中国の天狗よ、退散せよ 「粟谷能の会」
2010年 10月 11日
そいつを踏まないように気をつけてバス停に急いで滑り込みセーフだったが、駒沢大学前で「この先、渋滞、お急ぎの方は電車で」とのアナウンス。
お急ぎと言うほどでもないが開演に遅れては困るから泣く泣く電車賃150円。
粟谷能夫が六条御息所の霊になる「野宮」
8月に片山清司のシテで観たばかり。
前半はシテとワキ(旅僧)・森常好の掛け合いに地謡が絡みお囃子が快くてともすれば船を漕ぎそうになってしまった。
片山六条御息所よりなんとなく強い女と言う感じがした。
後半、六条御息所の霊が出て序の舞を舞うのが美しくて途端にオメメもぱっちり。
最前列で観ていたが時々俺と目が合うような瞬間があると決まりが悪くなるほどだった。
アイ・里人・野村万蔵
大鼓 亀井広忠(髪型が変わっていた)小鼓 大倉源次郎 笛 一噌隆之
地謡 友枝昭世ほか
いつも広忠の後見をしている忠雄パパがいなかったなあ。
狂言は野村萬と野村扇丞の「地蔵舞」
「野宮」が二時間、疲れたということなのか予定された休憩時間が過ぎても多くのおばさまたちが食堂に列をつくったり廊下でがやがやしているから俺もロビーで小説でも読もうかと思ったらさっさと始まっていた。
酒好きで機智に富んだヒョウキン坊主とシャレの分かる宿の亭主のやりとり。
飲酒戒、酒を飲んではいけないが吸うのは良いだろうと吸いまくって二人で地蔵の舞を舞う。
白玉の歯に、、酒が旨い季節になった(ナンチャッテ年がら年中なんだけど)。
「白是界」は楽しい能だ。
あらすじを昨日シテをやった粟谷明生が自分のブログに書いているのが面白いからここをクリックしてお読みください。
中国の天狗のボス・是界(シテ・粟谷明生)が日本が小国なれども神国、仏法盛んなるゆえに己が力が及ばないのを悔しがり日本進出を企てる。
日本側には太郎坊(シテツレ・粟谷尚生)という天狗がいて是界の手引をする。
比叡山僧正(ワキ・宝生閑)が勅命により是界と戦い不動明王に命じて十二天や神々と力を合わせて是界の通力を封じる。
是界は
今より後は来るまじと言って消えうせた、とさ。
なんとタイミングの良い!演目はずっと前に決まっていたのだろうが。
菅よ、この上は神頼みしかないかもよ。
太郎坊退治も大事だぜ。
大鼓 柿原弘和 小鼓 曽根正博 太鼓 金春国和 笛 一噌幸弘
幸弘はいつ以来だろう。
相変わらずニヒルな顔で鋭く強い笛を吹いた。
是界が逃げたのは笛のせいもあるか。
国立能楽堂
渋滞は当たり前なのです。
狂言なんか見なくてもいいという気なんでしょう。
それに対して、狂言こそ!と修練を積んできた、萬さん、万作家、
東次郎家、茂山家の底力のすごさがあると思います。
もう昔の趣味もの感覚の鑑賞は古いんですよね。
そもそも金木犀の木のことも木がつかないで生きてきましたよ。
まあ、それはよいとしてもブザーを鳴らすかお知らせアナウンスくらいは欲しかったです。
まして萬さんの最初の謡みたいのを聞きそびれてしまうし、途中から最前列に行くのがとても決まりが悪かったです。
蕾の時が一番匂う様に思うのですが〜そんなところもまた好きです。
金木犀の香り残しておきたくて、ハンカチに包んでおいた少女時代が、我ながら微笑ましいです。。。。。
あれ?と見回すと塀の向こうに覗いていたり。