三三「人形買い」、小満ん「奈良名所」が楽しかった 第526回「落語研究会」
2012年 04月 27日
小駒「持参金」
この前雲助のを聴いた。
上野鈴本では席亭の指示で禁演となっているそうだ。
どこをとっても醜い外見の、しかも臨月の女性を持参金で、火急の金が必要な男におしつけるという内容はたしかに女性差別的な要素はある。
でも雲助も小駒もそういういやらしさを感じさせない話しぶりだった。
そもそも遊郭という存在自体が女性差別のシンボルみたいなものだし、長屋のオカミサンたちの造型だって事なかれの会社だったらセクハラだと言われかねない。
落語はそんな意味ではほとんどが禁演落語ではないか、という小駒の指摘は当たっている。
だが、よく耳を澄ませてみたら、女性差別につながる素材を扱いながら、実は女性に振り回される男たちの愚かさが噺の中心にあるのだ。
汚い言葉、罵詈雑言も落語には欠かせない。
要はそれをどういう人格の噺家が口にするかで、聴くに耐えない言葉になりもするし、かえって人間の真情を感じさせる言葉にもなるのではないか。
慇懃無礼、遊ばせ言葉や、一部の政治家の妙に丁寧な言葉の方がよほど聴くに堪えないことも多々あるじゃないか。
店で注文するときに「~していただいてもいいですか?」とか犬に餌を「あげる」みたいな言葉なども俺は禁じたい。
この人は寄席でなんどか聴いて、その経験では、このネタも恐らく熱狂的な虫たちが登場するのかと予想した。
それがぐっと抑えた演出で虫と医者の会話はカフカの世界みたいで面白かった。
力を蓄えている噺家じゃないかな。
三三「人形買い」
春の珍事がありました、私に入門志願者が来た、、メールで!
と笑わせてすぐにネタに入る。
神道者の息子の初節句に長屋の連中が金を出し合って人形を贈ることになり月番の甚兵衛と人間がこすからいから買い物上手だろうという松兄いとで買いに行く。
なるほど、こすからい、松の言うには、集まった5円から二人で冷奴で一合っつ呑める金をひねり出そうと。
うまく値切って4円で買ったつもりの人形が、実は2円の代物だと明かす、こましゃくれた人形やの小僧の話が何とも言えず愉快、易者、講釈師、神道者の造型がうまい、講釈師の講釈も楽しい。
並みの噺家ではなかなかこれだけの人物の描き分けは難しいだろう。
さらっとこういう噺を聴けるのが三三の魅力だ。
山ひとつ笑ひはじめの川の音江戸っ子の二人旅、箱根の山を越えて、上方から奈良に回る。
道中のゆっくりした言い立て(芭蕉の句などが頻出)が奈良に入って宿の男が案内に立つと俄然流暢に、興福寺、大仏、二月堂、手向け八幡、若草山、と、故事来歴やら縁の名吟など、はとバスが原稿を買いに来そうな充実。
三三についで、これまた並みの噺家ではやろうという気にもならないようなネタを聴くことが出来ました。
これについては既に書いた通り、笑いはしたが疲れた。
落語本来(俺の思うところの)の自然な笑いとはずいぶんかけ離れた笑いだった。
お隣の国に配慮してやめてしまったのでしょうか。
神武天皇はあるんですね?
落語ファンクラブvol.15にインタビュー記事が載っていて、お酒や食、文楽にまつわる、じつに美味しい話が読めました。三三の「嶋鵆沖白浪」も(聴いたことがないけれど)解説があって勉強になりました。
落語フアンクラブ、読まなきゃ^^。
のんびりしましたか。豆太君も^^。
キャロットタワーと東京タワー↑ほどではないですが。