。
スリリングな捜査活動と並行してテデイの内面に往来する、病的と言ってもよいようなイメージの描写が重要だ。
『運命の日』のような本格的な巨編とは違ってサスペンスを楽しむミステリだ。
加賀山卓郎 訳
ハヤカワ・ミステリ文庫
シャッター・アイランドは最後のどんでん返しで白けた。
病院だって、一種の腐った政府みたいなもんですよね
無理やりにロボトミーの手術を強制的に受けさせられ
殺人まで起こす羽目になった方の非常にやるせない話を、すこし前に偶然見つけました
そう言えば、精神病院も同じ
その昔は、日本もそうだと思うけど、口封じのために幽閉された人、イタリアではもの凄く多いんです
ムッソリーニの最初の恋人もしかり...
あの――横レスなんですが
kauukauさん
ショ―ンペンは、日本ではそういうイメージしかないと思いますが、
彼はマドンナの元夫という以前に
彼女と結婚する前から、映画界では有能な力のある、知る人ぞ知る俳優だったのですよ
ショ―ンペン、好きなんで、つい ... 苦笑