圓朝噺を観るような楽しいシエイクスピア 「シンベリン」彩の国シェイクスピア・シリーズ第25弾
2012年 04月 21日
将棋をしている人もいたり、ストレッチをする人も。
鳳蘭が浴衣姿で入ってきてにこやかにみんなに会釈し、阿部寛は最後にガウン姿でやってきて丁寧にいろんな人にアイサツして真ん中の席に座る。
開演を知らせるリンが鳴ると、全員さっと立ち上がってエプロンに整列、かと思ったら一斉に浴衣やガウンを投げ捨てる。
そこにはポステュマス(阿部)ひときわ高くそのわきにひときわ可愛いイノジェン(大竹しのぶ)、シンベリン(吉田鋼太郎)がいて王妃(鳳 蘭)が、、鮮やかに礼をして、サア、時代は古代、場所はブリテン、シエイクスピアのたくらみの世界へひとっ跳びだ。
書いたらかえって分かりにくくなりそう、それが舞台を観ているとちっともわかりにくくないのが不思議。
そういえばロンドン公演が決まっているせいか背景に源氏物語の「雨夜の品定め」の絵や、山水画が使われ、鼓に笛に謡まで日本情緒もたっぷり。
巨大なあばたも見せる月を背に、陸前高田の奇蹟の松も登場する。
王の娘・イノジエンの寝室に忍び込み、寝ている女の胸乳のほくろを盗み見るイタリア紳士。
生首をぶら下げる、洞窟に住む青年、実は子供の頃誘拐された王子。
毒薬かと思うとさにあらずいったんは死んだようになるがすぐに前より元気になるという、その薬を間違った経由で呑んで死んだイノジエン、目が覚めると横には首のない死体。
ローマ軍とブリテン軍の闘い。
スリル・スペクタクル満点。
殺した、殺された、錯覚・誤解の連鎖は人間の必死に運命にあらがう活動の結果?
否、運命が彼らを罰し救うのか。
窪塚洋介、勝村政信、浦井健治、瑳川哲朗、吉田鋼太郎、それぞれが主役と言ってもいいほど見せ場を作り、中でも鳳 蘭が存在感を際立たせ、阿部も身長に負けない熱演。
でもやはり大竹しのぶが10代の娘と少年をなんの抵抗も感じさせず演じきったのは歌舞伎役者も真っ青か。
暗い要素をふんだんに展開しつつも随所に笑いがあって明るい劇になっている。
むちゃくちゃともいえる辻褄が見事に合ってすべてが笑って抱きあう大団円。
キーワードは”再会”と”許し”、弱いよなあこういうのには。
休憩をはさんで3時間を超える長丁場が平気だった。
松岡さんは、3.11以降、脚本の書き直しをしたとか・・どこかに書いてありました。最後の松は、やはり陸前高田の松としか見えなかったですよね。そして、雨夜の・・なるほどこう来たかと思いました。ロンドン公演・成功するといいなー。
どなたかにお会いするかとロビーできょろきょろしてましたよ^^。
人気だけじゃなくてなかなかいい演技をしてましたよ。
茶味、茶の道の趣かも^^。