「ザ・ロード」、追加(ネタばれです!)

世界の終末を想わせる荒涼たる土地を親子は“善き者”として心の中に“火”を絶やさず前進を続ける。
親子が生き残るために通りすがりの飢えた男に父は食物を分けようとはしないが、息子は分けてやってくれと哀願する。
善き者について語りきかせた父が息子から教えられる。

途中で目の不自由な老人(90歳だという)にあってそのときも息子の言葉により親子は晩飯を共にする。
その老人の名前が「イーライ」なのだ。
この映画の登場人物で名前があるのは彼だけだ。
イーライは
私は目がよく見えないけれど貴方がたが歩いてくるのをみて、子どもが一緒に来るのを天使が来たのかと思った。
神が天使をお遣わしになったのかと。
という。
父親は
私にはこの子が神だ。
と答える。
それだけで老人は親子と別れて行くのだが、俺は「ザ・ウォーカー」の歩き続ける主人公と同じ名前なので二人の映画監督の間に何かあったのかと思ったのだ。

そうではないのだ。
「イーライ」は「エリア」、すなわち旧約聖書に登場する預言者の名前だ。
不信仰の地に生まれ烏に養われ生きたまま天にあげられ新約聖書でもモーゼとともにイエス・キリストと会ってイエス・キリストの使命について語り合う予言者なのだ。

エリアはキリストの信仰を受け入れる人を用意する、キリストの先がけになることが予言されている。
来るキリストの再臨はエリア=イーライによって整えられるということになっているらしい。

これで二つの映画にイーライが登場する意味が分かった。
「ザ・ロード」の最後で息子が家族連れに会ってその母親から「待っていました。あなたに会えてとても嬉しい」というような言葉をかけられる。
ということは?
俺は二つの現代・聖書物語を観たというわけだ。
聖書をよく読むキリスト教徒なら直ぐに分かったことだろう。
Commented by junko at 2010-07-01 14:59 x
Ciao saheiziさん
おはよう!
あーーわかった、わかった
わかりやすい解説をありがとうございます。
Commented by saheizi-inokori at 2010-07-01 18:24
junkoさん、ネタ読んじゃったの。
Commented by mimizu-1001 at 2010-07-01 18:50
どうせなら「The Lord」にすればシャレになったと思いますけどね(笑)

ザ・ウォーカーが西へ向かうのはわかりますが、ザ・ロードはどうして南なんでしょう???
Commented by 散歩好き at 2010-07-01 21:10 x
見ませんでしたが高校生の頃「渚にて」と言う映画があり原爆で人類が滅亡するという話だったようです。ポピュラーのヒットチャートでは主題歌の「ワルチング・マチルダ」が流行りました。を思い出しました。
Commented by saheizi-inokori at 2010-07-01 22:12
mimizu-1001 さん、それは寒いところにいて温かいところを目指したのです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-07-01 22:14
散歩好きさん、その曲は私もよく知ってます。
グレゴリー・ペックが主演でしたか、映画を見た記憶はないなあ。
Commented by kaorise at 2010-07-01 22:51
エピソードのネタ、みんなそのまんま聖書からですね。
この聖書を現代ルポっぽい手法で語るところがアメリカの作品らしいなと感じました。
スタインベックの昔から、、アメリカの伝統でしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2010-07-01 23:41
kaorise さん、もうそんなに元気になった?
嬉しいな。
Commented at 2010-07-02 16:06
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-07-02 17:42
鍵コメさん、しっかり訊いてよく考えて決めてね。
守ってくれますよ、きっと。
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by saheizi-inokori | 2010-07-01 13:51 | 映画 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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