こだまになろう 金子みすゞの世界(2)
2005年 10月 15日
こだまのように受け入れてくれる親がいないから子供はいっぱい我慢しておなか一杯になるから、いつの日かおなかを空にしようとして目茶をする。
年寄りの思い出話、繰り返しをこだまのようにきいてあげない。「その話、前に聞いたよね」。思い出話は年寄りの存在そのもの。それをきいてくれないということは存在を否定されたと同じ。
ばあやのお話
ばあやはあれきり話さない、
あのおはなしは、好きなのに
「もうきいたよ」といったとき、
ずいぶんさびしい顔してた。
ばあやの瞳(め)には、草山の、
野茨(のばら)のはなが映ってた。
あのおはなしがなつかしい。
もしも話してくれるなら、
五度も、十度も、おとなしく、
だまって聞いていようもの。
こだまになってあげていない!全くだ。