中国の天狗よ、退散せよ 「粟谷能の会」

雨上がり、あちこちに金木犀の、これは花なのだろうか、まるで花粉のかたまりみたいなのが落ちていて、金の星のようだ。
そいつを踏まないように気をつけてバス停に急いで滑り込みセーフだったが、駒沢大学前で「この先、渋滞、お急ぎの方は電車で」とのアナウンス。
お急ぎと言うほどでもないが開演に遅れては困るから泣く泣く電車賃150円。
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粟谷能夫が六条御息所の霊になる「野宮」
8月に片山清司のシテで観たばかり。
前半はシテとワキ(旅僧)・森常好の掛け合いに地謡が絡みお囃子が快くてともすれば船を漕ぎそうになってしまった。
片山六条御息所よりなんとなく強い女と言う感じがした。
後半、六条御息所の霊が出て序の舞を舞うのが美しくて途端にオメメもぱっちり。
最前列で観ていたが時々俺と目が合うような瞬間があると決まりが悪くなるほどだった。

アイ・里人・野村万蔵
大鼓 亀井広忠(髪型が変わっていた)小鼓 大倉源次郎 笛 一噌隆之
地謡 友枝昭世ほか
いつも広忠の後見をしている忠雄パパがいなかったなあ。
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(近所の祭り、地元有志30人くらいが太鼓の大合奏、境内には犬を連れて入れないけど、音は聞こえる)

狂言は野村萬と野村扇丞の「地蔵舞」
「野宮」が二時間、疲れたということなのか予定された休憩時間が過ぎても多くのおばさまたちが食堂に列をつくったり廊下でがやがやしているから俺もロビーで小説でも読もうかと思ったらさっさと始まっていた。
酒好きで機智に富んだヒョウキン坊主とシャレの分かる宿の亭主のやりとり。
飲酒戒、酒を飲んではいけないが吸うのは良いだろうと吸いまくって二人で地蔵の舞を舞う。
白玉の歯に、、酒が旨い季節になった(ナンチャッテ年がら年中なんだけど)。
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「白是界」は楽しい能だ。
あらすじを昨日シテをやった粟谷明生が自分のブログに書いているのが面白いからここをクリックしてお読みください。

中国の天狗のボス・是界(シテ・粟谷明生)が日本が小国なれども神国、仏法盛んなるゆえに己が力が及ばないのを悔しがり日本進出を企てる。
日本側には太郎坊(シテツレ・粟谷尚生)という天狗がいて是界の手引をする。

比叡山僧正(ワキ・宝生閑)が勅命により是界と戦い不動明王に命じて十二天や神々と力を合わせて是界の通力を封じる。
是界は
今より後は来るまじ
と言って消えうせた、とさ。

なんとタイミングの良い!演目はずっと前に決まっていたのだろうが。
菅よ、この上は神頼みしかないかもよ。
太郎坊退治も大事だぜ。

大鼓 柿原弘和 小鼓 曽根正博 太鼓 金春国和 笛 一噌幸弘
幸弘はいつ以来だろう。
相変わらずニヒルな顔で鋭く強い笛を吹いた。
是界が逃げたのは笛のせいもあるか。

国立能楽堂
Commented by at 2010-10-11 11:27 x
なんて親切なバスのアナウンス、こっちはそんなもんあったためしもない。
渋滞は当たり前なのです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-11 12:15
蛸さん、まったく!バンコクでそんな案内したら皆乗り換えなきゃ、でもトラムのないところはどうやって?
Commented by kaorise at 2010-10-11 13:27
今年の金木犀の散り際は見事ですね。
毎年、その年によって、花の見頃や見所が違うのは楽しい限りです。
お能と金木犀、風雅なとりあわせです☆
Commented by ginsuisen at 2010-10-11 16:45 x
あのー、元々お能鑑賞の折、休憩をはさんだ狂言は、お弁当タイムなんですよね、昔のおばさまたちにとっては。
狂言なんか見なくてもいいという気なんでしょう。
それに対して、狂言こそ!と修練を積んできた、萬さん、万作家、
東次郎家、茂山家の底力のすごさがあると思います。

もう昔の趣味もの感覚の鑑賞は古いんですよね。
Commented by c-khan7 at 2010-10-11 18:22
焼酎と氷砂糖と金木犀の花を入れると、香りが移って美味しいお酒になるらしいです。町中の匂いが金木犀ですね。
Commented by gakis-room at 2010-10-11 18:59
ちょっと危険な臭いのする標題ですね(笑)。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-11 21:49
kaorise さん、そういうことに関心を持つようになったのはほんの最近のことです。
そもそも金木犀の木のことも木がつかないで生きてきましたよ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-11 21:52
ginsuisen さん、朝から何十番もやる頃の風習ですよね。
まあ、それはよいとしてもブザーを鳴らすかお知らせアナウンスくらいは欲しかったです。
まして萬さんの最初の謡みたいのを聞きそびれてしまうし、途中から最前列に行くのがとても決まりが悪かったです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-11 21:54
c-khan7 さん、そいつは粋な酒ですね。菊の花でも見ながら飲みたいものです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-11 21:55
gakis-room さん、仙石太郎坊みたいなことを言わないでください^^。
Commented by at 2010-10-12 00:24 x
バイタクです。(バイクタクシー)そばを知ってないとボラレます。
Commented by haruneko3 at 2010-10-12 00:29
金木犀は降る様に花が落ちる所がいいです。
蕾の時が一番匂う様に思うのですが〜そんなところもまた好きです。
金木犀の香り残しておきたくて、ハンカチに包んでおいた少女時代が、我ながら微笑ましいです。。。。。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-12 09:01
蛸さん、あとは自転車か歩きですね^^。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-12 09:02
haruneko3 さん、通り過ぎた後から追いかけてくるような香り方もいいですね。
あれ?と見回すと塀の向こうに覗いていたり。
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by saheizi-inokori | 2010-10-11 10:09 | 能・芝居 | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori