やっぱり喜多八殿下は快い <銀座の噺小屋>喜多八膝栗毛 秋之声
2011年 11月 08日
ジャイアンツが日本シリーズに出られないことを悔しがる声もあって俺は嬉しく聴いていた。
外に出て携帯をかざしていたら、通りかかったご婦人が俺の方を振り返って、顔を見合わせて、あっとおどろくタメゴロー、Hさんだ。
目的は同じ喜多八、腹ごしらえは?と訊くとサンドイッチを買ってきたとおっしゃったが、俺が近くの「ひとくち茶漬け」に行くと云ったらつきあって下さった。
昇吉「一目上がり」
前座ではなくてイッチョ前の番組のなかで登場したが、、どんなもんか。
喜多八、笑顔であがって、短いマクラの後すぐに長屋の衆が大家に呼ばれて集まる噺をするから、てっきり「黄金の大黒」かと思うと、隣町の連中に負けてはならないなどというから「錦の袈裟」か、それにしては大家が出てきたっけ?などといぶかしく思っていると
無学では恥ずかしいから、おまえさんたちに学問を教えてやると初めて聴く噺。
「文明開化って?」「俺は食べたことない」
「違うよ、皇居にいる人だよ」って愚息も幼稚園の頃「へんのうていか」っていってたなあ。
「ここに10円持ってるとする」間髪をいれず大声で「ありません!」
10引く6は4というのは指を使わないと出来ないけれど、「33引く29が4というのは暗算でも出来る。」それは「わっちが33で女房が29、惚れた二人はずっと4ツ違い」
とんちんかんな長屋の連中の反応がおかしい。
帰るときにみたら「長屋の算術」
新作かと思ったら志ん生もやったらしい。
喜多八にいわせれば
品がないと、あまり評判は良くないけれど、こういうのをやりたくなります俺からすると「大いにやっとくれ」。
ちょっと下がってすぐに戻ってきて「付き馬」
男が吉原の馬になった妓夫(ギユウ)を連れて浅草を歩きながらポンポン口から出まかせを云うところが流石、飽きさせず好いテンポで"ご愉快"。
「虫の音」の合奏から始まり「露と尾花」を歌って「長崎ぶらぶら節」。
太田さんの優しい語りがあって、益田太郎冠者の作と言う「不老不死」、博多、名古屋、京都の芸者にもててる言葉を方言で歌う。
返す刀でこんどは愛想づかしの言葉を、江戸、浪花、名古屋の芸者たちがお国ことばでやって見せ、最後は京都の女が
しんきくさ、、ドアホ!とトドメを指す。
こんなお姉さんたちにトドメを指されるのもヨカヨカ。
こないだ、寿輔のを聴いたばかり、まだ「おせ~てやろうか」と正蔵(助六)のように震えを帯びた声でやった死神の顔と声がそこらに漂っている。
喜多八は淡々と流すかのようにやった。
調べてみたらちょっと前に落語研究会で喜多八死神を聴いていた。
あの時はもっと良かったような気がする。
前半二つに精力を使い果たしたかというのが「居残り会」における総括であった。
そういえば居残り会に行く途中で三味線を抱えた松本優子さんとすれ違ったのを目ざとくみつけて「よかったですよ!」と声をかけたのは俺の手柄だったね。
時代にあってる。